ミンスク合意破綻
ミンスク合意破綻
Paul Craig Roberts
2015年8月18日
ワシントンによって、キエフに据えつけられた反ロシア・クーデター政権に支配されることを拒否した、ロシア人が暮らしている元ロシア領の分離派共和国への対応で、ロシア政府は失敗したように見える。ロシア政府は、これら領土を、ロシアに再編入するようにという要求を受け入れることで、危機を終わらせられていたはずだった。そうではなく、ロシア政府は、ドネツク・ルハンスクへの不干渉という外交的手法を選んだのだが、この外交が、今や失敗したのだ。キエフのクーデター政権は、ミンスク合意を守る意図は皆無で、ワシントンも、ミンスク合意を守らせる意図は皆無だった。どうやら、現実主義的なプーチンでさえも、希望的観測に屈してしまったもののようだ。
ロシア政府が、外交的理由で、支援したミンスク合意は、現在、ドネツクとルハンスク攻撃を再開する準備をしている、ずっと強力な軍隊を訓練し、装備し、動員する時間をワシントンに与えるのに役立った。もしも、これら共和国が制圧されれば、ウラジーミル・プーチンとロシア自体が、あらゆる信頼性を失うことになる。それをプーチンが自覚しようとしまいと、ロシアの信頼性は、ワシントン支配外では動く力のないワシントン傀儡のヨーロッパ諸国との外交会談でではなく、ドネツク戦線で、危機にひんしている。もしワシントンが、ウクライナで勝利すれば、ロシアと中国は、BRICSや、ワシントンの経済覇権に対する代替案、ユーラシア貿易集団は諦めざるを得なくなる。ウクライナで勝利を得て、ワシントンは、その覇権を確保つもりなのだ。
破綻したミンスク合意以前には有していた、ウクライナに対するドネツクの優位性を失ったドネツク共和国指導者は、状況説明しながら、疲れ果てている様に見える。http://russia-insider.com/en/moscows-top-man-donbass-says-all-out-war-will-start-soon-video/ri9255 恐らく彼は、シェークスピアの『ジュリアス・シーザー』で、カシアスが、ブルータスにこう語ったのを思い浮かべていたのだろう。“人間のすることには潮時というものがある、満潮にのれば、幸運にたどりつくし、潮時を間違えれば、人生のすべての航海は浅瀬に乗り上げて座礁する。”
Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOSTが購入可能。
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/08/18/minsk-agreement-failed-paul-craig-roberts/
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プトベージェフ訪問非難の大本営記事に、「ロシアは一方的にクリミアを編入した」とあった。クリミア住民投票の前に起きた、キエフでのクーデターをアメリカが画策したことも、オデッサでの反政府派住民虐殺事件もまったく報じない洗脳工作大本営。眉に唾をたっぷり塗って、読まないようにするのが最善だろう。読んで、どこまで本当で、どこまでウソか頭を使うのは人生の無駄。
ロシアが、ウクライナ・クーデター政権に、激怒しているのに、国立競技場費用にも迫る大金を黙って寄付させられた(宗主国の命令だろう)国の大本営広報部が、領土問題を云々するなど、茶番。ロシアには経済制裁をしながら、強烈なイヤガラセをしていることには全く触れない。
現下のウクライナ情勢を踏まえ,以下の通り,今後最大約1,500億円の支援を行います。
この日本からの資金、
現在、ドネツクとルハンスク攻撃を再開する準備をしている、ずっと強力な軍隊を訓練し、装備し、動員する
のに使われていない、と断言できるのだろうか。金額、さらに上積みされているようだ。
新国立競技場とほぼ同額! 2310億円をウクライナにバラまく安倍政権は壊れている
ほとんど戦争状態にある一方に大金を渡すのが、積極的平和主義を標榜する侵略戦争参戦希望国としての最初のご挨拶?ジョージ・オーウェルは『1984年』で、この状況を描いている。
- 戦争は平和だ
- 自由は屈従だ
- 無知は力だ
以上は「マスコミに載らない海外記事」より
安倍政権の支援する先は、正義の国ではなく不正義の国に支援するのですから、悪者を助けることに国民の税金を使うのです。日本国民はよく是を知ることです。以上
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