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2016年3月30日 (水)

シリアで侵略軍の敗北が確定的になる中、サウジとトルコに続いてNATOも戦争の準備(その2)

シリアで侵略軍の敗北が確定的になる中、サウジとトルコに続いてNATOも戦争の準備(その2)              

        カテゴリ:カテゴリ未分類    
     昨年9月30日にロシア軍がアル・カイダ系武装勢力やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)に対する空爆をはじめ、トルコからシリアへ延びていた兵站線やシリアやイラクからトルコへ盗掘石油を運んでいた燃料輸送車が攻撃されるとネオコン/シオニスト、サウジアラビア、トルコなど侵略勢力は狼狽し始める。そして11月24日、トルコ軍のF-16戦闘機がロシア軍のSu-24爆撃機を待ち伏せ攻撃で撃墜した。

 トルコはNATO加盟国。NATOとの軍事衝突を嫌ってロシアはトルコの国境近くから撤退すると考えたのではないかとも推測されているが、実際は違った。ミサイル巡洋艦のモスクワをシリアの海岸線近くへ移動させて防空体制を強化、さらに最新の防空システムであるS-400を配備し戦闘機を増派してシリア北部の制空権を握ってしまったのだ。アメリカが侵略軍に大量供与していた対戦車ミサイルTOWに対抗できるロシア製のT-90戦車も増やしたことも大きいようだ。

 内部告発支援グループのWikiLeaksによると、10月10日にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はロシア軍機の撃墜を決めた。当然、この決定にはアメリカの好戦派が関係しているだろう。撃墜を決める直前の10月7日から8日までエルドアンは日本に滞在、11月24日から25日にかけてポール・セルバ米統合参謀本部副議長がトルコのアンカラを訪問、トルコ軍幹部と会談している。

 トルコ政府は「国籍不明機」を撃墜したと主張したが、ロシア軍は軍事衝突を避けるため、事前に攻撃計画をアメリカ側に通告していたうえ、アメリカは偵察衛星で監視しているはず。しかもその当時、ギリシャを拠点とするアメリカ/NATOのAWACS(早期警戒管制)機、そしてサウジアラビアもAWACS機も飛行していた。トルコとシリアの国境付近で何が起こっているかも監視していたはずだ。トルコ軍機を指揮管制していた可能性もある。

 トルコ政府の主張では、国境線から2.19キロメートルの地点までロシア軍機は侵入し、1.88キロメートルの距離を17秒にわたって飛行した。Su-24は時速398キロメートルで飛行していたことになる。この爆撃機の高空における最高速度は時速1654キロメートルで、トルコ説に基づく飛行速度はあまりにも遅く、非現実的だ。

 ロシア側の説明(アメリカやトルコから否定されていない)によると、トルコ軍のF-16は午前8時40分に離陸、9時08分から10時29分まで高度4200メートルで飛行して午前11時に基地へ戻っているのに対し、ロシア軍のSu-24が離陸したのは1時間後の午前9時40分。午前9時51分から10時11分まで高度5650メートルで飛行、16分に目標を空爆、24分に撃墜されている。領空侵犯に対するスクランブルではなかった。

 WikiLeaksの情報がなくてもトルコ軍が計画的にロシア軍機を撃墜したことは明らか。当然、アメリカの政府や軍の上層部も承認していたはずであり、ロシア側もそう判断しただろう。ロシア軍が報復攻撃しても不思議ではなかったが、ロシア側は直接的な反撃ではなく、最新兵器の配備で侵略勢力を窮地に追い込んだわけである。    

以上は「櫻井ジャーナル」より

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