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2017年4月30日 (日)

不透明な表層下で進む中東の安定化<2>

不透明な表層下で進む中東の安定化<2>

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 昨年末、サウジアラビアが主導するペルシャ湾岸産油諸国の集まりGCCの

6か国が、長年の敵だったイランと和解していく方針を決めた。昨年末にシリアの

アレッポで、GCCが支援していた反政府組織が、イランが支援してきたアサド

の政府軍に破れ、イランの勝ち、GCCの負けでシリア内戦の勝敗がついたから

だ。サウジがイエメン内戦でシーア派のフーシ派に苦戦していることも理由だっ

た。GCC内で比較的中立なクウェート(国民の4割がシーア派)が、イランと

の和解に先鞭をつける役を担い、今年1月にクウェート外相がイランを訪問、

2月初めにイランのロハニ大統領がクウェートとカタールのGCCの2か国を歴訪

し、サウジとイラン、スンニとシーアの和解の過程が始まった。

 

http://www.presst.ir/Detail/2017/03/08/513539/Iran-Qatar-Zarif-Persian-Gulf-Rouhani

Iran’s Zarif holds talks with Qatari emir on bilateral ties, Mideast issues

 

http://www.presstv.ir/Detail/2017/03/10/513733/Iran-Saudi-Arabia-China

Iran welcomes China’s offer to help settle Tehran-Riyadh differences

 

 GCCはイランに和解を提案する際に「イランのイスラム革命を国外のシーア

派に輸出しようとしないこと」を、和解の条件として出した。イランは、イラク、

シリア、レバノン、イエメン、バーレーン、サウジなど、スンニが多数派ないし

権力者であるアラブの国々に住むシーア派を宗教的・政治的に扇動し、イランを

中心とする革命的シーア派の国際的な政治結束を強め、中東におけるイランの

国際影響力を急拡大してきた。イランの急拡大は、サウジなどスンニ諸国の大き

な脅威になっている。GCCは、イランが影響力拡大をやめるなら和解したいと

申し出た。イランはこの条件を了承した。アラブ諸国の中心に位置するGCCと

イランとの和解は、アラブとイラン、スンニとシーアの長年の対立を終わらせる

ことになる。

 

http://www.scoop.co.nz/stories/HL1702/S00076/turnaround-in-saudi-iranian-relations.htm

Turnaround in Saudi-Iranian Relations?

 

http://www.thenational.ae/world/middle-east/20170225/saudi-foreign-minister-isits-iraq-in-first-such-trip-for-27-years

Saudi foreign minister isits Iraq in first such trip for 27 years

 

 これで和解が進むと思いきや、話はそんなに簡単でなかった。イランは、サウ

ジなどGCCとの和解に同意し、イスラム革命の輸出停止も了承した。だが、ア

サドを勝たせてシリアとレバノンを新たに傘下に入れつつあるイランは、急激に

拡大する自分らの影響力を、GCCとの和解で削ぎたくない。イスラム革命の輸

出停止を誠実に履行すると、イランは今の影響力拡大を自ら止めねばならない。

 

http://www.presstv.ir/Detail/2017/03/05/513117/Iran-Saudi-Arabia-Mohammad-Javad-Zarif-JCPOA

No positive change in Saudi political approaches: Iran FM

 

http://english.alarabiya.net/en/views/news/middle-east/2017/02/24/The-foundations-of-dialogue-between-Iran-and-the-GCC.html

The foundations of dialogue between Iran and the GCC

 

 GCCとイランが和解すると、シリアでは、サウジなどアラブ諸国がアサド政

権の存続を認める代わりに、イランは内戦終結後のシリアからヒズボラなどシー

ア派民兵団を撤退せねばならなくなる。ロシアもそれで良いと言っている。だが、

イランにとって、それはダメだ。そのためイランは、新たに味方につけたレバ

ノンのアウン大統領(マロン派キリスト教徒)に、過激な親イラン・親ヒズボラ

の言動をとらせ、アラブ連盟がアサドと和解しようとするのを妨害している。

 

http://www.middleeastmonitor.com/20170217-fear-in-lebanon-of-hezbollah-becoming-like-irans-revolutionary-guard/

