芳ちゃんのブログさんのサイトより
http://yocchan31.blogspot.jp/2018/04/blog-post_16.html
<転載開始>
われわれが住んでいる世界はいつの間にか「新冷戦」に突入してしまった。

前の冷戦中起こった米ロ間の最大級の政治・軍事的な緊張はキューバ危機(1962年)であった。両国間の軍事的緊張は、当時、全面核戦争の一歩手前にまで迫っていたと伝えられている。

それでは、キューバ危機の半世紀後の現在(2018年)進行している「新冷戦」はどうなのであろうか?

私の個人的な印象では、このところ第三次世界大戦の勃発や核大国間での核戦争を懸念する声が非常に高まっている。そして、その頻度が急激に増えている。今や大戦前夜になったとでも言うべきなのかも知れない。不気味である。
ニューヨークタイムズやBBCといった西側の主流メディアは英国のソールズベリーで起こったスクリパル親子毒殺未遂事件で大騒ぎを引き起こし、英国政府はNATO加盟国諸国に対して「連帯」を呼びかけ、まともな証拠も示さずに、この事件はロシア政府が起こしたものだとして、ロシア大使館の職員多数を国外へ退去させた。

ミズーリ大学のマイケル・ハドソン経済学教授は、スクリパル毒殺未遂事件について独自のユニークな解釈を紹介している。(記事の表題:「The Economics Behind the Skripal Poisoning」: By The Hudson Report, Apr/06/2018 )。米国側の思惑は「ロシア恐怖症」を煽ることによってヨーロッパのNATO加盟国に軍産複合体からたくさんの武器を買い付けさせることにある。EU政府はEU各国の赤字予算を野放しにはしない。トランプ米大統領の主張にしたがってEU各国がGDP2パーセントを軍事費に支出しようとすると、社会保障への支出を抑え、軍事支出を増やさなければならない。
人々は考え始める。「待てよ、EU圏の予算は赤字予算を抑制している。もしもわれわれの社会福祉に対する支出を削減する以上にNATOのために軍事費を増大させるとすると・・・ われわれが銃とバターの両方を手にすることは無理だ・・・」 つまり、スクリパル事件はヨーロッパの世論を軟化させ、彼らを恐怖に陥れて、「銃に金を使った方がいい。バターなしでもわれわれは何とかやって行ける」と思わせたいのだ。ヨーロッパは、今、1960年代のベトナム戦争の際に米国で起こった論争とまったく同じ状況を経験しようとしている

何時ものことながら、ハドソン教授の説明は非常に興味深い。戦争を遂行したい勢力は何と執拗なのだろうか?現在の世界における軍事的緊張は多くが米国の軍産複合体の思惑から始まっていると言っても過言ではない。この自覚を再確認することは非常に大事だ。
シリアでは化学兵器が一般市民に対して使用されたとして、西側はまたもやアサド政権を非難し、ついに、4月14日の未明、米英仏の三カ国はシリアに対してミサイル攻撃を行った。国連安保理の決議案も無しに、アサド政権が化学兵器を使ったという証拠さえも示さず、米国はシリアを空爆する計画であったようだ。

幸いなことに、今回の米英仏によるミサイル攻撃はシリア政府の要請を受けて同国に駐留するロシア軍の海軍基地や空軍基地を守る対空防衛地域には入らなかったことから、ロシア軍との直接の軍事衝突には発展しなかった。トランプ大統領はロシアやイランの拠点をも空爆したかったようであるが、マチス国防長官が大統領を説得して、ロシア軍の拠点に対する爆撃は止めて、シリア空軍基地の2か所と化学兵器の製造を行っているとされる民間施設とを空爆することになったと報じられている。
ロシア政府はかねてからシリアに駐留するロシア軍に攻撃があった場合には、速やかに報復すると宣言していた。

私の意見では、このロシア軍の事前の宣言が奏功して、米英仏三カ国はロシア軍との直接の衝突を避けたことが明白に伺える。空爆の判断に責任を持つ将軍らは自分の部下や同僚を無駄に死なせる訳にはいかない。つまり、シリア政府の要請を受けてシリア国内でシリア政府軍を支援し、反政府武装勢力との戦いを遂行してきたロシア空軍や海軍の能力については西側の軍部は十分に理解しているのだ。
また、化学兵器の生産や貯蔵に用いられているとして攻撃目標となった建物は物的な損害を受けただけで終わった。化学兵器がまき散らされて近隣の住民が呼吸困難に陥るといった症状はまったく起こらなかったという。空爆があった日、いくつかの外国からのニュース・メディアが空爆を受けた民間企業の工場に招待され、現地の取材を行った。

こうして、シリアにおける米ロ間の代理戦争は、今回、新たな局面を露呈した。ロシア軍と直接戦う決意は米軍には最初からなかったのではないかと思わせるものがある。ベトナム戦争のように、嘘から始まった武力行使である。米軍トップの思考過程に優柔不断な部分があったとしても不思議ではない。
こうした状況はいったい何を意味するのであろうか?その背景にはどんな要素があるのだろうか?

