芳ちゃんのブログさんのサイトより
http://yocchan31.blogspot.jp/2018/05/blog-post_28.html
<転載開始>
私自身を含めて、多くの素人にとっては経済や財政を論じるのはかなりハードルが高い。しかしながら、大きく動こうとしている世界の政治情勢を少しでも正しく読み取りたいと思うと、この苦手な分野についてさえも少しは頭を突っ込まざるを得ないのが最近のご時世だ。

米ドルは現在世界各国が保有する外貨準備の総額の64パーセントを占めているという [注1]。圧倒的に大きなシェアーである。

二番目に大きな外貨はユーロ(20パーセント)であるが、トランプ政権による保護主義を受けて、ドルを売って、ユーロへ移行する動きが伝えられている。

さらには、上海の原油先物市場では、3月26日、中国通貨(ユアン)による取引が開始された。「ペトロユアン」という新語が使われ始めた。何と言っても、中国は世界の原油市場では最大の輸入国である。好むと好まざるとにかかわらず、中国の動きは世界経済に大きな影響を与える。中国が輸入するサウジアラビア原油も何れはユアン決済になるのかも知れない。

こうして、世界各国の外貨準備の戦略は米ドルの独壇場から多様化へ移行しようとしている。数十年にわたって世界の原油取引の決済に君臨して来た「ペトロダラー」が「ペトロユアン」によって脇役に押しやられる日が来るのかも知れないのだ。

そんな現状を伝える記事がある [注2]。

本日はこの記事を仮訳して、読者の皆さんと共有しようと思う。

<引用開始>


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「米国の世紀」は1941年にライフ誌の論説で米権力層の一員であるヘンリー・ルースによって声高らかに唱えられた。この状態は原油のコントロールと世界中の原油をコントロールするために終わることのない戦争を遂行することによって築き上げられた。今、皮肉にも、米国の大統領がイラン核合意から非合法的に、かつ、一方的に撤退したことから、原油は「米国の世紀」と称される世界規模の覇権を崩壊させる重要な役割を担うことになるかも知れない。

さまざまな国が米ドルへの依存から脱却しようとしている。しかし、最近の動きやその多様化する手段に見られる個々の要素はそれ自体としては米ドルの君臨、すなわち、ワシントン政府が他の国々に対して米ドルのみを使って原油の売買を強制する能力を終わらせるにはまだ十分ではない。ワシントン政府による一方的な挑発や制裁行為は他国が何らかの解決策を見い出すことを強要する。たった4年前にはこんなことが可能であるとは思えなかったし、現実的でさえもなかった。 

第四次中東戦争に次いで起こった1973年のオイルショック以降、ワシントン政府とウオールストリートはサウジアラビアを始めとするOPEC諸国は米ドルのみで原油を売ることを求めた。これこそが米国通貨の需要は米経済や米政府の借金あるいは負債といった内政問題とはほとんど無関係となることを保証したのである。このシステムは、当時、ヘンリー・キッシンジャーや他の連中によって「ペトロダラー」と呼ばれ、米国による決定的な世界的影響力の土台となった。それと同時に、米国の大企業には中国やメキシコ、アイルランド、さらには、ロシアからの外部委託を構築するプロセスにおいては国内の税金や投資からの責任を逃れることさえをも可能とした。今の時点でかなり多くの国々が米ドルを放り出し、他国の通貨に切り替え、あるいは、バーター取引を開始するとなると、さまざまな出来事が連鎖的に反応しかねない。これは米国の金利を急上昇させ、10年前の経済危機を遥かに凌ぐような財政危機を新たにもたらすであろう。

米国の経済制裁マニア: 

2001年9月11日以降、米政府はかってはアルカエダのようなテロリスト集団に対して活用していた資金調達に対する制裁措置を米国通貨を守るための手段として用いることに変換した。ロシアに対して経済制裁を課している米財務省が行ったもっとも最近の決定は米国人が行うビジネスが対象となるだけではなく、非米国人が行うビジネスに関してさえも制裁を課すことができるとしている。今、これに続いて、イランに対して過酷な経済制裁が新たに課されようとしている。

トランプ政権は一方的に包括的共同作業計画(JCPOA)、いわゆる、イラン核合意から撤退することを宣言し、イラン原油の取引を行っている他の国々も11月までにはイランとのビジネスから撤退するよう求めている。もしも撤退しない場合には、彼らに対しても経済制裁、つまり、二次的経済制裁を課すと宣言した。米財務省はイラン原油の交易にかかわる国際的な再保険会社や外国の銀行にも矛先を向けている。最近の対イラン経済制裁では2012年の「国防権限法」(NDAA)の1245条がその正当化の理由として用いられている。 

この米国の不当な動きこそが、現実には、中国やロシア、イランといった主要国、さらには、EUさえもが米ドルから距離を置くことに拍車をかけている。かってはなかったことだ。

中国ユアンによる原油取引: 

