しかし、21世紀に入ると内閣支持率の「当初高、末期低」の傾向は、以前より強まったといわざるをえない。人気先行で成立した内閣が、人気をとるため約束した政策、企図した政策が実現できず人気を失っている。末期に首相や閣僚の不祥事、問題発言などで人気が低下する場合も多い。

 史上初めて内閣支持率の低さで首相交代が主張されたのは、2000年末、森政権時に生じた「加藤の乱」の際だったと言われている。

政党支持率の“上支え”が
期待されるようになった

 もう一つの目立った傾向は、以前は、「内閣支持率」が「自民党支持率」を下回っていたのに対して、近年は、内閣支持率が自民党支持率を大きく上回るようになった点である。転換点は、やはり小泉内閣であろう。派閥型政治から劇場型政治のへの転換とも言える。

 かつて、自民党支持率が40%前後で安定していた時期には、中選挙区制の時代だったこともあって、自民党の国会議員は首相の人気に頼って当選しようとは考えなかった。自民党は、国政選挙で多数派を形成した後に、当時の派閥間のバランスの中で首相を決めればよかった。

 その後、自民党支持率が30%前後に低下した状況の中で、1996年に小選挙区比例代表並立制が導入されたこともあり、国民からの評判が高い首相を選んで、自民党支持率を少しでも上向きにしてから選挙を戦いたくなってくる。そして政権末期には、人気の落ちた首相の首をすげ替えることによって、政党の支持率を保とうとするのである。

 小泉政権の特殊性は、内閣支持率が自民党支持率を一貫して上回り続けたところにある。自民党の議員は、内閣のおかげで実力以上に当選できると感じたから政局は官邸主導となり、長期政権が実現したのだ。2期目の安倍政権にも似たようなところがあるのである。

 このように考えていくと、最近の安倍政権の内閣支持率の急落は、急落そのものが問題なのではなく、自民党支持率を下回りかねない状況によって、官邸による統率が取れない事態が生じ、政局によって政権の維持が一気に流動化してしまう可能性がある、という点が問題なのである。

(統計データ分析家 本川 裕)