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2016年8月26日 (金)

エルドアンという狂気の正気

エルドアンという狂気の正気

エルドアンの精神状態が疑われる状況になっている。

Turkey (2)

もはや周りの人間がすべて敵に見えているようだ。疑心暗鬼になり、選択肢は大量粛清しか知らないようになっている。裁判官の停職、教員の停職(トルコ教育省は、クーデターに関与したとして教員ら15200人を停職、公立大学の学部長1577人に辞職を求める)。粛清は45000人規模になり、刑務所に入りきらないのではないか。

Turkey rebellion (3)

『毎日新聞』(2016年7月20日)によると、こうである。

「トルコの一部軍人らによるクーデターが失敗した事件で、半国営アナトリア通信は19日、トルコ政府が、エルドアン大統領と対立し、米国に亡命中のイスラム教指導者、ギュレン師との関連が疑われるテレビとラジオ計24局の免許取り消しを決めたと報じた。

事件に関連して計7543人の軍人や司法関係者らを拘束したほか、計約2万5000人の公務員を停職処分とし、私立教育機関の教員約2万1000人の免許を取り消した。敵対勢力弱体化のための粛清が拡大しており、「政治的追放」との批判が広がっている」(「クーデター失敗 放送24局、免許取り消し 公務員2.5万人処分」

こうなると、もはや政治ではなく、独裁者の精神状態を疑うレベルである。

こういう政治の末路は歴史的にはっきりしている。粛清するほど、報復の恐怖に駆られ、さらなる粛清に走る。ところが悪無限のターゲットは軍部である。これは地獄ではないか。

エドワード・ルトワックが「トルコのクーデターはなぜ失敗したのか」を書いている。

「軍事クーデター成功のためのルール」の第2条は、実行に参加しない機動部隊(これには当然だが戦闘機の飛行大隊なども含む)は、動員不可能の状態にしておくか、介入してくるには遠すぎる場所に置いておくべきである、というものだ(サウジアラビアの陸軍の部隊が首都から遥か離れた場所に配置されているのは、まさにそのような理由からだ)。

ところが今回のトルコのクーデター計画者たちは、実行に参加しない(戦車、ヘリ、そして戦闘機)部隊を活動不能にしておくことができなかったのであり、いざ実行段階になると、逆に軍の内部からの反発を強めることになってしまったのだ。

ところがこのような事実は、はじめから意味がなかったのかもしれない。なぜなら彼らはすでに、このルールの第1条である「まず最初に政府のトップを奪取(もしくは少なくとも殺害)すること」を守れなかったからだ。

トルコのレジェップ・エルドアン大統領は、クーデターが始まってから支持者たちに向かって軍事クーデターに抵抗することを呼びかけており、最初はiPhoneを使いながら、そして次にイスタンブール空港での会見をテレビ中継によって行っている。

この会見においてかなり皮肉だったのは、彼が近代世俗国家としてのトルコの建国の父であるケマル・アタチュルクの公式肖像画の下で語っていたということだ。なぜならエルドアンが政治活動を始めてからの最大の目標は、この世俗国家を、様々な方法で「イスラム系国家」につくりかえることだからだ。

この「方法」には、世俗系の学校を閉鎖することによって生徒たちをイスラム系の学校に入学させることや、アルコールの禁止の増加、そして多くの場所――これには以前はキリスト教の教会であった場所や、つい最近まで頭に被るスカーフ禁止だった大学のキャンパス内も含む――でモスクを建設しまくっていることなどが挙げられる。

クーデターに反対するために街に繰り出してきた群衆を映し出したテレビの画像は、実に様々なことを教えてくれるものであった。まず彼らは口ひげを蓄えた男たちだけ(世俗的なトルコ人は口ひげを嫌うものだ)であり、女性は誰ひとりとして目にすることはできなかった。
(わたしの偽旗作戦の証拠にもなっている。要はあらかじめ準備されていたエルドアン派が街頭に出たのだ。 注 : 兵頭)

