歴史は繰り返す、中国の「バブル崩壊」と「国際台頭」が同時進行するワケ(3/4)
歴史はくり返す。中国の「バブル崩壊」と「国際台頭」が同時進行するワケ
中国は、旧覇権国である英国が、新興覇権国である自国にすり寄ってきたのを利用して、ロンドンで値決め(談合)されている金地金の国際相場に対する影響力を拡大し、これまで米英銀行だけが値決めに参加して金相場を不正に引き下げてきた慣行をやめさせ、金相場の(正当な)上昇を引き起こそうとしている。ロンドン金市場は今年3月に制度を大改革し、その時に中国の大手銀行が地金市場協会(LBMA)の値決め会員に入ると目されていたが、実際は中国勢がどこも入らなかった。
中国勢の参加はガセネタだったか、と懸念される事態になったが、6月中旬、LBMAが、中国の4大銀行の1つである中国銀行が6月22日から値決めに参加すると発表した。その後、4大銀行の中の中国商工銀行も、値決め会員になることを検討していると発表し、中国勢が国際金相場の決定権の一部を握ることが確定的になった。
中国政府は今年中に、上海の金地金市場で、金相場の人民元建ての値決めシステムを稼働する。人民元と金相場を連動し、金本位制のイメージに近づけようとしている。短期的には中国自身、金相場を急いで引き上げようとしていない。相場が安い間に中央銀行(中国人民銀行)の金備蓄を拡大し、人民元を支える力をつけようとしている。そのため、中国銀行が値決めに参加した後、金相場はむしろ下落した。
中国銀行のロンドン金相場の値決めへの参加(金相場に対する中国の影響力拡大)の決定と、中国株の暴落開始が、同時期に起きていることは興味深い。中国は、ドルのライバルである金地金の世界価格決定への支配力を増すことで、ドルや米国債を潰せる力を増したが、それと同時期に、何者か(米国勢?)が中国株のバブルを崩壊させ、中国を弱体化する策略を開始している。これは、金地金という新たな武器を得た中国と、ドルや債券を防衛しようとする米国との、金融大戦の激化であると考えられる。
分析者の間からは、中国の株暴落によって中国人が株への投資に嫌気し、株でなく金地金に投資するようになるとの予測と、そうでないという見方の両方が出ている。もし株暴落が中国人の地金投資を増やす結果になるなら、これは中国政府が人民元に金本位制のイメージを付加しようとしていることと同じ流れになる。株の暴落は、長い目で見ると、民間を含めた中国の金備蓄の増大、金地金を使った経済覇権力の担保へと結びついていくかもしれない(だから今回のバブル扇動と崩壊が看過されたというのは考えすぎかもしれないが)。
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