社会科学者の随想さんのサイトより
http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1070170219.html
<転載開始>
【チェルノブイリ原発事故現場に似てきた福島第1原発事故現場】

【いったい,これからの何十年間をこのように悪魔の火との格闘をさせられていくのか?】

【いまもまだ原発推進派の立場である者たちは「答えねばならない」原発の問題があるのだが,誰1人としてまともに返事ができない現状は,原発の失敗を実証(論証?)している】



 ①「3号機,カバー完成 福島第1原発」(『朝日新聞』2018年2月21日夕刊)
『朝日新聞』2018年2月21日夕刊1面東電3号機
 東京電力福島第1原発3号機の原子炉建屋最上階に設置が進められていたカバーが〔2月〕21日,完成した。使用済み燃料プールからの燃料取出し作業で,放射性物質の飛散を防ぐのが目的。東電は燃料取出しを今秋にも始める予定だ。

 この日朝,直径約23メートル,重さ約55トンの最後の円形パーツが建屋最上階に下ろされた。作業員がすでに設置されていたパーツと合体させ,プールを覆う長さ約57メートルのカバーが完成した。(引用終わり)
 この『朝日新聞』の報道と同じ内容であったが,Web版(asahi.com)のほうでも,別立ての記事が組まれていた。その見出しは「福島第一3号機,建屋カバー完成  今秋にも燃料取出し」と付けられ,つぎのように記述していた(asahi.com 2018年2月21日10時52分)。前段の記事引用と重複するが,このまま引用しておく。

   東京電力福島第一原発3号機の原子炉建屋最上階に設置が進められていたカバーが21日,完成した。使用済み燃料プールからの燃料取出し作業で,放射性物質の飛散を防ぐのが目的。東電は燃料取出しを今秋にも始める予定だ。

 カバーの設置は昨〔2018〕年7月から,分割して進められてきた。この日朝,直径約23メートル,重さ約55トンの最後の円形パーツが大型クレーンで吊り上げられ建屋最上階に下ろされた。作業員がすでに設置されていたパーツと合体させ,プールを覆う長さ約57メートルのカバーが完成した。

com080221カバー設置東電福島第1原発3号機

 損傷した建屋のプールには566体の燃料が残っている。再び大きな災害が起きた場合にリスクとなるため,取出しを急ぐ必要がある。放射性物質の飛散を防ぐカバーの完成は,取出し作業に向けた大きな一歩になる。
 註記)https://digital.asahi.com/articles/ASL2N4QMXL2NUGTB00D.html?iref=pc_ss_date

 ②「東北などの水産物輸入禁止 WTOが韓国に是正求める」(NHKニュース,2018年2月23日 0時43分)

 東電福島第1原発事故現場をめぐっては,まだこういう問題も,国際政治・経済的な困難として残っている。このニュースを全文引用する。

 --東京電力・福島第1原子力発電所の汚染水問題を理由に,韓国政府が東北などの水産物の輸入を禁じていることについて,日本政府の提訴を受けたWTO=世界貿易機関の1審にあたる小委員会は,日本の訴えを認めて,韓国側に是正を求める判断を示しました。

 韓国政府が原発事故の汚染水問題を理由に,2013年から福島県など8つの県の水産物の輸入をすべて禁止していることなどに対し,日本政府は国際的な貿易ルールに違反しているとして,WTOに提訴しています。

 これを審議していたWTOで1審にあたる小委員会は,日本時間の〔2月〕23日未明に日本の訴えを認めて,韓国側に是正を求める判断を示しました。このなかでは,韓国政府の措置は「恣意的(しいてき),または不当な差別に当たり,必要以上に貿易を制限している」として,国際的な貿易ルールに違反しているという内容になっています。

 今回のWTOの判断について,日本政府は「主要な論点でわれわれの主張がすべて認められたものであり,歓迎したい」としています。ただ,韓国政府がこれを不服として2審にあたるWTOの上級委員会に上訴すると,最終的な判断が示されるまでは現在の輸入規制が続けられるため,今後は韓国側の対応が焦点となります。
 註記)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180223/k10011339621000.html?utm_int=news_contents_news-main_005

