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2016年8月28日 (日)

映画「シチズンフォー」で取り上げられたスノーデンの内部告発は重要だが驚愕するものではない

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     ドキュメンタリー映画「シチズンフォー」(アメリカでは2014年10月公開)が日本で話題になっているという。NSA(国家安全保障局)の監視プログラムに関する情報を明らかにしたエドワード・スノーデンをテーマにした作品だ。

 スノーデンはCIAの元技術アシスタントで、後にブーズ・アレン・ハミルトンという会社で働く。技術コンサルタント会社だとされているが、情報機関とは緊密な関係にあり、約2万6000人の社員を抱える巨大企業。その一部がNSAの仕事をしている。彼の内部告発が庶民にとって価値あるものだったことは確かだが、NSAの活動自体は以前から知られていた。その最新情報を明らかにしたということだ。日本の場合、この内部告発で最大の問題はNSAの活動についてマスコミ、学者、活動家といった人びとの大半が長い間、興味を持たなかったことにある。(某大手新聞の記者の場合、外部組織に幹部として出向していた時は興味を示したが、新聞社に戻ってから興味をなくしたらしく、筆者に会うことも避けるようになった。1990年代のことだ。)

 NSAが創設されたのは1949年5月だと言われているが、その3年前にアメリカとイギリスとの間では電子情報機関に関するUKUSA(ユクザ)協定が結ばれている。イギリス側の機関はGCHQ(政府通信本部)。その後、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド(第2当事国)の情報機関も参加するが、これらはNSAやGCHQの下部組織で、それぞれの国の政府を米英が監視する「国家内国家」としても機能してきた。そのほかドイツ、フランス、イタリア、ベトナム、日本、タイなど「第3当事国」も存在するが、UKUSAのメンバーと言えるのはアングロ・サクソン系5カ国。

 当初、NSAもGCHQも存在自体が秘密にされていたが、1972年にランパート誌の8月号にNSA元分析官の内部告発が掲載され、NSAの存在が知られるようになった。その際、NSAは「全ての政府」を監視していることも明らかにされている。スノーデンの内部告発に各国政府が驚くということはありえないということだ。

 GCHQに関する情報を明らかにしたのはジャーナリストのダンカン・キャンベルとマーク・ホゼンボール。ふたりは1976年、イギリスのタイム・アウト誌で調査結果を発表している。その結果、アメリカ人だったホゼンボールは国外追放になり、キャンベルはイギリスの治安機関MI5から監視されるようになった。

 その数年後、キャンベルはタイム・アウト誌のクリスピン・オーブリー記者と電子情報機関の元オペレーターを取材するが、その際に両記者と元オペレーターは逮捕されてしまう。オーブリー(Aubrey)、元オペレーターのベリー(Berry)、そしてキャンベル(Campbell)の頭文字をとって「ABC事件」とも呼ばれている。

 そうした弾圧をはねのけてダンカンは調査を続け、1988年8月には地球規模の通信傍受システムECHELONの存在を明らかにした。それまでの通信傍受システムと決定的に違う点は、全通信が対象になっていることだと指摘していた。

 このシステムの存在が浮上する切っ掛けはロッキード・スペース・アンド・ミサイルの従業員による内部告発。米共和党のストローム・サーモンド上院議員の電話をNSAが盗聴対象にしていたと暴露したのである。(Duncan Campbell, 'Somebody's listerning,' New Statesman, 12 August 1988 )

 このECHELONは1990年代になってニュージーランドでニッキー・ハガーが本にまとめ(Nicky Hager, "Secret Power," Craig Potton, 1996)、注目された。この本に刺激されてヨーロッパ議会も報告書を出した。

 日本ではこの報告書を「産業スパイ」の次元で語る人も少なくなかったが、ヨーロッパ議会の問題意識は全く違う。監視システムや暴動鎮圧技術のターゲットは、反体制派、人権活動家、学生運動指導者、少数派、労働運動指導者、あるいは政敵になる可能性が高いと警告しているのである。つまり、ECHELONは民主主義にとって脅威になると指摘していた。

 アメリカの支配層は情報を集めるだけでなく、蓄積し、分析するシステムの開発も進めていた。1970年代の後半になると、不特定多数の個人情報を収集、分析、保管することのできるシステムが開発されている。

 中でも能力が高いことで有名だったシステムはNSAの元分析官が開発したPROMISだが、日本の法務総合研究所もそのシステムに注目、1979年と80年、2度にわたって『研究部資料』にレポートを載せている。この当時、駐米日本大使館に一等書記官として勤務していたのが原田明夫。言うまでもなく、原田は後に法務省刑事局長として『組織的犯罪対策法(盗聴法)』の法制化を進め、事務次官を経て検事総長に就任している。

 1980年代になると、個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの利用記録、投薬記録、運転免許証のデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関する記録、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードのデータなどあらゆるデータの収集と分析をコンピュータで行うようになる。それだけでなく、街中に設置されたCCTVで人びとは監視され、GPSが搭載された携帯電話、ICカードを使ったプリペイド乗車券で動きを追跡できるようになった。こうした個人情報を一括管理するために使われると見られているのが「住民基本台帳」や「マイナンバー制度」。

 実際の行動だけでなく、スーパー・コンピュータを使って書籍、音楽、絵画などの嗜好を含む膨大な量の個人データを分析して「潜在的テロリスト」、つまり支配層にとって好ましくないタイプ、つまり戦争に反対するような人間を見つけ出そうという研究も進んでいる。当然、そのシステムには教育機関も組み込まれるだろう。

 アメリカでは第2次世界大戦後、FBIのCOINTELPROやCIAのMHケイアスなど国民を監視するプロジェクトを推進され、1974年12月にはCIAが封書を開封していたことが発覚している。この工作の責任者はアレン・ダレスの側近でファシストやイスラエルと緊密な関係にあったジェームズ・アングルトン。CIA長官だったウィリアム・コルビーはアングルトンを解任するが、ジェラルド・フォード政権でそのコルビーが粛清された。その後任長官がジョージ・H・W・ブッシュ。戦争に反対し、平和を望む人びとをFBIやCIAは一貫して危険視してきた。

 NSAやCIAの監視は世界規模に広がり、そうした情報機関と結びついているIT企業は自社製品にトラップドアなどさまざまなバグを組み込み、各国のエリート層を脅すための材料を持っている。スノーデンが内部告発した際、MI5の元オフィサーで内部告発者でもあるアニー・マショーンはスノーデンにとって安全な場所はロシアだけだと語っていた。    
以上は「櫻井ジャーナル」より
悪い国ほど他国の動きがきになり、盗聴などに注力することになります。今の世界で一番の悪は米国です。悪を助ける日本の存在も危険なことです。      以上

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