カテゴリー

  • スポーツ
  • ニュース
  • パソコン・インターネット
  • マスコミ
  • 健康
  • 医学
  • 地球大異変
  • 地球自然科学
  • 天文学
  • 学問・資格
  • 宇宙文明
  • 宇宙自然科学
  • 宇宙開発
  • 平成の「船中八策」
  • 心と体
  • 思想・哲学_
  • 放射能
  • 放射能汚染対策
  • 文化・芸術
  • 旅行・地域
  • 日記・コラム・つぶやき
  • 映画・テレビ
  • 書籍・雑誌
  • 歴史
  • 物理学_
  • 環境問題
  • 生物学
  • 科学技術
  • 経済・政治・国際
  • 考古学
  • 自然災害
  • 趣味

最近のトラックバック

« IOC、東京五輪“新型肺炎”で重大決断!?  | トップページ | ドイツ放射線防護局のデータに見る「スマートフォンから放出される放射能量の機種別ランキング」 »

2020年2月 1日 (土)

★イスラエルとトランプの暗闘

イスラエルとトランプの暗闘
ーーーーーーーーーーーーーーー

 

トランプの米国が、イスラエルの政争に介入している。イスラエルでは9月17日
の議会選挙で拮抗状態になった後、最初の1か月はリクードのネタニヤフが連立
組閣を試みて失敗した。次の1か月は青白連合のガンツが組閣を試み、こちらも
難航したものの、リクードから世俗派を引き抜くか、少数派の連立政権を作って
信条的に連立に入れないリーベルマンの「イスラエル我が家」に閣外協力しても
らう形でまとめようと、11月20日の組閣期限を控えて最後の交渉に入った。
ところがそんな段階の11月18日、ポンペオ米国務長官が記者会見で「イス
ラエルの西岸入植地の建設は必ずしも国際法違反でない」と宣言した。これは
1970年代以来の米国の対イスラエル姿勢の根本を覆すもので、西岸入植地の
拡大に積極的だったネタニヤフを加勢するものだった。この宣言を受けて、ネタ
ニヤフを裏切って青白側に転向しようとしていた人々がリクードを離れないこと
を決め、青白の連立組閣は失敗した。

 

http://www.middleeasteye.net/news/trumps-gifts-israels-netanyahu-jerusalem-west-bank-settlements-and-golan-heights
Trump's gifts to Israel: Jerusalem, the Golan and now the settlements

 

http://outline.com/JCvj7Z
U.S. State Department denies Netanyahu's claim he discussed Jordan Valley annexation with Pompeo

 

イスラエル政府はネタニヤフが暫定首相の状態が続くことになったが、青白連合
の組閣失敗が決まった翌日の11月21日、イスラエルの検察が、何年も前から
捜査していた汚職の容疑でネタニヤフを起訴した。イスラエルの検察は、ネタニ
ヤフについて4種類の微罪の汚職容疑を並行して捜査しており、微罪しかないネ
タニヤフを何とか有罪にして失脚させたい政治的意図が感じられる。ネタニヤフ
は側近を司法相に据えて検察の捜査を妨害しており、ネタニヤフvs検察の政争に
なっている。検察が単独で戦っているのでなく、イスラエル上層部の官僚機構(
軍上層部、諜報界、外交界、法曹界など)がネタニヤフを辞めさせたがっている
感じだ。

 

http://nationalinterest.org/print/blog/paul-pillar/what-does-indictment-against-netanyahu-portend-102922
What Does the Indictment Against Netanyahu Portend?

 

http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2019/12/israel-benjamin-netanyahu-rightwing-camp-ultra-orthodox.html
Will Israel's right-wing camp lose its leader soon?

