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2018年7月20日 (金)

★北朝鮮を中韓露に任せるトランプ

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★北朝鮮を中韓露に任せるトランプ
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

この記事は「北朝鮮に甘くなったトランプ」の続きです
http://tanakanews.com/180615korea.php

 6月12日の米朝首脳会談後、北朝鮮の最大の貿易相手国である中国が、中朝
国境における物資の輸出入の検問や規制を緩和している。核兵器開発を世界から
批判される北朝鮮は、国連で経済制裁され、人道にかかわる物資以外の輸出入を
規制されている。北を追い詰めたくない中国は昨年まで、経済制裁を部分的に無
視し、中朝国境を行き来するトラックの検問や、港湾において北朝鮮との間を行
き来する船舶の査を、あまりやっていなかった。だが昨年、対北制裁の厳格化を
宣言したトランプの米国から圧力を受け、中国は、国境や港湾における北との貿
易品を乗せたトラックや船舶に対する検問を強化していた。

 米国の軍産系のRFA(自由アジア放送)によると、米朝首脳会談後、国境に
おける中国側の検問が大幅にゆるくなった。検問で国連制裁対象の製品が見つか
ると、以前なら1日留め置かれた後に罰金を払わされていたが、会談後は罰金を
払えばすぐ通行できるようになった(以前から中国側は、輸出入禁止=製品没収
でなく、罰金徴収=金儲けしかやっていなかったということだ)。検問自体が散
発的になっている。中国から布などの原料を北に輸出し、低賃金な北の縫製工場
でそれを衣類に仕立て、中国に再輸出し、中国経由で日本などにも輸出する「加
工貿易」が従来の中朝貿易の主力だったが、昨年の検問強化でそれが不振に陥っ
ていた。中国の検問緩和により、今後、この加工貿易が復活する。中国との貿易
は、北の貿易全体の9割を占める。検問緩和が、北の経済の窮地を救う流れにな
りそうだ。

http://www.rfa.org/english/news/korea/customs-06152018140404.html
China Relaxes Customs Inspections on Border With North Korea, Despite Sanctions Assurances

(RFAは軍産のプロパガンダ機関であり、上記の報道も中国敵視の目的で事実
の歪曲捏造誇張が入っている可能性がある。今のところ、この件を報じているの
はRFAだけで、他のマスコミは報じていない。だが、中国が北への経済制裁を
緩和したいと思っていることは確かで、トランプが北に甘い態度を取り始めた首
脳会談後の今のタイミングで中朝国境の貿易検問を緩和したのは不自然でない)


http://theduran.com/us-issues-list-of-47-demands-to-north-korea/
US issues list of 47 demands to North Korea

 米国は表向き、まだ世界が北を経済制裁する体制を続けると言っている。だが、
北側によるとトランプは首脳会談で制裁解除を約束したというし、中国やロシア
は北制裁を早く緩和したがっている。北の問題を中韓露に任せたいと思っている
トランプは、中国が国境検問の緩和により北制裁を事実上やめていくことに、
実のところ反対していないのでないかと私は勘ぐっている。

http://www.bloomberg.com/news/articles/2018-06-13/north-korea-says-trump-agreed-to-lift-sanctions-after-meeting
North Korea Says Trump Intends to Lift Sanctions Against Regime

 もともと中国は、経済制裁で北を追い詰めるのは得策でないと考えてきた。
「主体思想」の北は、外国からの圧力に屈する従属姿勢を毛嫌いする。米国だけで
なく、中国の圧力にも抵抗する。中国は昨年春から夏にかけて、トランプにけし
かけられて対北経済制裁を強化したが、それは意固地になった北が核ミサイル実
験を繰り返すことにつながり、中朝関係を悪化させただけで失敗した。

 北は、対米卑屈な日本と正反対な、頑固な国体だ。中国が北に中国型の市場経
済体制を浸透させようとしたところ、北の前独裁者だった金正日は了承したのに、
息子の金正恩は中国の隠然介入を警戒し、13年末、中国と懇ろだった経済担当
高官の張成沢を残虐に処刑してしまった。中国は、金正恩政権になってからの北
を持て余してきた。トランプ発案の経済制裁強化も失敗した。

http://tanakanews.com/131218korea.htm
北朝鮮・張成沢の処刑をめぐる考察

 中国は、昨年夏以降、北への強硬姿勢を強めるトランプと一線を画し、ロシア
や韓国と連携し、柔軟な「ダブル凍結」の路線に転換した。ダブル凍結は、北が
CVIDの核廃絶を完了するまで経済制裁を継続するという強硬路線と異なり、
北が核ミサイル開発を棚上げしたら、米韓は合同軍事演習を棚上げし、北が核廃
棄の進行に合わせて経済制裁を解除していく融和路線だ。ダブル凍結は、もとも
と米オバマ政権下で「ペリー案」として考案されたが、オバマ政権は軍産に阻止
されてこれを具現化できず、トランプ政権の時代になって中国(中韓露)がこれ
を引き継いだ。昨年9月、ロシアのプーチンが、核問題に全く触れずに、北の経
済開発を中韓露日が支援する「プーチン提案」を打ち出したが、それはダブル凍
結案と表裏一体の関係で出されている。