われわれ一般大衆は主流メディアによってすっかり洗脳されてしまっている。必ずしも現実を理解してはいない。つまり、われわれが理解している現実の世界は真の現実とメディアによって喧伝された擬似的現実とがごっちゃまぜになった世界だ。
何か非常に根源的で、大局的で、深層に隠れている重要な要素を見落としてしまっている可能性は十分にあるだろう。それが故に、われわれ素人は全体像を理解するのに何時も苦労している。

スクリパル親子の毒殺未遂事件や米英仏によるシリア空爆の出来事があったばかりで、その余韻が今でも強烈に残っていることから、前置きがえらく長くなってしまったが、ここにアイルランド出身のジャーナリスト、フィニアン・カニンガムが書いた記事 [注1] がある。その表題は「ロシア恐怖症は米国とヨーロッパの衰退を隠すための隠れ蓑」と題されている。興味をそそられる題名である。
本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有したいと思う。

 
<引用開始>
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Photo-1: © Getty Images

外敵または外部からの脅威を喧伝することによって国内の団結を図ろうとする手法は古い時代から用いられて来た国政術である。ソ連邦時代の冷戦の頃がそうであったように、またしても、ロシアは西側にとって大嫌いな存在となっている。

しかし、本当のことを言うと、西側各国自身は、今、内政問題によって厳しい挑戦に晒されているのが現実である。
皮肉なことには、自分たち自身の内政問題から受ける挑戦を否定しようとすればするほど、西側の指導者は自分たちの制度的崩壊を早めることになる。

ロシア恐怖症、つまり、どんな問題に関してでも「ロシアのせいだとして非難する」ことは、関連情報に明るく、憤慨し切っている西側の市民らが自分たちの苦情に対して民主的な対応を正当に求めようとしている時に、最後の審判の日を回避しようとするようなものであって、これは実に近視眼的で、無駄な策だ。 
もっとも支配的な「公式」見解は、米国からヨーロッパに至るまで、「悪意に満ちた」ロシアは「われわれを分断するために種を蒔いている」、「民主制度を崩壊させようとしている」、あるいは、「統治システムや権力の座にある政党ならびにメディアに対する一般庶民の信頼を台無しにしようとしている」と主張している。

この筋書きは2016年にドナルド・トランプが大統領に選出され、ホワイトハウス入りしてからというもの、その論調は強硬になるばかりだ。彼をホワイトハイスへ送り込むためにクレムリンは「影響力のある介入」を行ったとして、非難されているのである。この奇妙な作り話は常識を否定するものだ。作り話を紡ぎ続けるには糸が底をついてしまうだろう。
逆説的な話ではあるが、「ロシアゲート」と称され、内政干渉だと言う馬鹿馬鹿しい主張に関しては、トランプ大統領は「フェークニュース」であるとしてこれを正当に拒絶したが、他の機会には彼は「米国やヨーロッパの同盟国を転覆させる」キャンペーンをモスクワが計画しているとの主張を支持して、自分自身を傷付けることになった。例を挙げるとすれば、12月に彼が署名した国家安全保障戦略を参照して貰いたい。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

特に、「腹黒いロシア人」が居て、「偽情報を駆使」し、RTやスプ―トニクというロシアのメディアを通して「フェークニュース」を広げることによって西側の民主主義を「破壊」しようとしているという主張が西側の政治家の間に叩き込まれているのだ。
状況は極めて全体主義的であって、政治家やメディアの専門家の間には理性的な異議を差し挟もうとしても、そんな余裕はまったくないようだ。