Fear in Lebanon of Hezbollah becoming like Iran’s Revolutionary Guard

 

http://gulfbusiness.com/kuwait-welcomes-irans-readiness-dialogue-gcc/

Kuwait welcomes Iran’s readiness for dialogue with the GCC

 

 イランは、いずれGCC(つまりサウジ)と和解するだろう。だがその前に、

サウジやGCCが弱体化し、米国が中東での影響力を低下させ、ロシアも強硬策

をやりたがらない中で、イランは、中東での影響力を全力で拡大したい。イエメ

ン内戦をシーア派の勝利で終わらせたいし、バーレーンの民主化(国民の多数を

占めるシーア派が、少数派なのに独裁政治を敷いている君主一族を反政府運動で

追放する)も完遂したい。サウジ東部のシーア派住民にも、最大限の自治権を取

らせてやりたい。IS(スンニ派テロ組織)を退治した後のイラクで、多数派で

あるシーア派の統治を確立させたい。サウジとイランの和解話は、イランの覇権

拡大欲によって、先延ばしにされている。

 

http://gulfnews.com/opinion/thinkers/the-choice-is-not-between-israel-and-iran-1.1990691

The choice is not between Israel and Iran

 

http://www.nytimes.com/2017/03/06/world/middleeast/bahrain-opposition-crackdown-shiite-sunni.html

Bahrain Moves to Dissolve Major Opposition Group

 

 こんな状況下で、意外なところからサウジの助っ人が登場した。それはイスラ

エルだ。イスラエルは最近、サウジなどアラブ諸国に「結束してイランの脅威に

対抗しよう」と言いつつ急接近している。イスラエルとアラブ諸国で、ロシア敵

視のNATOのような法的にガチガチのイラン敵視同盟を作ろうという構想まで

ある。サウジは、イランに勝てないと思ったから和解を提案している。いまさら

イスラエルに言われても、本気でイランとの敵対をやり直したいとは思わない。

イスラム教徒として、エルサレムを侵害するイスラエルと同盟するのはタブーで

もある。イスラエルもそれを知りつつやっている。

 

http://www.cnsnews.com/news/article/patrick-goodenough/iran-troubled-signs-emerging-israeli-arab-reconciliation

Iran Troubled by Signs of Emerging Israeli-Arab Reconciliation

 

http://www.breitbart.com/jerusalem/2017/02/25/leading-saudi-journalist-arab-nato-must-formed-confront-iran/

Leading Saudi Journalist: Arab NATO Must Be Formed To Confront Iran

 

 イスラエルの目的は、イラン敵視の中東版NATOを作ることでなく、サウジ

に急接近することで、イランに脅威を感じさせ、サウジをイスラエルに取られる

ぐらいなら早くサウジと和解しようと思わせ、イランがイスラエルの仇敵である

ヒズボラなどへのテコ入れを抑止するよう仕向けることだ。イスラエルは、オバマ

以来、米国の後ろ盾が急速に失われていることを知っている。トランプは、親

イスラエルだが、米国の覇権を壊しており、イスラエルが米国に頼れない状況を

加速している。イスラエルは、イランとサウジ=アラブの両方と和解する必要が

ある。

 

http://www.haaretz.com/misc/article-print-page//.premium-1.774675

Hezbollah and Hamas don't seek clash with Israel

 

http://www.csmonitor.com/World/Middle-East/2017/0301/As-US-pressures-Iran-parallel-tensions-grow-between-Israel-and-Hezbollah

As US pressures Iran, parallel tensions grow between Israel and Hezbollah

 