http://tanakanews.com/160111korea.htm
北朝鮮に核保有を許す米中

http://tanakanews.com/170920korea.htm
プーチンが北朝鮮問題を解決する

 中国が対北強硬路線についてこれなくなった後の昨秋、トランプは先制攻撃や
米朝核戦争の恐怖をばらまきつつ強硬路線を突っ走った。金正恩は昨年11月ま
で核ミサイル開発を続けて強硬だったが、今年元旦の演説で韓国平昌五輪への参
加を表明して以来、融和的な姿勢に転換し、3月には核廃絶すると宣言し、トラ
ンプに米朝首脳会談を申し入れた。

http://tanakanews.com/180314korea.htm
米朝会談の謎解き

 正恩の意図が、米国の北敵視終了と自国の核廃絶を本気でバーターするつもり
なのか、核兵器の一部を隠し持つつもりなのか、核弾頭のミサイル搭載がうまく
いかないので諦めて核兵器を完成させたふりをしつつ廃棄して米の敵視終了へと
誘導したい策略なのか、いずれであるかはわからない。だが、トランプは首脳会
談の提案に喜んで乗ってきてシンガポール会談が実現し、トランプは北敵視を一
気にやめて、北に対してかなり融和的な姿勢に豹変した。

http://tanakanews.com/180430korea.htm
朝鮮戦争が終わる

▼軍産を出し抜いて米朝の敵対構造を破壊したトランプ

 6月12日の米朝会談は、共同声明に北の非核化の具体的な方法が全く盛り込
まれず、北が新たな譲歩を明文化する必要が全くなかった半面、トランプは米韓
軍事演習の中止する対北譲歩を発表した。北が昨秋からすでに行なっている核ミ
サイル開発の凍結と合わせ、中韓露が求めてきたダブル凍結案に、トランプの米
国が乗ったことになる。トランプは「隠れ中韓露支持」(=隠れ多極主義者)で
ある。これがシンガポール会談の本質の一つだ。(韓国では先日の統一地方選挙
で与党が圧勝し、北と融和する文在寅大統領の立場が強化された。これもトラン
プの策の結実だ)

http://original.antiwar.com/Stu_Smallwood/2018/06/13/south-koreans-reject-pro-war-old-guard-as-moons-peace-party-wins-big-in-local-elections/
South Koreans Reject Pro-War Old Guard as Moon’s Peace Party Wins Big in Local Elections

 会談の本質のもう一つは、トランプが金正恩との個人的な親密さ・つながりと、
定期的な連絡体制を構築したことだ。前回の記事に書いたが、トランプは、金正
恩を誘って「北の経済発展を実現する義兄弟・運命共同体の関係」を作った。
トランプは正恩に、米大統領府の自分の直通電話番号を教え、定期的に2人が電
話会談する体制を作った。1回目の米朝首脳の電話会談が6月17日に行われた
はずだ。トランプは正恩を、安倍晋三と同格ぐらいの「仲間」に引っ張りあげた
(日本は、北に対する優位を大幅に失った)。

http://news.antiwar.com/2018/06/15/trump-gave-kim-direct-phone-number-will-call-sunday/
Trump Gave Kim Direct Phone Number, Will Call Sunday

 米国上層部に昔から巣食ってきた軍産複合体は、北朝鮮やロシアとの和解の試
み、NATOや在韓・在日米軍の撤収といったトランプの隠れ多極主義戦略を妨
害してきた。トランプは今年2月以来、共和党のヌネス議員(下院諜報委員長)
らの協力を得て、自分にかけられたロシアゲートの濡れ衣を破り始めて軍産への
反撃に出た。同時に、ティラーソンやマクマスターといった軍産に近い側近たち
を、表向き過激派だが実は隠れ多極主義者でトランプの言うことを良く聞くボル
トンやポンペオと差し替えて「軍産外し」を行った。加えて今回の米朝会談で、
正恩と直接電話できる連絡ルートを作ったことで、トランプは今後、軍産の妨害
を受けずに北朝鮮との関係を進めていける。

http://tanakanews.com/180226dossier.htm
ロシアゲートで軍産に反撃するトランプ共和党

http://tanakanews.com/180320neocon.php
好戦策のふりした覇権放棄戦略

 前回の記事に書いたが、トランプが首脳会談で正恩に提案したことの本質は、
会談中に上映され、記者会見で公開された4分間のビデオ作品が象徴している。
「戦争姿勢をやめて北朝鮮を経済発展させよう」という提案だ。それは、昨年9月
の「プーチン提案」と同じ趣旨だ。米朝首脳間に直接の連絡ルートがない場合、
首脳会談でいったん信頼関係・義兄弟のちぎりが結ばれても、その後、連絡役の
米国の軍産が北を誤解させて怒らせるような微妙な歪曲伝達をやり、いったんで
きた米朝首脳の関係を破壊する。だがトランプが正恩との直接の連絡ルートを作
ったため、2人の信頼関係は続き、トランプはやりたいようにやり続けられる。