英国のテレサ・メイ首相は「分断の種を蒔いている」としてモスクワを非難した オランダの諜報部門はロシアは米大統領選を不安定化したと主張し、EUの安全保障の担当理事であるジュリアン・キング卿はロシアのニュース・メディアは28か国のブロックを不安定化させようとする「クレムリンによって指揮された情報操作装置」だとして毎日のように厳しく風刺する。マイク・ポンペオCIA長官はロシアは今年末に行われる米中間選挙を干渉する取り組みを強化しようとしていると述べて、最近、警告を発した。
西側諸国は、本質的には、西側を崩壊させようとする極悪非道なロシアによる攻撃に晒された犠牲者であると位置付けたいようで、この種の筋書きが続いているのである。

こういった言葉の綾を用いた特別に教育的な提言は「コメンタリー」に掲載されたテキサス選出のウィル・ハード民主党議員の論評によって代表される。「ロシアはわれわれの敵」と題した記事の中で、彼は「ロシアは我が国を分断することによってわれわれの民主主義を侵食させている。我が国を救うには、米国人は団結して行動しなければならない」と主張する。 
ハード議員はこう言う。「ロシアの目標はひとつだ。我が国の制度に対する信頼を蝕むことだ・・・ 東欧や中欧において何十年にもわたってこの目標を達成するためにロシアは情報操作を兵器として来た。2016年には米国と西欧とがこの攻撃の目標となった」と。

嘆かわしいことには、上記のすべての主張が検証可能な証拠によって成り立っているわけではない。単純に言って、大嘘を執拗に繰り返すことによってそれを「真実」に変身させようとする魂胆だ。
ハード議員の思考の過程をさらに辿ってみることは非常に教育的であろう。

「一般大衆がメディアに対する信用を失った時、ロシア人の勝ちとなる。メディアが議会に対して極端に批判的になった時、ロシア人の勝ちとなる。議会と一般大衆の意見が一致しない時、ロシア人の勝ちとなる。議会と政府(大統領)との間で摩擦が生じ、その結果、われわれの民主的な制度への信頼がさらに失われた時、ロシア人の勝ちとなる」と、彼は頑固に主張を繰り返す。
想定される解決策として、ハード議員はロシアの「影響力作戦」に対抗して「情報操作に対処するための国家戦略」を呼びかけ、「米国人は政治環境がこれ以上悪化することを許してはならない」と付け加えている。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

後半は思想統一を模索することを擁護するものであって、これは反対意見や批判を「思想犯罪」と見なして排除する警察国家とまったく同じだ。
しかしながら、これは西側の政治家が従順なメディアの支援を受け、彼らに扇動されて、如何に反民主的で被害妄想的な思考を持っているのかを示すものであり、民主制度は内部から崩壊することになるだろう。想定上の外敵のせいで崩壊するわけではない。

崩壊の本物の理由を無視し、それを否定したとしても、西側諸国の間では権威や合法性の崩壊を示す不吉な兆候が明らかとなる。統治システムや大部分の政治家、著名な企業メディア、ならびに、諜報サービスは一般大衆にますます軽蔑され、信用を失なっていく。
政治および倫理上の権威を失ったのはいったい誰のせいだろうか?西側の政府や機関は鏡の中の自分の姿を眺めてみる必要がある。

過去20年間にわたって米国およびヨーロッパのNATO加盟国が押し進めて来た、終わりが見えない、犯罪的な戦争こそが民主主義および国際法を順守するという大げさな公式見解に一般大衆がもはや信頼を置かなくなった理由である。これは非常に説得力のある理由だ。
米国およびヨーロッパのメディアは自分たちの政府の好戦的な陰謀に関して一般大衆に正確に報じる義務を放棄してしまった。これは非難に値することだ。シリアを例に挙げてみよう。テロリスト集団を戦争遂行の道具として武装し、資金を提供することによって米国とNATO加盟国は秘密裏にシリアを荒らし回って来た事実について、西側の平均的な市民はいったい何時になったらその事実を企業メディアの記事で読むことができるのであろうか? 

