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2019年1月 4日 (金)

★東エルサレムが来年パレスチナの首都になる?

★東エルサレムが来年パレスチナの首都になる?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

パレスチナのヨルダン川西岸地域の事態をどう解決するかは、国際政治の最も重

要な問題の一つだ。米国のトランプは、世界に対する米国の関与を大幅に低める

覇権放棄策をとっているが、中東ではイスラエルが冷戦時代から米政界に取り憑

き、米国がイスラエルに好都合な中東戦略をとり続けるように仕向け(ねじ曲げ)

てきた(911後に加速した)。イスラエルに好都合な米国の中東戦略の大黒柱

が「パレスチナ問題を永遠に解決しない(解決しそうでしない)状態にし続け、

米国を永久に中東問題に関与させる」ことだった。トランプは、永久に解決しな

い構造を持つパレスチナ問題を、何らかの方法で解決しないと、目標とする覇権

放棄策を完成できない。

 

http://tanakanews.com/180218israel.htm

米国に頼れずロシアと組むイスラエル

 

パレスチナは西岸とガザという、つながっていない2地域から成るが、ガザはイ

スラエルが、統治者のハマスと停戦・和平していく方向だ。和平に反対するイス

ラエル国内の右派(入植者集団)に邪魔され、ネタニヤフ政権はハマスとの和解

をなかなか実現できないが、エジプトなどの仲介を受け、いずれ和解停戦してい

く流れだ。ガザは、解決の道筋が見えてきている。だが西岸は、解決への道筋が

見えていない。

 

http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2018/10/israel-hamas-gaza-strip-benjamin-netanyahu-avigdor-liberman.html

Netanyahu needs Hamas to rule Gaza, not Abbas

 

西岸問題の解決策の選択肢は、パレスチナ国家を樹立する「2国式」だけでない。

西岸のパレスチナ人をすべてイスラエル国民にしてしまう「1国式」や、西岸と

ヨルダンを合邦させる策、今のイスラエルによる占領を永久に続ける策など、

パレスチナ国家の樹立を認めないやり方もある。だが、それらは実現すると不都

合がある。1国式は、選挙を通じてイスラエルの国家権力をパレスチナ人に奪わ

れてしまう可能性がある。パレスチナ人にイスラエル国籍を付与した後のイスラ

エルは、ユダヤ人700万人、パレスチナ人(パレスチナ人と、今すでにいるア

ラブ系イスラエル人)400万人で、単純計算だとユダヤ人が権力を保持できる

が、ユダヤ人は政治信条が多様で、常に政界内部が分裂している。パレスチナ人

がうまく団結できると、イスラエルが「アラブ国家」になってしまう(レバノン

と同格に成り下がる)。1国式は危険だ。

 

http://tanakanews.com/160308israel.htm

西岸を併合するイスラエル

 

西岸とヨルダンの合邦は、ヨルダン国王が強く反対している。ヨルダンは現状で

も国民(1千万人)の半分がパレスチナ人(中東戦争で難民として流入して定住)

であり、そこに西岸の人々が加わると、国民の大半がパレスチナ人になり、彼ら

が作るハマス=ムスリム同胞団に王政を転覆されかねない。王政は米英イスラエ

ルの傀儡(仲間)だが、同胞団は違う。合邦の後、ヨルダンが、王政から同胞団

の国へと転換すると、イスラエルにとってヨルダンが仲間から仇敵へと変わる。

合邦も危険だ。(入植者の中には、ヨルダン政界を諜報的にいじれるので合邦が

最良だという者たちもいる)

 

http://tanakanews.com/161101palestin.htm

イスラエルのパレスチナ解体計画

 

http://www.sdjewishworld.com/2017/03/20/two-states-one-state-how-about-federation/

Two states? One state? How about a federation?

 

現状のイスラエルによる軍事占領の恒久化は、米国が中東の唯一の覇権国であり、

イスラエルが米政界を牛耳っている限り、イスラエルにとって「良い策」だった

が、今(911以降)のように米国が覇権放棄やら覇権低下を続け、米国が中東

の覇権国でなくなっていくと、軍事占領に対する国際批判が強まり、米国に依存

してきたイスラエルの軍事力や財政力も低下して占領継続が困難になる。軍事占

領の永続を叫ぶ入植者集団は、米国とつながっているのでイスラエルで最強の

政治力を持つが、彼らの政治力も今後、米国の覇権低下と比例して弱まる。西岸

の占領は、早くやめねばならないし、しだいにやめやすくなる。

 

http://tanakanews.com/150207israel.htm

イスラエルとの闘いの熾烈化

 