 イスラエルのアラブ接近で、イランも対抗してアラブに接近し、アラブを仲介

にイスラエルとイランが和解する。そのような展開になれば中東は幸運だ。そう

した展開を阻止したい奴らが大きな戦争を起こすように動いて成功すると、逆に

ハルマゲドンになる。最近、イスラエルとヒズボラが敵対を強め、今にも戦争を

始めそうな感じを醸成している。これは目くらましだと考えられるが、そうでな

い場合は危険だ。ヒズボラは「イスラエルの秘密の核兵器開発施設がどこにある

か把握しており、いつでも攻撃できる」と脅している。

 

http://www.debka.com/article/25951/Hizballah-lists-targeted-Israeli-%E2%80%9Cnuclear-sites%E2%80%9D

Hizballah lists targeted Israeli “nuclear sites”

 

http://www.dailystar.com.lb/News/Lebanon-News/2017/Mar-02/395712-israel-remoes-lebanon-border-cameras.ashx

Israel remoes Lebanon border cameras

 

▼アラブ連盟のアサド招致は延期

 

 前回の中東記事を書いた後、依然として中東情勢は不透明な状況が続いている。

米国のトランプ大統領はこれまで、ロシアと和解して一緒にシリアの安定化

(IS退治)に取り組む姿勢をとっていたが、最近、それを転換するような言動を

とっている。前回の中東記事の末尾に書いた、アサド政権に化学兵器使用の濡れ

衣をかけて国連安保理でシリア制裁決議案を米英仏で出した件が、その象徴だ。

ロシアと中国は2月28日、この決議案が米国の濡れ衣策であるとして拒否権を

発動し、葬り去った。

 

http://tanakanews.com/170227mideast.php

不透明な表層下で進む中東の安定化

 

http://www.presstv.ir/Detail/2017/02/28/512482/Russia-China-Syria

Russia, China block anti-Syria UNSC resolution

 

 その関連で、米国がサウジアラビアなどアラブ諸国に圧力をかけ、アサド政権

との和解を妨害したと考えられる事態も起きている。アラブ連盟は、3月末に開

くサミットに、11年から関係断絶していたシリアのアサド政権を再招待するこ

とを検討していた。前回中東のことを書いた2月末の時点では、アサド招待への

流れがしだいに強くなっており、このまま実現するのでないかと感じられた。

3月7日には、アラブ内でも親イランなシーア派主導国イラクの外相が、アサド

招致を強く提唱した。

 

http://www.presst.ir/Detail/2017/03/07/513407/Iraq-Syria-Arab-League

Iraq calls for Syria’s rejoining Arab League after years of exclusion

 

http://www.timesofisrael.com/egyptian-mps-call-for-syrias-return-to-arab-league/

Egyptian MPs call for Syria’s return to Arab League

 

http://www.debka.com/article/25944/The-Arab-Summit-may-bury-hatchet-with-Assad

The Arab Summit may bury hatchet with Assad

 

 アサドの再招待は、連盟内で最もアサド敵視が強いサウジアラビアと、アサド

を和解することが目標だ。アサドの背後にはシーア派のイランがいる。昨年末以

来の、サウジ(GCC)がイランとの和解に動いていることの一環と考えられる。

アサドとサウジの和解は、イランとサウジ、スンニとシーアに和解につながる。

和解を演出するのはプーチンだ。エジプトやヨルダンといった連盟内の親露諸

国もアサド再招待を支持している。米国は関与せず、ロシア主導で中東の和解が

試みられている感じだった。しかし結局、アラブ連盟は3月7日外相会議で、ア

サド招致は時期尚早なので今回見送ることを決めた。

 

http://sputniknews.com/middleeast/201703021051177471-president-assad-inite-arab-league/

 President Assad May Be Inited to Arab League Summit Israeli Media

 

http://www.middleeastmonitor.com/20170308-syria-will-not-take-part-in-the-nextarab-summit-says-arab-league-secretary-general/

Syria will not take part in the next Arab Summit, says Arab League Secretary-General

 

http://english.ahram.org.eg/NewsContent/2/8/260536/World/Region/Arab-situation-not-suitable-for-Syrias-return-to-A.aspx

Arab situation not suitable for Syria's return to Arab League, says chief Aboul-Gheit

 

▼ネタニヤフもエルドアンもモスクワ詣で

 