 ここでは参考になる資料として,農林水産省が公表している『東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応』を挙げておく。

 この文書は,「平成23〔2011〕年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故により,各国・地域政府は,日本の食品に対する検査・規制を強化しています」という問題に関する『日本における食品の安全性確保に関する資料』日本語版(全体版)(PDF:3,631KB) (平成29〔2017〕年1月24日更新)である。

 上記の文書中からつぎの2点を画像資料にして紹介しておく。これをみれば,問題の対象が全世界的な広がりを有している事実が理解できるはずである。
 註記)http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html
          

( ↓  画面 クリックで 拡大・可)
 農林水産省原発事故輸入規制図表1
 農林水産省原発事故輸入規制図表2
  出所)http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/safety_170124_2_japanese.pdf

 ③「〈真相深層〉汚染処理水 迫る決断の時 福島第1,放出踏み切れぬ政府・東電 容量限界,地元理解は進まず」(『日本経済新聞』2018年2月23日朝刊2面「総合1」)

 福島第1原子力発電所の汚染水を浄化したあとに残る処理水を海に放出するかをめぐり,政府・東京電力が決断を迫られている。現在タンクで保管する処理水は東京ドーム 0.8杯分の約 100万トン。あと3年弱でタンク増設用の敷地がなくなる見通しで,限界に近づきつつある。地元が懸念する風評被害対策を東電が1月に公表したものの,実施のハードルはなお高い。

 1)国は「合理的」
 汚染水は,浄化しても放射性物質のトリチウム(三重水素)が残る。林立するタンク全体の7割にあたる約600基にトリチウムが混じる。増えつづけるトリチウム水は廃炉計画を妨げかねない。もっとも現実的とされるのが海洋放出だ。経済産業省は2016年にもっとも低コストで短期間に処分できるとの試算を公表した。

 海洋放出がすんなり決まらないのは風評被害の恐れがあるからだ。経産省は東電もくわわる会議で風評被害対策も含めた処分のあり方を議論してきた。処分法は政府が最終決定する。東電だけでは手に負えないためでもあるが「東電の主体性がみえない」(原子力規制委員会の更田豊志委員長)との批判も生んでいる。

 周囲から決断を迫られる東電には苦い経験がある。2017年7月,川村 隆会長が「(海洋放出の)判断はもうしている」とインタビューで答えたと報じられたことだ。全国漁業協同組合連合会から「漁業者と国民への裏切り行為」と強い抗議を受けた。福島県選出の吉野正芳復興相も放出反対を表明し,東電は「慎重に検討を進める考えに変わりない」と火消しに追われた。

 地元の批判をいかに和らげるか。ひとつの回答が風評被害対策に真剣にとり組む姿勢を示すことだった。東電は2018年1月31日,福島県産の農作物や海産物の風評被害対策に関する行動計画を公表した。「ふくしま流通促進室」を新たに設置し,全国的な販路を開拓する。

 さらに2日後の経産省の会議で東電福島第1廃炉推進カンパニーの松本純一廃炉推進室長は「国や自治体のとり組みがないと風評被害の払拭は実現できない」と協力を求めた。だが委員から返ってきたのは「放射線について(国民の)理解が進んでいない。今後も(放出が)簡単にいくとは思えない」との言葉だった。
 補注)ここでいわれる「放射線についての国民の理解」とは,いったいなにを意味し指示するのか,われわれにはよく把握できない事項である。原発についての「安全・安価・安心」という虚偽のスローガンについては,以前であれば「国民の理解」をえるために多大な経費をかけて〈洗脳工作〉をおこない,「3・11」までは成功裏に達成させ維持させえてきた。