結局、イスラエルにとって最も良いのは2国式(パレスチナ国家の樹立)になる

が、パレスチナ国家に完全な国家主権を持たせると、軍事力をつけてイスラエル

を威嚇する存在になりかねない。それを防ぐため、入植者集団が西岸のパレスチ

ナ人の土地をどんどん奪って入植し、将来のパレスチナ国家の国土をできるだけ

狭くする謀略を続けてきた。イスラエルは、パレスチナにおいてイスラム主義の

ハマス(ムスリム同胞団パレスチナ支部)を隠然とテコ入れし、パレスチナ政界

内で与党PLO主流派(ファタハ。世俗派・元左翼)とハマスが対立して分裂す

るよう仕向けた。その結果、07年の選挙以降、ハマスがガザを統治、西岸をフ

ァタハ(パレスチナ自治政府=PA)が統治する分裂状態が固定化した。2国式

の骨格を決めた93年のオスロ合意後、イスラエルがやってきたのは、いずれ認

めざるを得ないパレスチナ国家をできるだけ弱いものにする策略だったとも言える。

 

http://tanakanews.com/g0202hamas.htm

ハマスを勝たせたアメリカの「故意の失策」

 

▼この2年間でイスラエルがエルサレム分割を容認するようになった。それに来年トランプが乗るのか

 

ここまでは「これまでのあらすじ」。ここからが本題だ。昨年から米国の権力を

握ったトランプは、2国式を放棄するような姿勢を見せてきた。2国式の大黒柱

の一つである「西エルサレムをイスラエルの首都、東エルサレムをパレスチナの

首都にする」という構想をぶち壊すかのように、トランプは、パレスチナ国家を

機能不全に陥らせたまま、米国の駐イスラエル大使館をテルアビブからエルサレ

ムに移転した。また、米国首都DCにあったパレスチナの代表部を閉鎖に追い込

んだ。東エルサレムにあった、パレスチナ人に対する窓口だった米国の領事館も、

最近閉鎖された。トランプは、2国式を放棄した(かのようなそぶりをとり続け

ている)。

 

http://tanakanews.com/171210jerusalem.htm

トランプのエルサレム首都宣言の意図

 

しかしイスラエルの味方だと豪語するトランプは、2国式でないなら、どのよう

な方法でイスラエルの安全と繁栄を守ってやるつもりなのか。すでに書いたよう

に、2国式以外の方法はイスラエルを危険にする。トランプは、北朝鮮や対中貿

易戦争、イラン、シリア、サウジ、ロシア、NAFTA、金融バブルなど、他の

諸問題については、目くらましの背後に、独自の戦略目標(多くは覇権放棄・多

極化)をこっそり置いている。だが、パレスチナ(西岸)問題については、なる

ほどと思える目標が設定されていない。

 

そう思ってネット上の英文記事をつらつら見ていると、中東分析サイトのアルモ

ニターに、驚くべき内容を含む記事が出ていた。ネタニヤフ首相のオマーン訪問

など、アラブ諸国に対する最近のイスラエルの外交攻勢について分析した記事

Mossad chief, Israel’s secret diplomat to the Mideast)の後半に「イスラ

エルの外交攻勢の背後には、来年のイスラエル総選挙の後に、トランプが新たな

中東和平案を発表しそうなことがある。来年のトランプの和平案には、米国が東

エルサレムをパレスチナ国家の首都と認めることが含まれている」というくだり

があった。記事を書いたのはイスラエルの政治記者(Ben Caspit)だ。

 

http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2018/11/israel-oman-qatar-gaza-abu-dhabi-benjamin-netanyahu-mossad.html

Mossad chief, Israel’s secret diplomat to the Mideast

 

(イスラエルの与党リクードは、中東和平を拒否する入植者組織に牛耳られてお

り、彼らは「外交界=国際社会」を中東和平の手先とみなして嫌っている。イス

ラエル外務省は、国際社会の手先と見なされて徹底的に無力化され、2015年

以来、外務大臣を置かせてもらえない。外相はネタニヤフ首相が兼務している。

ゴリゴリの入植者である外務次官 Tzipi Hotovelyが、外務省内を監視して動か

ないようにしている。だが、米国の中東覇権が低下する中、ネタニヤフはイスラ

ム諸国との外交関係を強化せねばならない。ネタニヤフは、外務省の代わりに軍

事諜報機関であるモサドの長官を各国に派遣して外交をやっている。というのが、

アルモニターのくだんの記事の私なりの解読)