さらには、的確な情報を入手している市民らはいったいどのようにしてそういった犯罪的な政府の政策や政府の犯罪を隠蔽しようとするメディアの共謀に尊敬を払うだろうと期待し得るのであろうか?
政府や政治家およびメディアに対する西側の一般大衆の不満は社会的不平等や貧困にも起因している。これらの現状は富者をさらに富ませ、大部分の市民を容赦のない耐乏生活に追いやっている。

重圧感を与える経済環境が社会にもたらしている不安定化は政治家クラスが奇妙にも主張する「ロシアの介入」以上に大きな不満の源泉となっているのである。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ところが、西側のメディアは一般市民が直面する社会的問題を取り上げる代わりに「ロシアゲート」という何とも見事な現実逃避に耽溺している。このようなメディアが軽蔑の念や不信感をもって見られているのは無理もない。いやはや、踏んだり蹴ったりだ。これらのメディアは一般大衆にはロシアが敵であると思い込んで欲しいのであろうか? 
経済的不安や教育、医療サービス、次世代の働く場の欠如、生態学的逆境の到来、国際法や外交を放棄してしまった西側によって引き起こされる戦争、等において市民が直面する脅威を認識し、その問題に対処することに代わって、侮辱的にも、西側の市民はロシアの「悪意に満ちた影響力」や「民主主義に対する攻撃」といった実につまらない話にうつつを抜かしている。

ロシアゲートのスキャンダルに昨年中費やされた膨大な量のメディア側の関心や一般大衆が費やした時間とエネルギーについて少しでも考えてみて欲しい。そして、今、本物のスキャンダルが徐々に表面化しようとしている。それは米国のFBIは、恐らく、オバマ政権と共謀してトランプに対して民主的プロセスを買収しようとしたことだ。
今まで嘘をつき放題にして、愚か者たちの代表を務めて来た「当局」に対して一般大衆が純粋な気持ちから軽蔑や不信の念を持ったとしても、それは何の驚きでもないのではないか? 

西側の民主主義が崩壊する状況はロシアとは何の関係もない。西側の制度の崩壊に関してロシアを責めようとする「ロシア恐怖症」は西側の政府やメディアのような企業が直面する本質的な問題を隠すための身代わりを提示しようとするものだ。反民主的な運営を慢性的に行なっていることや国際法に組織的に違反していること、犯罪的な戦争や政権の転覆のための口実を追及していること、等から判断すると、これらの問題は内在的なものであって、全面的に政府の所有物である。

注: この記事に表明されている見解や意見は全面的に著者のものであって、必ずしもRTの見解や意見を代表するものではありません。

著者のプロフィール: フィニアン・カニンガム(1963年生まれ)は国際問題に関して幅広く執筆し、彼の記事はいくつもの外国語で出版されている。北アイルランドのベルファーストの出身で、農芸化学の修士課程を卒業し、英国のケンブリッジにある英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。後に、新聞報道に身を転じた。ミラーやアイリッシュ・タイムズ、インデペンデント紙を含めて、20年以上にわたって主要メディアの編集者ならびに執筆者として働いた。現在はフリーランスのジャーナリストとして東アフリカに本拠を置く。彼の記事はRTやスプ―トニク、ストラテジック・カルチャー・ファウンデーション、プレスTVにて出版されている。

<引用終了>
 

これでこの記事全文の仮訳が終了した。
彼の結論は西側の民主主義が崩壊する状況はロシアとは何の関係もない。西側の制度の崩壊に関してロシアを責めようとする「ロシア恐怖症」は西側の政府やメディアのような企業が直面する本物の問題を隠すための身代わりを提示しようとするものだにある。

つまり、フェークニュースを流し、ロシアゲートを喧伝し、新聞の購読数を増やし、テレビの視聴率を上げ、軍産複合体が潤沢な国家予算を確保し続けることはどう見ても永久には続かない。どこかで破綻する。米国にはそれが明白に分かっていながらも、昨日の悪癖を今日も繰り返さなければならないのだ。何という寒々しい現状であろうか!
世界の覇権の構造が一極支配から多極構造に急速に変化しようとしている中、米国が少なくとも自国民を食べさせて行こうとするならば、今まで踏襲して来た他国から搾取する政策は止めて、米国は他国との協調に舵を切らなければならないだろう。それを実現しようとすれば、米国は国際法の順守を主張するロシアや経済大国として台頭してきた中国との関係を徐々に改善するしかないのではないか。

しかし、間違いなく、かなり長い時間を要することだろう。

***

アルバート・アインシュタインの言葉: 「無限に続く事象としてはふたつが存在する。そのひとつは宇宙で、もうひとつは人間の馬鹿さ加減だ。しかし、私にとっては宇宙は必ずしもそうではない。」
これを敢えて敷衍すれば、人間の馬鹿さ加減は無限に続くが、帝国はいつの日にか崩壊する。

 

参照:
1: Russophobia a futile bid to conceal US, European decline: By Finian Cunningham, RT, Feb/13/2018, https://on.rt.com/8z27

 
<転載終了>