ジカ熱流行の中心地がアメリカへ移動中
ジカ熱流行の中心地がアメリカへ移動中。国際研究チームは、今後、全世界で「9300万人」が感染し、最大で50万人の赤ちゃんが影響を受ける可能性を提示
2016年7月31日のENSニュースより
・Epidemic Could Hit 10,000 Pregnant Puerto Ricans
ジカウイルスの最近の大きな流行地だったブラジルなどの南米大陸は今年のこの時期、大変に寒い冬となっていて、おそらく、リオ・オリンピックも場合によっては、かなり低い気温の中でおこなわれる可能性があります。
そんなこともあり、蚊が活発に活動する気温ではなくなっている南米では、ジカ熱の流行は現在収束に向かっていますが(冬が終わればどうなるかはわかりません)、このジカの感染地の中心が少しずつ北アメリカ大陸に向かっています。
冒頭の報道は、アメリカの自治領であるプエルトリコで急激に感染者数が増加していることが報じられているもので、7月7日までの時点ですので、やや以前ですが、プエルトリコにおいて、
・78市町村から患者の報告
・5582人の患者数
・そのうち672人が妊娠した女性
という患者数の報告がなされていまして、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は、今のままでは、1万人以上のプエルトリコの妊婦が影響を受ける可能性があるとしています。
プエルトリコは下の位置にあります。
プエルトリコの場所
・Google Map
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また、このプエルトリコという自治国は、昨年から債務不履行(デフォルト)が繰り返されていまして、基本的に国家の財政が「破綻」している状態です。
プエルトリコは今年もデフォルトを起こしました。
プエルトリコ、3度目の債務不履行に
日本経済新聞 2016/05/03
財政危機に陥っている米国自治領のプエルトリコは2日、政府開発銀行債のうち償還期限を迎える4億2200万ドル(約450億円)の債務支払いができなかった。
プエルトリコが関連債務でデフォルト(債務不履行)を起こすのは3度目。
プエルトリコは総額700億ドル(約8兆円)規模の債務を抱えている。同自治領のガルシア知事は15年に債務支払いが困難だと宣言。債権者と交渉し債務を減らしたうえで財政の立て直しを目指している。
こういう国で、保険当局による衛星状態が万全に進むということも、やや考えにくいことではありまして、今後どのようになっていくのかが懸念されています。
アメリカでも、7月下旬、旅行者ではない 4人の人たちがジカ熱を発症し、アメリカ南部にジカウイルスを持つ蚊が定着した可能性が考えられています。
渡航歴ない4人がジカ熱、蚊が媒介の初症例か 米フロリダ州
CNN 2016/07/28
フロリダ州衛生局は27日、蚊が媒介するジカウイルス感染症(ジカ熱)について、流行国への渡航歴がない住民がウイルスに感染したと思われる症例が4例確認されたと発表した。今回見つかった4例のうち1例でも地元で蚊に刺されて感染したことが確認されれば、米本土で蚊がジカ熱を媒介した初のケースとなる。
4人ともジカ熱が流行している国や地域に渡航したことはなかった。
性感染の可能性は排除されていない。
当局は感染者数を特定するため、住民を個別に訪問して尿検査への協力を求めている。感染しても80%は症状が出ないことから、知らないうちに感染している可能性もある。
米連邦当局は、米国内での感染は予想されるとしながらも、感染が広がることはないとの見通しを示している。
なぜ、アメリカ当局が、
> 感染が広がることはない
と見通しを立てているのかは不明です。
そして、その中で、米国、英国、スウェーデンの合同研究チームが、ジカ熱の流行が今後、全世界の 9340万人に影響を与え、最大で 50万人の子どもが、先天性障害などの影響を受ける可能性があるという予測を発表しました。
研究によって、いろいろと予測は違いますが、どちらに向かうのかは今のところはわからないです。
その合同研究チームの発表の報道を AFP から抜粋してご紹介します。
ジカ熱流行、数万人の障害児生む恐れ 国際研究
AFP 2016/07/26
中南米やカリブ海地域で起きているジカ熱の流行により、ジカウイルスへの感染に関連した障害のある新生児が今後、数万人生まれる可能性があるとの研究結果が25日、発表された。
米国、英国、スウェーデンの合同研究チームが英科学誌ネイチャー・マイクロバイオロジー(Nature Microbiology)に発表した論文によると、ジカ熱のまん延が収束を迎えるまでに、妊婦約165万人を含むおよそ9340万人がジカウイルスに感染するという予測が立てられたという。
感染しても8割が軽微な症状に留まるか感染に全く気付かないが、胎児には甚大な影響が及ぶ恐れがある。
ジカウイルスとの関連が指摘されている「小頭症」と呼ばれる脳の発達異常は、死産や深刻な障害を招くこともある。
研究チームによると、ジカウイルスの影響を受けやすい妊娠初期に感染した妊婦のうち1~13%の胎児が、小頭症などのジカ熱関連合併症を発症していたという。
論文を共同執筆した米インディアナ州ノートルダム大学のアレックス・パーキンス(Alex Perkins)氏は、AFPに対し、この予測は「最悪のシナリオ」であると語ったが、今回の研究に関わらなかった専門家からは、研究チームの見積もりは控えめなものだとの声も上がっている。
英ランカスター大学のデレク・ギャザラー(Derek Gatherer)氏は、ジカ熱に感染した妊婦から発達上の問題がある新生児が生まれる確率は最大29%との研究結果も出ていることから、最大で「50万人以上」の子どもたちが影響を受ける恐れがあるとの見解を示している。
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