 

http://tanakanews.com/151228war.php

国家と戦争、軍産イスラエル

 

トランプは今年、米大使館をエルサレムに移し、パレスチナとの外交関係を縮小

することで、2国式を放棄したかのように見せている。だがアルモニターの記事

のくだりが正しいとすると、それは、イスラエル右派と在米傀儡者に「トランプ

は2国式を捨てたんだ」と思わせるための目くらましだ。今はまだ全体像が隠さ

れている実際のトランプの戦略は、今年、米大使館を「西エルサレム」に移転す

るとともに、来年、パレスチナ国家の樹立を認めて東エルサレムを首都と認定し、

2国式を推進することになる。

 

http://tanakanews.com/180724trump.htm

軍産の世界支配を壊すトランプ

 

目くらましは、西岸を統治するアッバース議長のパレスチナ自治政府(PA)に

向けたものでもある。PAは従来、西岸のすべてをパレスチナ国家の領土とする

と主張し、イスラエル入植地の総撤退を求めてきた(イスラエルとの一部の土地

交換は認めていた)。しかし昨年来、トランプがPAを徹底的に冷遇したので、

トランプが来年、2国式に基づく交渉を再開した時に、アッバースのPAは、東

エルサレムを首都と認められるなら、従来の目標よりかなり狭い国土であっても、

トランプ発案のパレスチナ国家の樹立案を受け入れると予測できる。いったん

交渉を拒否した後、交渉の座に戻り、相手から譲歩を引き出すのがトランプの策

略でないか。これが成功すると、西岸入植地の多くがイスラエル側に残った状態

でイスラエルは和平と国家安全を得られ、トランプは公約どおりイスラエルに恩

を売れる。

 

http://www.presstv.com/Detail/2018/10/26/578164/Israeli-sports-minister-in-UAE-to-join-team-at-Abu-Dhabi-judo-tournament

Netanyahu visits Oman in dramatic sign of warming ties with Persian Gulf states

 

http://tanakanews.com/180119trump.htm

トランプワールドの1年

 

サウジなどイスラム諸国は、イスラム教の聖地である(東)エルサレムがイスラ

ム側(パレスチナ国家)に入るなら満足であり、パレスチナ国家の国土が狭くて

も、パレスチナ人がそれを認めるならかまわない。逆に、東エルサレムがパレス

チナ国家(イスラム側)に入らずイスラエル側のままだと、イスラム世界には強

い不満が残る。

 

アルモニターの記事の問題のくだりは、さらりと1行入っているだけで、情報源

の言及もない。事実でないことを紛れ込ませた懸念がある。「来年、エルサレム

で(会いましょう)」という言い方(あいさつ)は、近代まで長くエルサレムか

ら追放され分散していたユダヤ人にとって「あり得ないことだけど夢見よう」と

いう意味の格言だ。「来年、エルサレム(をパレスチナの首都としてトランプが

認める)」というくだりは、その格言を意識した冗談にも見える。信じたゴイム

(間抜けな異教徒)を嘲笑するためのユダヤ人の罠かもしれない。

 

そう思いつつ、このテーマで少し広く記事を漁ってみると、ゴイム騙しでなく事

実かもしれないと思えてきた。ひとつは豪州の新政権が最近、駐イスラエル大使

館をテルアビブから西エルサレムに移すことを検討していることに関してだ。豪

州の動きは、トランプに追随したもののように受け止められているが、トランプ

が「エルサレム全体をイスラエルの首都として認める」という印象を発しつつ大

使館移転を発表したのと対照的に、豪州は、西エルサレムをイスラエルの首都、

東エルサレムをパレスチナの首都とみなすという2国式支持の立場の一環として、

西エルサレムへの大使館移転を検討していると明言している。イスラエルは、

豪州の動きに歓迎を表明している。

 

http://thediplomat.com/2018/10/jakarta-and-jerusalem-australias-israel-embassy-decision/

Jakarta and Jerusalem: Australia's Israel Embassy Decision

 

トランプが大使館移転を発表したのは昨年12月だが、それより前の昨年4月に

は、ロシアが、豪州と同様の「西エルサレムをイスラエルの首都、東エルサレム

をパレスチナ国家の首都とみなす」という発表をしている。ロシアは大使館を移

転せず、概念的な発表をしただけだが、当時、イスラエルはロシアの発表を非難

する声明を出している。イスラエルは、東エルサレムをパレスチナの首都にする

こと(エルサレム分割)を、昨年は認めず非難していたが、今は認めて歓迎して

いる。

 

http://www.timesofisrael.com/australia-may-also-recognize-east-jerusalem-as-future-palestinian-capital/