 だが,いまごろにもなって,福島第1原発事故現場からの汚染水漏れ問題,つまり溜めこんでいる「トリチウム水は廃炉計画を妨げかねない」から,「もっとも現実的とされるのが海洋放出だ」という論法(汚染水そのものの後始末の仕方)は,これじたいが「国民を洗脳する」ための理屈としては受けられにくくなっているし,ましてや,そのような無理無体が強引にまかり通る時代ではない。

〔記事に戻る→〕 自然界でも作られるトリチウムの出す放射線は弱く,紙1枚で遮ることができる。原発運転で生じるトリチウム水は世界で放出されており,日本でも福島事故前5年の平均で年間計約380兆ベクレル(放射能の強さを表わす単位)が全国で放出された。
『日本経済新聞』2018年2月23日朝刊東電福島タンク
 福島第1原発でタンクに貯蔵されているトリチウム水の濃度は1リットルあたり約100万ベクレル。国の基準は1リットルあたり6万ベクレル以下の濃度なら海洋放出を認めている。希釈して流すのは技術的に可能だ。規制委も健康影響を含め放出は問題ないとの立場。更田委員長は1月に福島県を訪れ「海産物や環境に影響がないのは科学的に明確」と強調した。
 補注)「希釈して流すのは技術的に可能だ」という点は,専門家ではないわれわれにとっても理解しやすい技術の問題であるが,「規制委も健康影響を含め放出は問題ないとの立場」に対しては,国民たちの誰もが無条件で納得するかといえば,けっしてそうではない。要は海洋に放出するさい,その濃度さえ薄めればいくらでも可能だという論理は,論理ではなく単にゴミ捨て(出し)の要領でしかない。

 東電が溜めこんでいる「トリチウム水の濃度は1リットルあたり約100万ベクレル」だと説明されているが,福島第1原発事故現場において溢れんばかりに貯蔵されている「その総量」が,たとえいくら多くあっても,きちんと薄めて太平洋に流しこむことにしておけば,それこそ「溶けて流れりゃ,みな同じ」というわけである。


 2) 漁業再生が無に
 しかし地元住民らの不安と不信は根強い。韓国などはいまも福島産の海産物などの輸入を禁じる。相馬市の漁業者は「試験操業など漁業再生に向け積み上げてきた努力が海洋放出ですべて崩れてしまう」と危惧する。事故を起こした東電を「信用できない」との声も強い。
 補注)前段 ② の報道は,こうした現実の問題になんとか突破口を作りたい日本政府側における努力の一環を表現していた。韓国側のその禁輸措置がなくなれば,福島第1原発事故現場にかかわる福島県漁業者側の抱く懸念すべてが解消できるかのような報道であった。

 ただ,いつまでも先送りできない。原発敷地内で処理水用タンクの設置場所が2021年1月以降,足りなくなる恐れがある。海洋放出を決めたあとも,許認可や放出用パイプライン設備の工事になどに約2年かかる。地元説明会なども開く必要がある。事故から7年間事態が進まなかったことを考えれば「決断のタイムリミットは近い」(経産省幹部)。更田委員長も「今〔2018〕年中に決めなければ新たな困難が生じる」と話す。
 補注)この現状が安倍晋三君が5年前に食言した点,東電福島第1原発事故現場は “under control” の真相である。どうせ,ウソつき晋ちゃんの発言だったゆえ,いまごろ彼を責めても「カエルのつらに▼▼」であるが,『魔法使いの弟子』をすでに破門されている日本政府・経済産業省などが,東電福島第1原発事故現場をその師匠不在のままで解決していくことは,半永久的にできない相談である。
       

安倍晋三undercontrol画像
  出所)https://ttrinity.jp/sp/shop/cacats/design/1512948

 ① の「3号機,カバー完成 福島第1原発」との見出しでの報道は,まるでチェルノブイリ原発事故の石棺化(現在は2代目)の様子を彷彿させているが,双方におけるそれぞれの建造物はまったく違った目的をもっている。

 福島第1原発事故現場ではこれから,原子炉内で圧力容器から格納容器に溶融・落下したデブリを,より確実にとり出せるようにするための足場を建築する工事がおこなわれてきた。だが,チェルノブイリ原発事故現場は初めから石棺化した状態で,それこそ永久に「臭いモノにはフタ」の要領でその後始末をひとまず付けている状況になっている。

 福島第1原発事故現場で,その3号機から,しかも「MOXを核燃料に使用」しており,「3・11」の直後には核爆発を疑わせる爆発事故まで発生させていたこの現場のなかから,そのデブリをとり出していく作業工程は,いったいいつになったら終わらせることができるのか?