今年の3月、中国は自国通貨のユアンを使った原油の先物取引を開始した。先物取引は今日の国際的な原油取引においては主要な要素である。米ドル以外の通貨で行われる先物取引としては、これは初めてのものだ。中国の動きが真面目に受け止められるようになるまでには何年もかかるだろうと見られ、この新たな対イラン経済制裁が浮上するまでは、ワシントン政府は中国の動きを単に目障り的なものとして見ていただけであった。しかし、今や、イランが自国の原油取引を米ドルで行うことを禁じようとする米国の制裁措置は上海の原油先物取引に大きなブームを引き起こし、市場におけるペトロユアンの受け入れを早めることになるかも知れない。

中国は当面イラン原油の最大の顧客であり、イランが一日当たり約250万バーレルを輸出する中で、約65万バーレルを中国が輸入している。インドの輸入が2番目で、約50万バーレル。ブルームバーグの報告によると、それに続くのは韓国の31万3千バーレル、トルコの16万5千バーレルとなる。イランは最近米ドルからの独立を表明しており、中国への原油輸出を中国ユアンで行う公算が非常に高い。もしも中国がイランからの原油輸入をユアンで決済することを条件にすると、米ドルとの為替手数料を節約し、国際貿易においては米ドルを犠牲にして、中国通貨のユアンを使用する機会がぐんと増えることになるであろう。

イランは中国の何兆ドルにも達するユーラシアにおけるインフラ・プロジェクトとしての「一帯一路」政策においては戦略的にも重要なパートナーである。最近公表された米国による経済制裁を受けて、フランスの大手企業のトータル社はイランの巨大なサウス・パーズ天然ガス油田の持ち株を売却せざるを得ないと述べた。この報告に関して、中国の巨大企業であるCNPC グループがフランス企業の持ち株を取得する準備をしていると中国の国営エネルギー産業の消息筋が伝えた。現在、トータルが50.1パーセント、CNPCが30パーセント、イランの国営石油会社が19.9パーセントを保有している。トランプの安全保障を担当する補佐官で、長年にわたってネオコンの強硬派として知られているジョン・ボルトンはイランとの戦争を喧伝し、EUの企業はイラン政府との仕事を続ける限りは米国の経済制裁に直面するであろうと述べている。

中国とイランとの間の経済連携を示すものとして、5月10日、中国は内蒙古のバヤンヌールからカザフスタンとトルクメニスタンを経由して、8,000キロも離れたテヘランに直接通じる鉄道の運転を開始した。貨物輸送の時間は14日間と推算されており、これは海上輸送に比して約20日間もの短縮を実現するものだ。

ロシアの動き: 

イランにとって二番目に重要なビジネス相手はロシアである。ロシアは米国による経済制裁に苦しめられているが、2014年にイランとの核合意が締結され、イランに対する経済制裁が解除されてからというもの、数多くのビジネスに関与して来た。ロシアのプーチンは経済制裁に晒されるという安全保障上の理由からロシアは米ドルから独立したいと明確に言明している。その点に関して補足すると、ロシア・イラン間の相互貿易は、2017年11月以降、数多くの商品について米ドルを介さない物々交換方式で行なわれている。

さらには、イランのムハンマド・ジャヴァド・ザリフ外相は、5月14日、モスクワでロシアのラヴロフ外相とロシア製原発のプロジェクトについて語り合い、両者は経済協力の継続を約束した。ロシアの原油関連企業は数社がすでにイランとのプロジェクトに関わっている。

ロシアと中国との間の交易においては、米国がイラン核合意からの撤退を宣言する前から、米ドルからの離脱をしようとしていた。現在、中国はロシアの最大の交易相手であり、17パーセントを占める。2番手にあるロシア・ドイツ間の交易の2倍となる。ロ中の二国間では米ドルベースの貿易がさらに減少するだろう。4月25日、ヴァルダイ国際討論クラブが上海で開催され、在ロシア中国企業連合の議長を務めるZhou Liqun 氏はこれらのユーラシアのふたつの国家は両国間の貿易から米ドルを排除するべきだと主張した。彼はこう言った。「これらふたつの国家の指導者は関係を改善することを考え、特に、資金面での協力に取り組むべきだ。なぜ外国の通貨を使って支払いをするのか?なぜ米ドルなのか?なぜユーロなのか?これらの決済は直接ユアンやルーブルで行うことが可能だ」とロシアの国営テレビで述べている。

ロシアとイランに対する米国による最近の経済制裁の前にさえも、ロシアと中国は二国間の貿易においてはドル決済から慎重に逃れて来た。ロシアは、2016年の末、サンクトペテルスブルグ証券取引所(SPBEX)でロシア産ウラル原油の先物取引をルーブルで行い始めた。これは上海でのペトロユアンによる先物取引と双璧を成すものだ。

中国とロシア間の本年の相互貿易は、2017年に31パーセントの増加を見た後、100兆ドルに達すると予測されている。ユーラシアの二大強国の銀行や企業は米ドルからの独立を目指して注意深くその基礎を築き上げようとしている。そうすることによって、世界中で準備通貨として使われている米ドルの極悪非道な優位性、つまり、米ドルに基づく経済制裁に対する脆弱性から脱却しようとしているのである。