Australia may also recognize East Jerusalem as future Palestinian capital

 

最近は、米国の主要なキリスト教会の代表者たちも、トランプに対し、西エルサ

レムをイスラエルの首都と認めるだけでなく、東エルサレムをパレスチナの首都

として認めよという要求を決議している(東エルサレムや西岸のベツレヘムなど

は、キリスト教の聖地でもある)。ヨルダンやサウジアラビアなどアラブ連盟も

、同種の決議をしている。世界の世論は最近、東エルサレムをパレスチナの首都

にする方向に動いており、イスラエルもそれを歓迎している。

 

http://english.wafa.ps/page.aspx?id=7DRB54a105090662754a7DRB54

US faith leaders call on their president to recognize East Jerusalem as capital of Palestine

 

http://www.dw.com/en/arab-states-to-seek-recognition-of-east-jerusalem-as-palestinian-capital/a-42053486

Arab states to seek recognition of East Jerusalem as Palestinian capital

 

アルモニターの記事は、トランプが東エルサレムをパレスチナの首都と認めつつ

新たな中東和平案を発表するのは、来年(たぶん23月)、イスラエルで総選

挙が行われてネタニヤフが勝ち、ネタニヤフが政治力を強めて与党内の右派入植

者から攻撃を受けにくくなった後の時期だと書いている。イスラエルはいま地方

選挙をしており、これが終わるとネタニヤフが議会を解散して総選挙に打って出

ると言われている。トランプは、その総選挙でネタニヤフを全力で応援する。イ

スラエルの総選挙後、トランプが中東和平をやるという見通しは、米国のマスコ

ミでも広く出されており、確度が高い。

 

http://www.jpost.com/Israel-News/Kahlon-Netanyahu-will-declare-national-elections-after-municipal-vote-570682

Netanyahu decision on general election expected soon

 

http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2018/10/israel-us-palestinians-benjamin-netanyahu-lara-alqasem-trump.html

Is Trump helping Netanyahu win elections?

 

その中東和平にエルサレム分割が含まれているかどうかは確定的でないが、ネタ

ニヤフが選挙に勝って強くなった後でないとできないものといえば、エルサレム

分割ぐらいしかない。入植者は、エルサレム分割を飲む代わりに、自分たちが住

んでいる入植地をパレスチナに返さずにすむ。中東和平が進むと、イスラエルと

アラブ諸国、ひいてはイラン側との和解に道が開ける。トランプは米国抜きの中

東を安定化し、目標である覇権放棄の達成する。東エルサレムをパレスチナの首

都とみなすエルサレム分割は、意外とうまく実現するかもしれない(私はこれま

で何度も「和平が進みそうだ」というニセ情報を事実と思い込んで記事を書いた

ゴイムなので、今回も騙されている可能性があるが)。逆に、右派入植者が納得

しきれないと、ネタニヤフはラビンになる、つまり暗殺されうる。

 

http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2018/11/israel-yitzhak-rabin-benjamin-netanyahu-leftwing-oslo-accord.html

The second assassination of Yitzhak Rabin

 

http://tanakanews.com/170513palestin.htm

よみがえる中東和平

 

イスラエルの右派入植者は、幹部の多くが米国からの移住者で、諜報要員が多く

含まれていると考えられる。彼らは、アラブとイスラエルの対立を扇動して中東

の戦争状態を維持してきた軍産複合体(=米英イスラエル諜報界)の一部だ。ア

ルモニターの分析が正しいなら、ネタニヤフは来年、国内の軍産を出し抜いて中

東和平をやろうとしている。これは日本において、軍産の一部である外務省を外

しつつ、中国に接近している安倍首相と、やっていることが似ている。ネタニヤ

フも安倍も、トランプの覇権放棄に呼応して、以前に激しく拒否していた中東和

平や対中和解を、国内の反対派(軍産)を出し抜いて進めている。ネタニヤフも

安倍も、右派の政権を形成しているが、中東和平や対中和解という、かつて左派

がやっていたことを、まわりを騙しつつ進めている。

 

http://tanakanews.com/f0705israel.htm

世界を揺るがすイスラエル入植者

 

http://tanakanews.com/181029japan.htm

米国の中国敵視に追随せず対中和解した安倍の日本

 

 

 

この記事はウェブサイトにも載せました。

http://tanakanews.com/181107israel.htm

 

 

以上は「田中宇氏ブログ」より

今年もトランプ旋風が吹き荒れそうです。                      以上

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