 まだ誰も的確に教えてくれない。何十年かはかかるらしいが,もしかするとその何十年が経過した時点でも,まだいつになったら済むが判らないのだという返事しかえられないかもしれない。要はよく判らないことだらけなのである。

 なにせ,原子力のことを一番よくしっている『魔法使いの師匠』の実力に相当する者は,実は,この地球:人間の世界においては1人もいない。だからか,引用中の記事はつぎのようにも書いていた。


〔記事に戻る→〕 放射線の問題は「科学や合理性だけの要素では国民を説得できない」(内閣府担当者)のも事実だ。2月2日の経産省の会議でも「安心には科学プラスアルファが必要」「近隣諸国の誤解を解くメッセージを出す」など実施すべき事柄が列挙された。

 東電が健康影響を丁寧に説明するのは当然だ。だが海洋放出の社会的影響を最小限に抑えるには東電の取り組みだけでは難しい。事故対応を主導する政府がもっと前面に出なければ,迷走は続く。

 ④「原子力小委員会傍聴記 第13回原子力小委員会の感想」(『原子力資料情報室』2018/01/31)

 この『原子力資料情報室』の報告記事,「総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会が2年半ぶりに開催されました。当室共同代表の伴 英幸も委員を務めており,意見書を提出しています」を紹介する。

 その報告記事は,日本の原発問題がエネルギー源に関する議論としてみるとき,本質的にはどのような難題をかかえており,しかその迷路にまよいこんだかに映る「原子力村・利害関係者集団」側の妄想ぶりを,的確に指摘し批判している。③ まで紹介した「日本の原発関連事情」をよく念頭に踏まえたうえで聴くべき意見である。

★『原子力小委員会傍聴記 第13回
   原子力小委員会の感想』★

 2018年1月16日に開催された第13回原子力小委員会を傍聴した。いまだに東京電力福島第1原発事故以前の,再生可能エネルギーの爆発的な普及以前の議論が十年1日のように続けられている。まるで不思議の国に迷いこんだかのような印象だ。前提をまず確認しよう。

 〔「3・11」の前年〕2010年度の日本の1次エネルギーの国内供給量は約2,214.4京ジュール,内原子力による供給は246.2京ジュール(全体に占める割合:11.1%),再生可能エネルギー(水力含む)は113.2京ジュール(同5.1%)だった。

 一方,2016年度は1次エネルギー国内供給量が2,015.9京ジュール,原子力による供給は15.1京ジュール(0.7%),再生可能エネルギーによる供給は153.0京ジュール(7.6%)である。日本はこの6年間で198.5京ジュール分のエネルギーを削減したことになる。

 電力供給については2010年度 1.11兆kWh,内原子力分は0.29兆kWh(全体に占める割合:25.8%),再生可能エネルギー(水力含む)は0.11兆kWh(同10%),2016年度は全体が1.05兆kWh,内原子力分は0.02兆kWh(2%),再生可能エネルギー分は0.16兆kWh(同15%)である。

 この間,0.06兆kWh分の発電量が減少し,再生可能エネルギー導入促進により0.05兆kWh分発電量が増加したことになる。一次エネルギー総供給量は2011年以降,ほぼ一貫して減少を重ねてきた一方,GDPは実質値で492.9兆円から524.4兆円に増加した。経済成長とエネルギー需要のデカップリングがこの間進んできたことが明らかとなっている。
 補注)ここで「デカップリング(decoupling)」の意味を説明しておく。一般的には,あるものと別のあるものが分離することを指し,連動(カップリング)していたものが連動しなくなる(デカップリング)という現象について,このように用いられることばである。