 

検察がネタニヤフの捜査を始めたのは2016年末で、ちょうどトランプが当選
した直後だ。トランプとネタニヤフはいずれも、ユダヤ系米国人でカジノ王のシ
ェルドン・アデルソンが最大の政治資金源だ。トランプが共和党の予備選に勝つ
ための決定打になったのがアデルソンからの支持だった。トランプはアデルソン
の支持を得るために2つの約束をした。一つは、イスラエルの仇敵であるイラン
を弱体化させるため、米欧がイランと結んだ核協定(JCPOA)を破棄してイ
ランを再制裁すること。もう一つは、イスラエルがパレスチナ国家の建設
(「2国式」の中東和平)を拒否してヨルダン川西岸の占領地をイスラエルの領
土として併合していく「2国式潰し」を支持・支援することだった。トランプは
就任後の2年間で、この両方を実施している。トランプが提唱した「世紀の中東
和平案」は詐欺的な目くらましで、内容が非公開のまま2年近く放置され、
10月末に米政府の中東和平担当だったグリーンブラットが辞任して雲散霧消した。

 

http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2019/11/israel-netanyahu-indictment-mandelblit-likud-primaries.html
Indicted for bribery, Netanyahu ramps up his victimization campaign

 

http://jewishinsider.com/2019/12/jason-greenblatt-i-still-hope-peace-plan-will-be-released/
Jason Greenblatt: I still hope peace plan will be released (笑)

 

イランとパレスチナ。この2つのテーマについて、トランプがネタニヤフを巻き
込んで、イスラエルの官僚機構が好まない方向に事態を動かすようになったため、
官僚機構はネタニヤフに汚職の疑惑をかけて権力を削ごうとしたと考えられる。
イラク戦争あたりまで、イスラエル内部の対立は大したものでなく、パレスチナ
人やイランを敵視する好戦的なネタニヤフのリクードなど右派と、それらへの
敵視が少ない中道派・左派とが政界内でバランスし、そのバランスの上に官僚機
構が存在していた。当時、イスラエルの官界は米国の軍産複合体の一部だった。

 

http://www.debka.com/pm-netanyahus-chances-of-survival-are-drowning-under-a-concerted-political-legal-media-onslaught/
PM Netanyahu’s chances of survival are drowning under a concerted political, legal, media onslaught

 

しかし、911後に米国がイスラム世界への敵視を強め、それに乗ってイスラエ
ルでも右派が強くなり、リクードは選挙で連戦連勝になり独裁的な権力を持った。
中道派や左派は弱体化した。17年からトランプがネタニヤフを加勢し始めたた
め右派はますます強くなり、イスラエルの官僚機構は選挙でなく司法の力でネタ
ニヤフを倒す試みを開始せざるを得なくなった。それがネタニヤフの汚職疑惑の
本質だ。しかし、疑惑は微罪の寄せ集めで威力がない。米民主党によるトランプ
弾劾と似ている。イスラエルの官界は、トランプに引っ張られたネタニヤフが
イスラエルを国際的に弱体化させていくことを懸念している。米国の軍産は、米
国の覇権を維持するのが目標だが、イスラエルの官界はイスラエルの国益を守る
のが目標だ。米国の覇権が失われるなら、イスラエルは米国から距離をおき、ロ
シアや中国と組まねばならない。トランプの覇権放棄が成功するほど、米軍産と
イスラエル官界の利害が離反していく。

 

http://www.timesofisrael.com/gantz-assails-pm-for-holding-israel-hostage-urges-likud-leaders-to-partner-up/
Gantz warns Netanyahu is risking ‘internal war,’ calls Likud to unity coalition

 

http://tanakanews.com/180812mideast.php
米国から露中への中東覇権の移転が加速

 

17年にトランプがネタニヤフを加勢する態勢になった後、18年秋から、右派
(しかも親ロシア!)の政治家であるリーベルマン元防衛相・外相がネタニヤフ
を倒す側に入ってきて、イスラエルの政争を「右派vs中道派」の構造から「左右
の世俗派vs宗教右派」の構造へと転換しようとした。この構造転換をもとに、左
派から右派までのイスラエルの世俗派を統合する「青白連合」の政治組織が「打
倒ネタニヤフ・打倒宗教右派」を共通の目標に掲げて作られた。ネタニヤフと組
んでいるトランプは、米国のキリスト教原理主義の勢力から支持されており、宗
教右派の側は、ユダヤとキリスト教の右派連合だ。これはブッシュ政権の時から
の構図だ。

 

http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2019/11/israel-benny-gantz-president-reuven-rivlin-coalition-talks.html
Avigdor Liberman drives Israeli politics crazy

 

http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2019/11/israel-russai-arabs-avigdor-liberman-joint-list-party.html
Avigdor Liberman’s followers accept his worldview change

 

