本山よろず屋本舗さんのサイトより
http://motoyama.world.coocan.jp/
<転載開始>
 もし「世界一の軍事大国は、どの国だと思いますか?」と聞かれたら、99%の人はアメリカと答えると思います。
       実際、ストックホルム国際平和研究所が出した2017年の世界の軍事費のレポートでは、アメリカが6098億ドル(1ドル110円換算で67兆円)と2位の中国の2282億ドル(推定)の3倍近い額を計上し、ダントツの1位となっています。
       ちなみに日本は8位の454億ドル(約5兆円)と、GDPの1%程度というラインを維持しています。

http://www.garbagenews.net/archives/2258794.html

 アメリカ一国だけで世界の軍事費の3分の1を占めているのですから、少なくとも軍事にかける金額においては、アメリカが1位であることは間違いない事実です。

       しかしアメリカが世界一強いのかと聞かれたら、どうでしょうか。
       私は2014年4月に起こった出来事が、どうしても頭から離れないのです。
       それは、当時ウクライナ・クリミア騒動で揺れていたロシアを威嚇する目的で、アメリカのイージス艦「ドナルド・クック」が黒海の中立水域に進出したところ、ロシアのスホーイ24の電波妨害システムによってマヒ状態に陥ったという「事件」です。
       2014年11月17日のベンジャミン・フルフォード氏のメルマガから抜粋します。


 ・・・<2014年11月17日のベンジャミン・フルフォード氏のメルマガから抜粋開始>・・・

      この出来事は、今年4月に最新の対空システムやミサイル防衛システムを搭載
したアメリカのイージス艦「ドナルド・クック(Donald      Cook)」とロシアの
非武装戦闘機「スホイ24」が黒海の中立水域で対峙した際の一件と関係して
      いる。この時、アメリカはウクライナ・クリミア騒動の渦中にあったロシア
      への威嚇を目的として違法に黒海の中立水域へと「ドナルド・クック」を派遣、
それを受けてロシアは最新式の電波妨害システムを搭載した「スホイ24」を
接近させた。

      当然ながら「ドナルド・クック」は臨戦態勢へと入ろうとしたのだが、「スホイ
24」の電波妨害システムにより電波探知レーダーはマヒ状態に陥り、その間に
      ロシア側は「ドナルド・クック」に対して仮想のミサイル攻撃を実施、上空
から12回にわたって同じ演習を繰り返した。
ロシアの軍高官は『電波妨害システムに限らず、相手側の電子システムが複雑
であればある程、戦力の無力化はしやすくなる』と語っている。
http://www.veteranstoday.com/2014/11/13/aegis-fail-in-black-sea-ruskies-burn-down-uss-donald-duck/
いずれにしても、これでアメリカ海軍全体が使い物にならないことが明らかに
      なってしまった。

       ・・・<抜粋終了>・・・


 昭和と平成の時代の日本人の常識は、世界一の軍事大国はアメリカであり、世界一強いのもアメリカであるということでした。
       しかしいつの間にか、そうした常識は通用しなくなってしまったのかもしれません。

       先の黒海での事件は、単発の出来事ではありません。
       次に「ヤスの備忘録」のヤスさんの2018年7月27日のメルマガから抜粋して紹介させていただきます。


       ・・・<ヤスさんの2018年7月27日のメルマガから抜粋開始>・・・

 最近発表された本、「軍事的優越性の喪失:米戦略計画の近視眼性(Losing      Military Supremacy The Myopia of American      Strategic Planning)」という本についてだ。著者は1990年代にロシア海軍でアメリカ軍の分析を専門に担当していたアンドレイ・マーエティアノフ(Andrei      Martyanov)という人物だ。2000年代にアメリカに移り住み、現在は航空機企業の幹部になっている。

この本は、ウォイリアム・F・エングドール、ザ・セイカー、ペペ・エスコバルなどアメリカではよく知られた地政学の分析者に高く評価され、いま読むべき名著として推薦されている。

       ・・・(中略)・・・

      このように2015年以来、ロシアは中東の和平を握る仲介者として立場を強めており、今回のイラン系武装勢力とイスラエルの仲介に成功するなら、中東におけるロシアの威信はさらに高まることは間違いない。もうすでに起こっているが、中東和平の仲介者の役割は、これでアメリカからロシアに完全に移動する。

●ロシアの威信を支えるものこそ軍事力

こうした仲介者としてのロシアの威信を支える基盤こそ、アメリカの水準を上回るその優秀な軍事技術だ。すでにこれは2015年に明らかになっている。

      2015年10月7日、カスピ海のロシアミサイル巡洋艦から6発の「3M14カリブレ巡航ミサイルIがそれぞれ5秒間隔で発射された。標的はシリアにおけるISの本拠地である。このときアメリカの空母「セオドア・ルーズベルト」の戦闘部隊がペルシャ湾に展開していたが、発射直前に緊急退避した。この事件の後、ロシアが「大西洋におけるロシアが責任のある地域」と呼ぶ東地中海と黒海から米海軍は完全に排除され、実質的にロシアの内海の状態になっている。

これは、まさにロシアの軍事力によってアメリカが排除された象徴的な出来事になった。アメリカ軍もロシアの優勢な軍事力を認めざるを得ない状況になっている。これがいま中東の仲介者として威信を高めているロシアの前提になっていることは間違いない。