 すなわち,いまの原発に関する議論では「経済成長と電力消費量」のデカップリングがいわれており,そこで,原発に産業経済の成長をカップリングさせる思考方式が,根本から批判・排除されている。


 さて,本ブログの昨日〔2月22日〕における議論でも,東京大学工学部出身の原子力工学者鈴木達治郞が「原発以外の選択肢」を,部分的・相対的に認容せざるをえない姿勢を,原発じたいの廃絶は絶対に許容しない立場・思想をも踏まえて語っていた。

 詳しくは,鈴木達治郎『核兵器と原発-日本が抱える「核」のジレンマ-』(講談社,2017年12月)を参照してほしいが,「原発問題」に関する鈴木の議論は,意図的にと思われるが,不徹底:詰めの甘さを可能なかぎり許す論旨になっていた。前段のことばを借りていえば,デカップリングの概念・思考などとは,まだまだ無縁の立脚点に執着していた。


〔『原子力情報資料室』の記事に戻る→〕 一方,世界では,再生可能エネルギーへの投資が加速しており,Bloomberg New Energy Finance の推計によると,2016年の再生可能エネルギーへの投資総額が2,266億ドルであるのに対し,原子力には300億ドルとされる。この間,再生可能エネルギーへの投資額はおそよ2,000億ドル前後,原子力に対しては500億ドル未満で推移している。
   

再生可能エネルギー各国図表統計
 出所)http://www.garbagenews.net/archives/1969249.html

 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告によると,大規模太陽光発電の均等化発電原価(LCOE)は,2010年の36セント/kWh(39.2円/kWh)から2016年には10セント/kWh(11.1円/kWh)へと73%下落した。陸上風力は8セント/kWh(8.7円/kWh)から6セント/kWh(6.7円/kWh),洋上風力も17セント/kWh(18.5円/kWh)から14セント/kWh(11.1円/kWh)へ下落した。一方,原発の建設コストは長期的に上昇しつづけてきた。

 しかし,第13回原子力小委員会では,こうした事実を踏まえない発言があった。

 今回から委員長代理に就任した山口 彰委員(東京大学教授)は,エネルギー自給率は現在8%だが,2010年以前は20%程度あり,原子力は内15%あったと発言した。百歩譲って原子力をエネルギー自給率に含めたとしても,一次エネルギー国内供給量に占める原子力は13%を上回ったことはなく,2010年時点では11.1%であった。
 補注)『原子力情報資料室』の理解でいえば十二分に既知の事項だと思うが,原子力を「準国産エネルギー」などと〈妄想的に解釈したあげく,さらには確定された「技術的な概念」であるかのように規定し説明する〉のは,基本のモノゴトをまともに認識できないままの,架空のエネルギー論でしかない。けれども,同資料室は配慮をしてなのか,このように一歩(半歩?)譲ったかたちでの議論をおこなっていた。

 原子力村的な思考方式にしたがえば,外国から原料を輸入して製造した食品などもすべて「国産品」になってしまう。原発を動かすためのウラン(核)燃料が国産などというのは,噴飯モノどころか,初めから「▼▼まみれ」の発想でしかない。それでもなお,いまだにそのように空虚な詭弁的発想が原子力村的な言語体系となって,この村内だけでは通用させられている。

〔記事に戻る→〕 また,複数の委員から再生可能エネルギーの不安定性を強調する発言がみられた。しかし過去,日本では複数回,原発トラブルによって,電力不足に陥っていること。

 そのもっとも顕著な例は,2011年の東京電力福島第1原発事故後の電力危機に伴う計画停電だが,それ以外にも,東京電力が原発で発生したトラブルを隠ぺいしていたことが発覚し,保有する原発を停止・点検する必要が生じたことから2003年に電力不足に陥っている。