この新たな対立構造のもとで今年9月に議会選挙が行われ、青白連合は、これま
で蚊帳の外に置かれていたアラブ系(イスラム教徒のイスラエル人=パレスチナ
人)の諸政党をも取り込もうとする(世俗右派の反対で道半ばに終わった)など、
全く新しい動きを見せた。だが結局、9月の選挙は複雑な拮抗状態を表出させ、
ネタニヤフと青白の両方が連立組閣に失敗した。その直後、官僚機構がネタニヤ
フの起訴に踏み切ったが、ネタニヤフはその後も暫定首相として留任している。
起訴されても留任できることになっている。イスラエル政界の暗闘は、ネタニヤ
フ・トランプ・宗教右派の側と、官僚機構・青白連合・リーベルマンの側との
対立になっている。依然としてネタニヤフの側が優勢だ。

 

http://www.haaretz.com/israel-news/no-legal-grounds-forcing-netanyahu-to-resign-as-pm-attorney-general-says-1.8185513
No legal grounds forcing Netanyahu to resign as PM, attorney general says

 

http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2019/11/israel-benjamin-neranyahu-naftali-bennett-rightwing-bloc.html
Netanyahu, Liberman: the ultimate battle

 

▼イスラエルのためにイランを敵視し、イランを強化してイスラエルを困らせるトランプ

 

イランとパレスチナの2つのテーマについて、ネタニヤフやトランプの戦略の何
が問題なのか。イスラエル官界は何がしたいのか。トランプの意図は何か。これ
らを説明せねばならない。イランの方が構造が単純だ。イラク侵攻まで、イスラ
エルと米国の目標は一致していた。それはイラクの次にイランを、軍事侵攻もし
くは経済制裁の末の反政府運動の扇動によって政権転覆することだった。オバマ
は、イランを政権転覆することに反対で、核協定を結んでイランを許して強化し、
米イスラエルがイランを潰せないようにした。アデルソンがトランプに核協定を
放棄させたのは、オバマが作ったイラン強化の流れを逆流させるためだった。
トランプは、約束通りイラン核協定を離脱したが、同時にシリアやイラクなど中
東からの撤兵をやりたがり、イランがロシアの支援を得つつシリアやイラク、レ
バノンで影響力を強める流れを作ってしまった。イランは米国から制裁された分、
ロシア中国など非米諸国との経済関係を強め、非米諸国内の結束が強まることに
つながった。イラン核協定からの離脱は、米国が中東覇権を失う流れを強めた。

 

http://tanakanews.com/191104syria.php
トランプのシリア撤兵の「戦略的右往左往」

 

トランプは18年4月に安保担当補佐官としてネオコン系のジョン・ボルトンを
起用し、翌5月にイラン核協定からの離脱を挙行したが、ボルトンの起用はアデ
ルソンの差し金だったと指摘されている。トランプはその後、今年9月にボルト
ンを辞めさせ、翌10月にシリア撤兵を発表した。この時ネタニヤフは選挙後の
組閣ができず行き詰まり、青白やリーベルマンらとの対立が激化してトランプだ
けが頼りで、イスラエルはトランプのシリア撤兵を抑止できなくなっていた。

 

http://tanakanews.com/180325bolton.htm
中東大戦争を演じるボルトン

 

http://tanakanews.com/180715syria.php
中東の転換点になる米露首脳会談

 

イスラエルは、米国の仲裁でアラブの盟主サウジアラビアと和解し、米イスラエ
ルサウジが組んでイランを敵視して潰す流れをトランプに求めた。トランプはイ
スラエルの要求通りサウジとイスラエルをくっつけようとしたが、これを「サウ
ジとイスラエルがくっつけば米国が中東から撤退しても大丈夫だ」という覇権放
棄の文脈で進めた。そのため、イランがどんどん強くなる中、サウジはこの話に
乗ることへの躊躇を強め、むしろイランと和解したがるようになった。トランプ
とネタニヤフが中東和平を進めないため、サウジはイスラエルと組みたがらなく
なった。世界の石油利権に対する米国の支配力が低下し、サウジが主導してきた
OPECは、米国が敵視するロシアと組み、非米的な「OPECプラス」に変身
した。イスラエルがトランプにやらせたイラン敵視は、米イスラエルの弱体化を
招いている。トランプはイスラエルを出しぬいて、これをやっている。

