膨張する「中国の夢」に日本はどう向き合うか(3/5)
膨張する「中国の夢」に日本はどう向き合うか
西に向かう中国の「一体一路構想」と
一石三鳥を狙うAIIB
本来であればロシアと利益が相反したはずの構想であったが、ロシアはウクライナ問題で孤立し、中国との連携に活路を見出さざるを得ず、情勢はこの構想を推進するにあたり中国にとってまことに好都合である。先月8日のプーチン大統領と習近平国家主席の首脳会談では、ロシアが主導する「ユーラシア経済連盟」と中国の「シルクロード経済ベルト」の連携で協力するという共同声明を発表した。
そして「一帯一路」構想の資金手当てを担当するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、中国にとって一石三鳥の構想となった。
まず中国の経済的要請に応える構想という意味を持つ。同国にとって引き続き高い経済成長が国内の安定的統治の必須要件である。リーマンショック後の2008年10月に4兆元の内需拡大策を打って以降、中国には膨大な過剰設備と地方財政の疲弊がもたらされた。経済成長目標も従来の2桁成長から7%前後へと下方修正されている。AIIBはインフラの拡充と過剰施設及び有休労働力の活用という意味で、中国経済の成長の底上げ材料となる。
次に、中国の地域での影響力の拡大効果である。東シナ海・南シナ海での一方的攻撃的行動は近隣諸国に強い対中警戒心と不信感を植え付けた。インフラ投資は東アジア諸国の経済成長のために膨大な需要がある。インドのモディ首相やインドネシアのジョコウィ大統領にとってインフラの拡充は最優先政策である。中国のソフトな影響力の強化に繋がっていくのは間違いがなかろう。
そして英国の先導により欧州諸国が加わった。ここに来て中国は国際社会においてのリーダーとしての「正当性」を高めたいと思うに至っているのだろう。
国際社会の構造変化で新興国の力が増してきた1990年代後半から、新興国にもっと発言権を与えなければいけない、G7・G8からG20に国際協調の場を移そう、世銀・IMF・アジア開発銀行等の改革を行い新興国の出資比率を上げ、新興国の発言権を強化しなければならない、などの声があり、それが試みられてきた。しかし多くについて西側諸国の既得権益の大きさや米国議会の反対により実現は途上である。
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