2017年のロシアから中国への輸出総額の9パーセントはすでにルーブルで決済され、ロシア企業は中国からの輸入の15パーセントをレンミンビで決済した。これらのルーブルとレンミンビによる直接の支払いによって、NATO 諸国による経済制裁の要因が増加する中で米ドルやユーロ通貨によるリスクを避けることができる。これらのユーラシアのふたつの国家は米国による金融戦争や経済制裁からの絶縁をさらに確実にするべく、これらの支払いはEUのSWIFT銀行間決済システムからは独立した形で、すでに設立されている人民元国際決済システム(CIPS)を通じて決済することができる。ロシアではすでに170社を超す銀行やブローカーがモスクワ証券取引所でユアンの取引を行っている。モスクワ証券取引所では中国の国営大銀行、たとえば、中国銀行、ICBC、中国建設銀行、中国農業銀行、等が営業をしている。ルーブル・ユアン間の為替レートは米ドルの参画が無しに計算される。

EUはこれに続くだろうか? 

最近では、欧州連合はイラン原油の取引においては今まで行って来た米ドル決済ではなく、ユーロによる決済の可能性を模索していると報じられている。彼らはトランプの一方的なイラン核合意からの撤退を非難し、米国によって脅かされているイラン原油の取引ならびに航空機に関する大型商談やその他の技術契約を何とか維持する策を見出そうとしている。EUの外交政策を担当するフェデリカ・モゲリーニは英・仏・独・イランの外相が今後2-3週間内にワシントン政府の動きに対抗する実際的な解決策を練り上げると記者たちに語った。彼らは、原油や天然ガスの供給も含めて、イランとの経済的連携を既報のごとくさらに深める計画だ。

もしもEUがそのような動きをしたならば、それは米ドル・システムの基盤を揺り動かし、それだけではなく、米国の影響力さえをも揺り動かすであろう。今すぐには起こりそうもないが、ワシントン政府が2014年以降ロシアに課して来た経済制裁のように、EU経済の関心事にワシントン政府が害を与えると、地政学的同盟においてさえも巨大な地殻変動が起こり、この同盟が大西洋地域から姿を消してしまうような事態がより現実的なものとして想像可能となって来る。

世界の主たる準備通貨としての米ドルの役割は、軍事力と並んで、ワシントン政府がその影響力を行使する上では非常に重要な基盤である。もしもそれが著しい衰退に見舞われるならば、それは他国の資源を用いて超大国の優位性を継続するために必要となるペンタゴンの戦争遂行能力を弱体化することであろう。抑えがきかなくなった米財務省の経済制裁そのものが中国やイラン、ロシア、さらにはEU に米ドルに対する依存性を減少せしめるに連れて、ワシントン政府の他国に対する優越性は低減する。前世紀における過程のど真ん中には原油のコントロールとそのコントロールのために必要な米ドルの役割が健在していた。

著者のプロフィール: F・ウィリアム・エングダールは戦略リスクに関するコンサルタントであって、講演者でもある。プリンストン大学で政治学の学位を取得し、原油、地政学に関する著作が売れており、New Eastern Outlookのオンライン・マガジンに独占的に寄稿している。
“New Eastern Outlook.”https://journal-neo.org/2018/05/19/will-oil-end-the-american-century/

<引用終了>


これで全文の仮訳が終了した。

ディープステ―ツが他国の経済や安定性を実際にどのように考えているのかはまったく知る由もないが、外部から観察する限りでは、米国自身は現在の経済的繁栄と国際政治における優位性を維持するためならば、同盟国も含めて、他国の経済や市民生活の安定性、等は自分たちの関心事ではないと言えよう。

イランとの核合意からの脱退時に米国政府が打ち出した経済制裁は米国以外の企業に対しても課すと言って、脅かしをかけている。これがいい例だ。上述のように、フランスのトータル社はイランとのエネルギー開発事業からの撤退を強いられている。これに続くものとして、エアーバスが契約している多数の旅客機がある。

米国政府は今までは考えられなかったような政策を打ちだすようになった。これは4年前から始まった。2014年の対ロ経済制裁ではロシアからの報復としてEUからの食品輸入に関する禁輸措置に見舞われて、EU各国の経済は大きな打撃を受けた。一言で言えば、米国は同盟国の利益を考える余裕を失ってしまったかの如くである。米国はすでにそこまで追い詰められているということだ。

今回のイランに対する経済制裁においては、仏・独・英のヨーロッパ諸国は米国の対外政策からの独立を図るべく独自の解決策を模索してる。公式な発表はまだだ。悲観的な観測もあるが、実効性がある策を講じることができるのかどうかが注目の的になっている。

歴史的な教訓としては、覇権国は遅かれ早かれその地位を失う。その過程ではさまざなな要因が現れ、さまざまな出来事に見舞われる。外部的要因も大きく作用するが、内部から現れる要因も決して無視することはできない。米国もこの歴史的必然を避けることは出来ないだろう。



参照:

注1: 'Big Consequences’: World Central Banks May Defy Dollar – Reports: By Sputniknews, Mar/27/2018

注2: Will Oil End the American Century?: By F. William Engdahl, NEO, May/19/2018 



<転載終了>