 トランプ政権は、トランプ自身の対露和解姿勢が、政権内の軍産系の勢力に阻

まれ、ロシア敵視策に転換している感じだ。だが、中東の国際政治の現場では、

ロシアの重要性が増大する一方だ。3月9日にはイスラエルのネタニヤフ首相が、

10日にはトルコのエルドアン大統領がモスクワを訪問し、それぞれの国益に

とって重要な安全保障の案件で、プーチンにお願いをしている。

 

http://www.debka.com/article/25961/Two-Mid-East-leaders-make-no-headway-with-Putin

Two Mid East leaders make no headway with Putin

 

 ネタニヤフは、シリアからヒズボラや革命防衛隊などイラン系の民兵団が出て

行かないことがイスラエルの国家安全に脅威となっているので、ロシアのちから

でイラン傘下の勢力をシリアから追い出してほしいとプーチンにお願いした。

エルドアンは、シリア北部でクルド人の支配力が増大し、米国はクルド民兵

(YPG)にどんどん武器を渡し、米軍の顧問団もクルド軍のもとに派遣して、

ISの「首都」であるラッカを攻略し、ロシアもクルドに甘いが、YPGなどクルド

勢力はトルコにとって大きな脅威となる「テロ組織」なので、ロシアはクルドと

仲良くしないでほしいと言いに行った。トルコは米国にも以前から苦情を言って

いるが、ほとんど無視されている。シリアの問題は、米国でなくロシアに頼まない

と動かない状態だ。

 

http://www.jpost.com/Middle-East/Russian-deputy-FM-to-Post-Hezbollah-will-leave-Syria-when-conflict-is-over-482134

HEZBOLLAH WILL LEAVE SYRIA WHEN CONFLICT IS OVER

 

http://www.wsj.com/articles/three-way-contest-for-raqqa-to-shape-mideast-1489055407

Three-Way Contest for Raqqa to Shape Mideast

 

 ロシア政府は、ヒズボラなどイラン系の軍事勢力に対し、シリア内戦が終わっ

たらシリアから出て行くよう求めている。だがこれは、イスラエルを安心させる

ための「口だけ」の要請だ。実際には、ロシアが何を言っても、イラン系勢力が

シリアから出て行くことはない。シリア政府軍は内戦で大きく疲弊しており、ア

サド政権は、イラン系勢力の軍事支援がないと、ISやアルカイダを退治した状

態でシリア国内の治安を守っていけない。

 

http://www.ft.com/content/8cd89cd8-fd0d-11e6-8d8e-a5e3738f9ae4

The west to Russia: you broke Syria, now you fix it

 

 イラン系軍事勢力は、少なくともシリア政府軍が強さを復活するまでの今後数

年間、シリアの安定維持に不可欠な存在になっている。シリアの安定を望んでい

るロシアは、ヒズボラなどイラン系勢力を無理やりシリアから追い出そうとしな

いはずだ。イスラエルは、自国に隣接するシリアがイランの傘下に入ったままの

状態、自国のすぐ隣までイランの軍事勢力が迫っている状態で、今後の米国の中

東撤退に対応し、シリアやイランとの和解過程に入らねばならない。

 

http://www.almasdarnews.com/article/russia-not-give-israel-green-light-strike-hezbollah-syria-kremlin/

Russia did not give Israel green light to strike Hezbollah in Syria: Kremlin

 

 ヒズボラの故郷で、イランの隣のレバノンでは、昨秋から大統領をしているマ

ロン派キリスト教徒のミシェル・アウンが、最近、イランやヒズボラを支持称賛

し、イスラエルを敵視する表明を繰り返している。レバノンは、シーア派35%、

スンニ派25%、マロン派20%のほか、ドルーズ派、ギリシャ正教徒などが

入り交じる多民族国家で、イランやシリアがシーア派をテコ入れし、サウジがス

ンニ派をテコ入れ、旧宗主国フランスやイスラエルがマロン派をテコ入れして、

内戦と和解を繰り返してきた。レバノン国軍の兵士の多くはマロン派だ。現在の

最強の軍事勢力は、国軍でなくシーア派のヒズボラだ。ヒズボラは、軍事部門

(民兵団)と政治部門(政党)の両方の機能を持っている。

 

http://www.middleeasteye.net/columns/falling-arab-consensus-michael-aoun-and-road-arab-summit-2049246045