さらに、彼らの唱えていたスローガンは愛国的なものではなく、イスラム的なものであったことが挙げられる。彼らは「アラーは偉大なり」と叫びつつイスラム教の信仰告白を行ったのである。(これも偽旗作戦の証拠になっている 注 : 兵頭)

それと同じくらい皮肉的なのは、アメリカのオバマ大統領、ドイツのメルケル首相、そしてEUの外相になると見込まれているフェデリカ・モゲリーニらが、「民主制度」の名の元にエルドアン大統領の支持をすぐに表明したことだ。

ところがエルドアン自身はトルコの壊れやすそうな民主制度を破壊するためにあらゆることを行っている張本人であり、彼を批判したジャーナリストの逮捕の指示から、トルコ最大の新聞であるザマン紙の占領から閉鎖、そしてドイツやイタリアのような象徴的な存在で権限は首相にある大統領制度であったにもかかわらず、アメリカやフランスの大統領のように権限を持ちはじめたことまで含まれる」(『日々のストレス溜まりまくり』「トルコのクーデターはなぜ失敗したのか」)

エドワード・ルトワックの文章を読みながら、大方、わたしがこれまでメルマガやツイッターで書いてきたことと一致しているのに意を強くした。ただ、かれはわたしのように偽旗作戦とはいっていないのだが。

今回のトルコの「クーデター」なるもの、随分と乱暴で下手である。軍人あるいはCIAがやるとしたら、真っ先にエルドアンを捕獲して射殺しただろう。これでほぼクーデターは成功する。反エルドアン派の抵抗を断念させることができる。ところがプロだったら当然実行したであろうクーデターの1丁目1番地ができなかった。

エルドアンは静養地から「逃亡」し、のんきにiPhoneやテレビを使って国民に抵抗を呼びかけている。

欧州理事会拡大委員会ヨハン・ハン委員は、「クーデター」の前にすでに逮捕者リストがあった可能性を示唆した。偽旗作戦であるから、準備万端、逮捕者のリストが準備されていたのである。

「「軍事クーデター成功のためのルール」の第2条は、実行に参加しない機動部隊(これには当然だが戦闘機の飛行大隊なども含む)は、動員不可能の状態にしておくか、介入してくるには遠すぎる場所に置いておくべきである、というものだ」。ところが「クーデター」に加わらなかった部隊は動員可能な状態であった。内戦にならなかったのがおかしいぐらいで、それはひとえにこれがエルドアンの偽旗作戦だったためである。

Turkey rebellion (5)

偽旗作戦ということは、必然的な「クーデター」失敗の後にエルドアンの目的があったということだ。軍や司法関係者を6000人拘束して粛清を始めた。

エルドアンは、死刑制度のある国は加盟国になれないとするEUの神経を逆撫でするように「トルコの憲法に死刑はないが、(反乱が)二度と起きないよう法改正を検討する」と、2002年に廃止した死刑制度の復活を言明した。

オバマもメルケルもフェデリカ・モゲリーニも、偽旗作戦とはつゆ知らず、エルドアン支持を表明してしまった。これがこの偽旗作戦ではもっとも成功したところである。エルドアンは反民主主義の独裁者なのに。

実はエルドアンとわれらの安倍晋三には、表面的な共通点が多い。どちらも独裁者である。立憲主義を否定している。ともに憲法改悪を志向している。しかし、両者とも憲法改悪に必要な数の議席をとっていない。

エルドアンは、奴隷のように充実なビナリ・ユルドゥルムを首相にしている。それに匹敵するのは、安倍晋三の場合、公明党の山口那津男であろう。

ふたりの政治手法も似ている。メディア対策(弾圧)に熱心である。ロシアへの接近の姿勢を見せることでも似ている。また、両者は原発の輸出と輸入の当事者である。エルドアンは、トルコの直面するあらゆる問題を、米国や国内のクルド人、さらには米国亡命中のギュレンのせいにする。安倍晋三も中国敵視一本槍で、諸悪の根源は中国だと国民を洗脳してきた。

以上は「兵頭に訊こう」より

エルドアンと安倍の狂気には共通するものがあります。マスコミを規制することと不正政治を強行することです。いずれも先が短い様です。                以上

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