朝鮮半島の軍事的な緊張を緩和させる方向へ導いた韓国大統領が露大統領と会談
2018.06.23
韓国の文在寅大統領がロシアを訪問してウラジミル・プーチン露大統領と会談、平和的な朝鮮半島の非核化を目指すことで一致、国境を越えたエネルギー・プロジェクトを推進し、FTA(自由貿易協定)に関する話し合いを始めることで合意したという。
韓国とロシアが経済的な結びつきを強めていることは本ブログでも再三指摘してきた。すでにロシアは中国と戦略的なパートナーであり、東アジアの軍事的な緊張を緩和させ、経済を発展させようという点で一致している韓国、ロシア、中国はひとつのグループを形成している。
例えば、昨年(2017年)9月6日から7日にかけてウラジオストクで開催されたEEF(東方経済フォーラム)には文大統領も出席、このときもプーチン大統領と会談している。その前、7月上旬、韓国の康京和外相はロシアとの戦略的な関係を深めたいと発言していた。
以前からロシアは天然ガスや石油のパイプラインやシベリア鉄道を中国や朝鮮半島へ延ばし、そのまま半島を南下させたいと計画しているが、そのためには朝鮮政府を説得する必要がある。
そこで、2011年夏には110億ドル近くあったソ連時代の負債の90%を棒引きにし、鉱物資源の開発などに10億ドルを投資すると金正日に提案した。2011年12月に金正日が急死するが、この計画は消えていないようで、翌年の4月にはロシア議会がこれを承認している。現在、アメリカ主導で行われている「制裁」が計画の障害になっている。
アメリカは一貫して軍事的な緊張を高めようとしてきた。その政策に盲従しているのが日本。そして、アメリカが軍事的な緊張を高める仕掛けとして利用してきたのが朝鮮にほかならない。「制裁」を誘発するような朝鮮の行動、つまり核兵器やミサイルの開発と実験はアメリカにとって好都合だったはずだが、この朝鮮が韓国、ロシア、中国のグループに加わった。
朝鮮の金正恩労働党委員長がシンガポールで会談を行った6月12日、ドナルド・トランプ米大統領はFOXニュースのシーン・ハニティのインタビューを受け、その最後の部分で昨年(2017年)4月6日にシリアで実行した攻撃について語っている。この攻撃は、トランプ大統領と一緒に食事をしていた中国の習近平国家主席を威嚇することが目的だったと示唆している。
その攻撃とは地中海にいたアメリカ海軍の2駆逐艦、ポーターとロスが巡航ミサイル(トマホーク)59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したもの。シリア政府軍が自国民に対して化学兵器を使ったという口実だったが、証拠はなく、それが事実でなかった可能性は極めて高い。そのタイミングでどうしても攻撃しなければならない理由があったということだ。
ところが、この計画は裏目に出た。発射されたミサイルの6割強が墜とされた可能性が高いのだ。ECM(電子対抗手段)が使われたと言われているが、手段はともかく、ロシアの防空能力が高いことを示すことになった。アメリカの攻撃を恐れる必要はないと朝鮮が考えたとしても不思議ではない。
その1年後、つまり今年4月にアメリカは再びシリアをミサイル攻撃した。これも口実は嘘だ。
アメリカは対策を練り、発射するミサイルの数も倍増させたが、ロシアも防空能力を強化していた。最も大きかったのは短距離用の防空システムであるパーンツィリ-S1を配備したことだろう。
アメリカ軍より信頼度が高いロシア国防省の発表によると、そのパーンツィリ-S1が25機発射して23機命中、ブク・システムは29機のうち24機命中、オサ・システムは11機のうち5機命中、S-125は13機のうち5機命中、クバドラートは21機のうち11機命中、S-200は8機のうち0機命中などだ。発表の中には含まれていないが、今回もECM(電子対抗手段)が使われた可能性がある。
本ブログでは米朝関係を米中関係の一部だと考えている。アメリカは中国の一帯一路(陸のシルクロードと海のシルクロード)を警戒、潰そうとしてきた。米太平洋軍は今年5月30日から米インド・太平洋軍へ名称を変更、太平洋とインド洋を担当することになったが、この変更は一帯一路を意識してのことだろう。
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