ロシアの優勢な軍事力

さて、「軍事的優越性の喪失:米戦略計画の近視眼性」このようなロシアの軍事力だが、次の6つの点で特にアメリカと同等、ないしはすでに凌駕しているとしている。

      1)司令、コントロール、通信、コンピューター、情報収集、偵察などの分野。

      2)電子戦の能力

      3)新兵器のシステム

4)航空防衛システム

5)合衆国の本土まで届く能力のある超高音速の巡航ミサイル

先の本では、これらの兵器ではアメリカもまだ開発できていないものも多く、アメリカ軍はロシアを深刻な脅威として認識しているという。

       ・・・<抜粋終了>・・・


 3)の「新兵器のシステム」と5)の「合衆国の本土まで届く能力のある超高音速の巡航ミサイル」については、ロシアは具体的に世界に向けて発表しています。
       8月24日のヤスさんのメルマガから抜粋して紹介します。


       ・・・<ヤスさんの2018年8月24日のメルマガから抜粋開始>・・・

今年の3月1日、プーチン大統領は一般教書演説でロシアの最新鋭の兵器を紹介した。

そのひとつは射程が11万キロのミサイル、「RS28サルマト」だ。通常の攻撃コースである北極経由はもちろん、南極経由でも欧米を攻撃できる射程を持ち、弾頭重量は100トン、核弾頭なら15個を搭載できる。

      次は、大気圏突入後、滑空して目標へのコースを変える超音速飛翔滑空兵器、「アバンガード」だ。この機体表面が約2000度近くになり「隕石のような火の玉となって標的に飛ぶ」とされている。

また、巡航ミサイルの「Kh-47M2 キンジャール」も公開された。これは、最大速度マッハ10、射程2000キロで、陸上と海上の移動目標を攻撃できる。低空を飛ぶ巡航ミサイルで、その動力は原子力だ。核動力巡航ミサイルとして無限の射程距離を持つ。これは北大西洋条約機構(NATO)や米国、日本の迎撃システムによる迎撃可能エリアを大きく迂回して目標に到達することが可能だ。レーダーに探知されにくい低空を飛ぶ。

そして4つめは核エンジンで航行し、長い射程の海中無人機だが。潜水艦から発射され、通常の潜水艦では潜れないような深海を航行する。しかもスピードは潜水艦より速く、目標艦船に回避の時間を与えない。また核弾頭を搭載すれば、港湾など陸上施設の攻撃も可能だ。

こうした最新兵器とともに、ロシア軍はすでに超高音速の「kh-32巡航ミサイル」を配備している。これは、発射後すぐに成層圏の区域まで飛行して到達し、かつ地表からの距離4万キロの高度をもって水平飛行する巡航ミサイルだ。高空を超音速で飛行するので、アメリカがミサイル迎撃に使う「パトリオット」ミサイル防衛システム、「AIM-7スパロー」空対空ミサイル、「AIM-9サイドワインダー」空対空ミサイル、さらに既存の地対空ミサイルでは迎撃できないとされている。

またロシアほどではないが、中国の軍事的脅威も大きくなりつつある。すでに2007年に中国は老朽化した自国の人工衛星を地上から発射したミサイルで破壊した。これは中国が、有事の際には仮想敵国であるアメリカの軍事的能力を低下させるために、GPS衛星や偵察衛星などを撃墜する能力を持っていることを示している。同じ実験は2010年と2013年にも成功しており、中国は人工衛星破壊の軍事能力を確立したと見られる。

      一方アメリカの現在の軍事能力は、特に超音速ミサイルのテクノロジーではかなり出遅れており、このままの状況ではロシアと中国の軍事的脅威には有効に対処できない状況だ。こうした高高度を飛行する超音速ミサイルを迎撃するためには、宇宙空間で撃退するほかない。この必要から「宇宙軍」の創設を模索されているのだ。

       ・・・<抜粋終了>・・・


 それにしてもロシアの軍事技術の急激な進展ぶりには驚かされます。
       私は、1991年のソ連崩壊のイメージが強く、その後通貨ルーブルの切り下げなど、経済的な苦境に陥った国がこれほど軍事力を強化できるものかと驚いてしまいました。
       ひょっとすると、ET(地球外知的生命体)からの技術供与があったのではないかと疑ってしまいます。

       しかし私には、よくわからないことがあります。
       ロシアが、極秘事項であるはずの最新兵器の性能を世界に公開したことです。先のスホーイ24の電波妨害システムは、アメリカ海軍を完全に無力化できる能力を示したものですが、その能力を敵(アメリカ)に知られてしまいました。当然ながら、アメリカは対抗措置を取るはずです。
       それでも最新兵器を公開したというのは、今のアメリカには容易に追い付けない技術水準であると確信したからでしょうか。
       とにかく今後、国際政治の舞台でロシアの存在が大きくなることは確実だと思われます。

       ヤスさんが指摘するように、トランプ大統領の「宇宙軍」創設構想は、ロシアの高高度を飛行する超音速ミサイルに対抗するものであると思われます。

       私はレーガン時代の戦略防衛構想(通称スターウォーズ計画)を思いだしました。
       スターウォーズ計画は、アメリカがソ連に仕掛けた「はったり」だったという人もいますが、今回は立場が逆転しています。
       ロシアが仕掛けて、アメリカが対抗する形です。
       しかしロシアの最新兵器は、けっして「はったり」ではありません。

       私達は認識を改める必要があるのかもしれません。
       ドイツやカナダがアメリカの政策に強く反発しているのは、もはやアメリカの軍事力が世界ダントツの一位を誇っていた時代が終わったことも関係しているのかもしれません。
       時代は大きく、動いているようです。


      (2018年8月29日)


<転載終了>