A fragile Arab consensus: Michel Aoun and the road to the Arab summit

 

 かつてサウジの影響力が強かった時は、スンニとマロン派が組み、イランやシ

リア傘下のシーア派と対立していた。だがシリア内戦がイランにテコ入れされた

アサドの延命で終わり、米国の後ろ盾が失われてサウジが弱まる中で、レバノン

ではシーア派のヒズボラの軍事力・政治力が増大している。マロン派は、スンニ

と組むのをやめてシーアと組むようになった。これが、アウンのイランやヒズボ

ラ支持の背景だ。

 

http://www.reuters.com/article/us-lebanon-saudi-diplomacy-idUSKBN15L168

Saudi Arabia to appoint ambassador to Lebanon: president's office

 

 イスラエル諜報界によると、レバノン国軍は、すでにヒズボラの指揮下に入っ

ている。06年の前回のイスラエルとレバノン(ヒズボラ)の戦争では、レバノ

ン国軍は、兵舎にこもっているだけの傍観者だったが、次にもし戦争になったら、

その時には国軍はヒズボラと一緒にイスラエルと戦うだろうと予測されている。

 

http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/226224

'Lebanese army is Hezbollah unit'

 

http://www.thetower.org/4676-israeli-security-officials-lebanese-army-will-fight-alongside-hezbollah-in-next-war/

Israeli Security Officials: Lebanese Army Will Fight Alongside Hezbollah In Next War

 

http://tanakanews.com/g0822israel.htm

ヒズボラの勝利

 

 アウンは昨秋、大統領に就任した後、今年1月にサウジを訪問してサルマン国

王に会い、支持を取り付けた。だがその後、サウジからの返礼としてサルマン国

王がレバノンを訪問しようとした矢先に、アウンはヒズボラやイランへの礼賛を

強めた。イランのライバルであるサウジは、アウンの一連の発言を嫌い、予定さ

れていた国王のレバノン訪問をキャンセルした。このような展開も、先日のアラ

ブ連盟での、サミットへのアサド招致のとりやめ決定の理由になったと考えられる。

 

http://gulfnews.com/news/gulf/saudi-arabia/saudi-king-cancels-lebanon-trip-after-aoun-defends-hezbollah-weapons-1.1989041

Saudi king cancels Lebanon trip after Aoun defends Hezbollah weapons

 

 シリアだけでなくレバノンをも傘下に入れたイランは、できるだけ手間をかけ

ずにレバノンを支配したい。そのためにはレバノンで、シーア派(ヒズボラ)が

主導しつつスンニ派やマロン派の政治組織とも敵対を避けて協調する体制を構築

するのが良い。アウンがヒズボラやイランを礼賛し続けることは、サウジに、ア

ウンとは協調できないと思わせてしまっており、その意味で失策だ。

 

 しかし、さらに深く考え、もしアウンの強いヒズボラ・イラン支持の表明が、

イランの意図的な戦略に基づくものだとしたらどうだろうと考えると、それは、

冒頭の要約に書いたような、イランがサウジとの和解を、中東におけるイランの

影響力をもっと強めてからやりたい、それまでは敵対を保持しておきたいと考え

たからだと推測できる。いずれ、イランとサウジは和解し、アラブ連盟はサミッ

トにアサドを再招待する。だがその時には、中東におけるイランの国際覇権が今

よりもっと強くなっているだろう。

 

 

この記事はウェブサイトにも載せました。

http://tanakanews.com/170312gcc.htm

 

 

 

以上は「田中宇氏」ブログより

中東は複雑で仲々政治が安定しません。こうなった原因は米国の都合による他国への侵略行為にあります。自作自演の「9.11テロ」を引き起こして中東に攻め込んだ行為は戦争犯罪そのものです。             以上  

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