「アメリカファースト」が
トランプを孤立させた元凶

 そして、非常に重要なポイントだが、米経済界からもトランプの決定に反対する声があがっている。BBCニュース、6月2日から。

米経済界も声高に、協定残留を求めていた。
グーグル、アップル、化石燃料メーカーのエクソンモービルなど、何百もの企業が大統領に協定に残るよう要請していた。
エクソンモービルのダレン・ウッズ最高経営責任者は自ら大統領に手紙を送り、米国は協定に参加したままでも「十分に競争できる」し、協定に残れば「公平なルール確保のために話し合いの場に参加できる」と力説した。>


 トランプが世界のみならず、自国内でも「孤立している」ことは、明らかだろう。

 トランプは、なぜ就任半年で、これほど孤立したのか?彼に敵が多いのは確かだ。野党である民主党はもちろん、与党・共和党内の「反ロシア派」、マスコミ(特にCNN、ABC、ニューヨーク・タイムズなど)、CIAなど諜報機関、国際金融資本など。これらの勢力は、執拗にトランプバッシングをつづけている。

 しかし、トランプがNATO加盟国の全首脳に、「もっと金を出せ!」と演説したり、「パリ協定離脱宣言」するのは、「彼自身の決断」だろう。なんといっても、これらは大統領選挙戦中からの「公約」なのだから。彼の言動は、彼の「思想」を反映しているだろうから、問題は「彼の思想」ということになる。

 トランプの思想とは、なんだろうか?そう、「アメリカファースト」(米国第一主義)だ。

 トランプのおかげで、「〇〇ファースト」という言葉が、流行している。「ジャパンファーストでいこう」という政治家もいるし、「都民ファースト」という言葉も、しばしば耳にする。「米国の大統領が使うから」と、あまり考えずマネをする人が多いのは、危うい傾向だ。

 もし「私は、『私ファースト主義者』です。自分の利益を最優先させます!」と宣言する人がいればどうだろう?この人は、人々から愛され、会社でトントン拍子に出世していくだろうか?そんなことはないだろう。

「私ファースト」のことを、一般的な言葉で「エゴイスト」(自己中心主義者)という。「エゴイズム」は、世界のどこでも「悪いこと」とされ、嫌われる運命にある。

 では、ある企業の社長が、「『わが社ファースト』でいきます。お客さまのことよりも、わが社の利益を最優先させます!」と宣言したらどうだろう?普通、そんな会社から買いたいとは思わないだろう。