膨張する「中国の夢」に日本はどう向き合うか(2/5)
膨張する「中国の夢」に日本はどう向き合うか
米国との「新型大国関係」と
東アジアでの攻撃的な行動の意味
中国がこのどちらの路線を追求するのかをまだ決めている訳ではないと思う。むしろ二つの路線を同時に走らせつつ、現実的な落としどころを見ているということなのだろう。そのようなアプローチの中で、まず習近平政権が目指したのは米国との「新型の大国関係」の構築である。
もし米国が中国の「核心的利益」を尊重すれば、お互いウィン・ウィンの協力関係が構築できる、太平洋は広く、米国と中国で二分できる、という考え方である。これでは日本は困るし、米国も合意することはできないだろう。仮に台湾が中国の核心的利益とすれば、これに軍事的な統一を試みるのを黙認することを我々はできまい。従って米国は「協力できる分野を拡大し、利益の相反する分野について管理をしていこう」というアプローチをとっている。
中国は米国と安定的関係を目指しつつ、東シナ海や南シナ海において一方的で攻撃的な行動をとってきた。まず尖閣諸島についての攻撃的な行動は日本の強い反発、および米国による「尖閣は日米安保条約の対象である」との発言を招き、焦点を南シナ海に移した。
同国は、ベトナムなど東南アジア諸国との間は、二千年続いた中国の圧倒的な優位の延長であり、大国と小国との関係と見る。近年は、ベトナムやフィリピンの排他的経済水域内に入り込んでの石油掘削や広範な範囲の岩礁の埋め立て、恒久的建設物の設置など、一方的な行動をすさまじいスピードでとってきた。
これはASEANが一枚岩でないことを見越しつつ、米国の反応をテストするという意味合いを持つものと見ることができる。米国が引けばここぞとばかりに中国は出る。
「中国の夢」を実現していくためのもう一つの方策として、同国は米国の介入があまり想定されない「西」に向かった。「一帯一路」の構想、すなわち陸と海のシルクロードを整備しようという壮大なプロジェクトを打ち出した。
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