 原発のような大規模電源が計画外停止すると,大規模な電力不足に陥る。再生可能エネルギーによる発電でもたしかに変動は生じるが,このような大規模停電リスクはない。
 補注)各種多様な再生可能エネルギーの開発・利用の発展・拡張によって,電力供給の不安定性は技術経済的にも解消可能になりつつある。むしろ,原発の利用にこだわる発想に留まるかぎり,再生エネの普及・滲透を妨害するような「原子力村のイデオロギー思想」は,ますますその本性を鮮明にしている。にもかかわらず,日本国原子力村の面々は,エネルギー問題に関していえば「完全に周回遅れ」のまま議論している。ある意味では,救いようのないくらいに「原子力村の利害状況的に倒錯した観念・主義」が暴露している。

 複数委員が原子力発電は低廉な電力を供給すると認識しているようだ。しかし,原発を再稼働した電力会社のうち,値下げに踏み切ったのは関西電力のみだ。さらに関西電力は確かに高浜原発3・4号機の再稼働に合わせて電力値下げをおこなったが,4.3%の値下げのうち,原発再稼働による値下げは2.0%であり,経営効率の改善が2.3%であった。多くの委員は明らかに原子力を過大に評価している。
 補注)関電は原発が稼働できていなかった期間,従業員の賃銀を大幅に下げていただけでなく,「経営効率の改善」にも努力するほかなかった。そいうわけで,いうなれば “でくの坊” で融通の利かない原発を利用することの不利さについては,関電ももういい加減に悟っているはずである。

 「原発を再稼働した電力会社のうち,値下げに踏み切ったのは関西電力のみだ」という点にも問題があるけれども,ともかく関電は発電能力のうち半分以上を原発に依存していた電力会社であったがゆえ,前段のような対応の軌跡を余儀なくされてきた。

〔記事に戻る→〕 さらに,昨〔2017〕年の伊方原発3号機について広島高裁が出した運転差止仮処分命令について,原子力規制委員会が専門性をもって出した判決について司法が介入することを問題視する意見もみられた。

 東京電力福島第1原発事故以前,司法は行政庁の専門技術的裁量を広く認めてきた。それが行政が「規制の虜」となったひとつの要因であったはずだ。さらに,海外では原発に関して規制当局が認めたことについて司法が否定することはなかったとの指摘もあったが,たとえばドイツではミュルハイム=ケアリッヒ原発について,連邦行政裁判所が許可を取消す判決を出している。

 原子力小委員会は,原子力委員会が原子力政策大綱を策定しなくなって以降,日本の原子力政策を方向付ける,ほとんど唯一といってよい場になった。少なくとも,各委員の空想の世界での議論ではなく,事実に即した議論が求められる。
 註記)http://www.cnic.jp/7844   なお,引用した文中には原文の註記が何カ所かに付されているが,ここでは割愛した。興味ある人はこの註記の住所も検索して参考にしてほしい。

 原発を導入したせいでその大事故を起こした東電福島第1原発事故現場の後始末は,いうまでもないがその後において,まさしく「賽の河原の石積み」にならざるをえない苦役を,自社内の業務としてだけでなく,日本国・人民(とくに「福島県の被災者たち」)にたいしてもまだ強いている最中である。

悪魔イメージ画像 ところで,その事故現場をどこかから,きっとみつめているはずの,それも「放射性物質を唯一うまく統御できる使い手」である「《悪魔の火》の師匠」は,いま地球上のこの人間世界において,とくに日本国福島県においても「傷跡となって深く残されている原発事故現場」を, “それみたことか,オレ様の真似をしたがったからさ!” とせせら笑っている。
 出所)画像は,http://icooon-mono.com/14983-悪魔のフリーイラススト3/    

 その魔法の師匠は原子力の使い方だけは教授してくれた。だが,その後始末(事後のかたづけ)の方法については,なにも伝授してくれていなかった。起こるべくして起きたあの事故であったし,なるべくしてなった『いまの事態:惨状』であった。しかし,いまからでは後戻りはできないのが「原発という電力生産装置」に特有である「物理・化学的な至難」「その因果応報的な顛末」であった。

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<転載終了>