http://youtu.be/A838gS8nwas
United States - North Korea Singapore Summit Video

http://tanakanews.com/180615korea.php
北朝鮮に甘くなったトランプ

 トランプがやりたいことは、北の面倒を見る役目を中韓露に任せることだ。ト
ランプは当初、中国をけしかければそれができると考えたが、すでに書いたよう
に、正恩は中国からの介入をも嫌がり、中国の圧力に対して核ミサイルの開発加
速で応えただけだった。米国から敵視されている限り、北は中韓露の和解策にも
乗ってこない。北の面倒を見る役目を中韓露に任せるには、その前に米国が北敵
視をやめる必要があった。だが米国は、北を永久に敵視して在韓在日米軍の恒久
駐留をめざす軍産が強く、正攻法で北敵視をやめることができない。オバマはこ
こで北との和解をあきらめた。

http://www.rt.com/op-ed/429776-trump-north-korea-deal/
Biggest obstacle to Trump dealing with North Korea is his political foes at home

 だが、オバマを超えて多極化を進めたいトランプは、ここで奇抜な策を考えた。
トランプは、北への敵視を極限まで強め、本物の米朝戦争をやろうとしているよ
うに演技した。軍産は、恒久的な北敵視・日韓への米軍駐留を望んでいるだけで、
こぜり合いを超える本物の大戦争などしたくない。トランプの戦争を止めるため、
軍産の方が北敵視の緩和をトランプに求めるようになった。今年3月に金正恩が
トランプに首脳会談を提案すると、トランプは、北敵視を緩和したい軍産の求め
に応じるとの口実で、こんどは一転して、北と首脳会談して和解しようとする策
を突っ走り出した。首脳会談直前には「会談で(在韓米軍の撤退につながる)
朝鮮戦争の終結を宣言するかも」などと言い出した。

http://nationalinterest.org/feature/the-surreal-summit-singapore-26251?page=show
The Surreal Summit in Singapore

 CIAの北朝鮮専門家であるブルース・クリングナー(Bruce Klingner)は首
脳会談後「合意文書に新味がなくて失望したが、それでも、朝鮮戦争の終結や在
韓米軍の撤退が合意文書に盛り込まれるよりは、ずっとマシな結果になった」と
いう趣旨の発言をしている。トランプが首脳会談の前に「米朝会談で朝鮮戦争の
終結を宣言する文書に署名する可能性が大いにある」という表明を放ったのは、
実際にトランプが朝鮮戦争の終結を宣言するつもりだったからでなく、軍産をビ
ビらせて「代わりに何をしてもいいから、それだけはやめてくれ」「合意文書に
CVIDなど厳しい具体策を載せなくていいから、朝鮮戦争の終結も載せるな」
と言わせるための交渉材料だった。

http://www.ft.com/content/a5f41354-6dec-11e8-92d3-6c13e5c92914
Critics say US-North Korea summit deal leaves Kim the winner

 同様に、米政府のタカ派の朝鮮専門家であるビクター・チャも「米朝首脳の合
意文書は中身がないが、トランプが北と核戦争を起こすことに比べたら、中身の
ない合意文書の方がはるかにマシだ」と言っている。トランプは、軍産路線の行
きすぎである「米朝核戦争」と、軍産が敵視する覇権放棄・隠れ多極主義的な
「在韓米軍撤退」という両極端の間を行ったり来たりして、政敵である軍産をビ
ビらせた末に、米朝首脳会談を決行し、金正恩と個人的な親密関係を確立した。
トランプは軍産を出し抜いて米朝間の敵対構造を破壊し、米朝和解の政変を成功
させた。トランプは、オバマがやれなかったことを自分がやったと、繰り返し自
慢している。この自慢は一理ある。

http://www.thenation.com/article/trump-meets-kim-averting-threat-nuclear-war-us-pundits-furious/
Trump Meets Kim, Averting Threat of Nuclear War―and US Pundits Are Furious

 米議会の軍産系勢力は、トランプの大統領府が北朝鮮との間で決めたことを隠
さず全て議会に報告することを義務づける法案を検討している。これに対抗する
ため、トランプは、北との間で決めたことを議会や軍産に知られぬよう、できる
だけ金正恩との首脳間の口約束にとどめておく隠然策をとっているようだ。今後
も、米国の対北戦略の基本方針が不明確なまま放置される事態が続きそうだ。曖
昧な状態で、世界的な北朝鮮敵視策が解除されていくだろう。

http://www.zerohedge.com/news/2018-06-16/optimism
Optimism

 米朝首脳会談は、日本を外交的に窮地に陥れている。それについては改めて書
く。また、本記事の前に、6月13日に途中まで記事を書いたが、書いているう
ちに分析が変化し、書き直しの必要を感じてボツにした。何かの参考になるかも
しれないので、途中まで書いた6月13日の記事も以下にリンクしておく。

http://tanakanews.com/180613korea.htm
米朝ダブル凍結を実現したトランプ


この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/180618korea.htm

以上は「田中宇氏」ブログより

このままでは日本の安倍政権はアジアで孤立化します。どうしても政権交代が必要です。以上

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