2016年に発火懸念、日本を取り巻く七大地政学リスク(3/5)
2016年に発火懸念
日本を取り巻く七大地政学リスク
リスク3:中国の対外的拡張策が衝突に繋がるリスク
台湾の蔡英文政権成立で中台関係の緊張も
深刻なリスクは南シナ海での衝突である。中国が南シナ海全域の実効的支配を進めるべく、岩礁の埋め立て地での飛行場や軍事施設の構築、さらには防空識別圏の設置を次々と強行していく場合には、領土係争のあるフィリピンやベトナムなどの諸国、さらには安全保障上の重要な利益がある米国や日本との対決は決定的になる。
米国が駆逐艦を中国の主張する領海内を航行させる「航行の自由」作戦を実施し、明確なシグナルを送っている以上、中国が上述したような行動に一挙に至ることも考えにくいが、内外情勢の推移如何でリスクが残る。特に海上での偶発的衝突を避けるための信頼醸成措置が重要となるのだろう。
また、1月16日に行われた台湾総統選で、野党民進党の蔡英文主席が大勝するとともに、議会も民進党が過半数を制した。5月20日に発足する蔡英文政権は中台関係の現状を維持すると述べているが、独立志向の強い民進党の政権が、馬英九国民党総裁時のような対中融和策を講じていくとも考えられない。一方中国は「一つの中国」の原則を盛った中台間の「92年コンセンサス」の確認を迫るだろうが、大勝した民進党政権が従来の姿勢を変えるとも考えにくく、中台関係が緊張していくことは容易に想像しうる。
リスク4:中国経済成長率の急速な低下のリスク
国民の不満が顕在化、世界経済にも甚大な影響
中国経済は下降局面に入っているが、問題はどの程度のスピードでソフトランディングをしていけるのか、ということであろう。第13次5ヵ年計画では最低年平均6.5%の成長率を達成するとされるが、もしこれを大きく下回るようなことがあれば、習近平総書記が繰り返し述べている、2020年までにGDP及び一人当たり国民所得を2010年比で倍増する計画が実現できないことになる。経済成長率の大幅な低下は、所得格差や環境の悪化など社会問題への国民の不満を顕在化させるだろう。
成長率の鈍化が、膨大な政府過剰生産設備や国有企業を中心とする非政府債務の問題を深刻化させれば、経済危機にまで陥っていく可能性が排除されないことになる。中国には十分な国内貯蓄が存在すると言われるが、国有企業の合理化など供給サイドの改革を速やかに行っていくことが求められているのだろう。
経済危機と言われるような事態は、中国経済に大きく依存する東南アジア諸国経済に深刻な影響を与えるだけでなく、世界経済に甚大な悪影響を与えるだろうし、グローバルな経済停滞に繋がっていくリスクがある。
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