コレステロール・ショック(6)血圧の基準と「病気の国民」
2015年05月30日
コレステロール・ショック(6) 血圧の基準と「病気の国民」
前回、奇妙な×グラフを示したが、「血圧が下がっているのに、降圧剤が売れる」というのはどういう仕組みだったかは、この表紙を見ると一目瞭然だ。
かつて血圧の基準は、(年齢+90)だったので、たとえば60歳の人の標準血圧は150だった。それがあるときに「血圧は年齢によらない」(正しく言うと「正常な血圧というのは年齢によらない」ということになり、1990年までは160が基準値で、「高血圧」という「病気」の人は40歳以上の日本人7000万人のうち、1800万人が該当するようになった。
これでも約25%、つまり40歳以上の日本人の4人に1人は「高血圧」という病気とされたが、その後、さらに血圧の基準は下げられていって、2000年からは140となった。こうなると4300万人だから実に61%が「異常か、病気」になったのだから、日本人の体か生活が大きく損なわれていることになる。しかも、多くの病気のなかでたった一つ「高血圧」だけで半分以上の人が異常なのだ。
さらに2004年からは130に減り、ついに「120を至適血圧とする」ということになった。130ですら6500万人だから実に93%が「病気」ということになり、ほとんどの人が病院に行って間違って血圧を測定されると、たちまち「降圧剤処方」の餌食になるという状態になった。
血圧のデータもそれほどきれいに揃っていないけれど、おおむね公的なデータは表紙の下のグラフのようになっている。20歳代の男性は123、女性で119、30歳代で男性127、女性123だから、もし「120が至適」という基準が適応されていたら、国民全部に降圧剤を処方されるところだった。巨利をむさぼる寸前だったのである。
これほど奇妙なことが起こっていたのだから、良心的な医師が反撃しなければ医師ではない。日本人間ドック学会が2014年8月に「健康な男性の血圧の平均は150」というデータを発表した。
遅きに失した感は否めないけれど、狂気の健康指導が、やや正常に戻ったという点は評価しなければならないだろう。それにしても、「国民全部が病気」という基準を良くも作ったものだ。私が「非科学的」としてこれまで社会に発信してきた、「リサイクルしないとゴミがあふれる(間違い)」、「ダイオキシンは猛毒だ(間違い)」、「地球は温暖化の脅威のもとにある(間違い)」、「生物の絶滅で生態系が乱れる(間違い)」、「タバコを吸うと肺がんになって早く死ぬ(間違い)」などと同じで、主として女性をだますという感じで、とても私はいやな思いをする。
(平成27年5月27日)
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