 

http://www.presstv.com/Detail/2019/11/07/610585/Israel-Arab-treaty
Israel after signing treaty with PG Arab states at White House: Report

 

http://tanakanews.com/170628gaza.php
イランを共通の敵としてアラブとイスラエルを和解させる

 

ネタニヤフと青白の両方の組閣が失敗し、トランプ政権がネタニヤフを強化する
西岸占領合法宣言を発し、対抗してイスラエル官界がネタニヤフを起訴し、事態
は乱戦になっている。トランプはさらに、ネタニヤフとの間で史上初の米イスラ
エル軍事協定を締結しようとしている。軍事協定の中身は不明だ。トランプはお
そらく、イスラエルと軍事協定を結んだ上で、米イスラエル連合でイランと戦争
するシナリオを急進させようとしている。米軍はイラン正面のサウジへの増派を
開始したと報じられ(米軍自身は否定。多分ガセネタ)、米空母がペルシャ湾に
急派された。トランプがイランと本気でイランと戦争するなら驚きだが、トラン
プは戦争するふりだけだ。

 

http://www.strategic-culture.org/news/2019/12/09/preparing-stage-flawed-prospectus-for-war-time-with-iran/
Preparing the Stage: A Flawed Prospectus for War, This Time With Iran

 

http://news.antiwar.com/2019/12/05/netanyahu-pompeo-push-forward-with-us-israel-defense-pact/
Netanyahu, Pompeo Push Forward With US-Israel Defense Pact

 

米国は06年にチェイニー副大統領がイスラエルのオルメルト首相に「米イスラ
エルで、イランと戦争しよう。まずイスラエル軍がレバノンのヒズボラに戦争を
しかけろ。そうしたら米軍がイランを攻撃する」と持ちかけ、オルメルトが騙さ
れてヒズボラと開戦しても米軍は動かない、という戦争詐欺をやっている(チェ
イニーはトランプと同様、親イスラエルのふりをした隠れ多極主義者だった)。
イスラエルは、もう騙されたくないはずだ。しかし、政治的に行き詰まっている
ネタニヤフは、トランプの提案を断りにくい。イランとの実際の戦争はしないが、
イランを共通の敵とする史上初の軍事協定を米国と結ぶ可能性はある。

 

http://www.informationclearinghouse.info/52615.htm
Netanyahu’s Get-out-of-Jail Card... War With Iran

 

http://tanakanews.com/g0822israel.htm
ヒズボラの勝利

 

イスラエルが米国と軍事協定を結ぶと、イスラエルがイランなどから脅威を受け
た時に米軍に助けてもらえる。だがその一方で、イスラエルが他国で軍事や諜報
の活動をする時に米国に通知せねばならず、イスラエルの秘密の動きを米国に知
られ、トランプにつけ込まれる傾向が増す。だから従来イスラエルは米欧などと
同盟関係を結ばない「栄光ある孤立」を戦略としていた。

 

http://www.zerohedge.com/geopolitical/proposed-us-israel-defense-treaty-gaining-steam-after-pompeo-netanyahu-meet
US-Israel Defense Treaty Gaining Steam After Pompeo & Netanyahu Meet

 

そもそもイスラエルに対するイランの脅威は、米イスラエル側からのイラン敵視
の反動だ。しかも最近では、イランの軍勢(革命防衛隊+民兵団)がイスラエル
のすぐ隣りのシリア南部に拠点をいくつも作り、いつ攻撃してきてもおかしくな
い。この状況は、オバマとトランプがシリア内戦の後始末をロシアに丸投げし、
ロシアがイランと組んでシリアに駐屯した結果だ。米国はイスラエルに脅威を与
えている。イスラエルの官僚機構は、ネタニヤフがトランプから圧力を受けて軍
事協定を結ぶのを看過できない。

 

http://tanakanews.com/190924iran.php
トランプ中東覇権放棄の大詰め

 

http://tanakanews.com/170918syria.php
シリア内戦の終結、イランの台頭、窮するイスラエル

 

米国と対照的に、ロシアはイスラエルの国家安全に配慮し、シリアに駐屯するイ
ラン系軍勢の拠点をイスラエルが空爆しても黙認している(シリア上空はロシア
軍が防衛している)。ロシアは中東の覇権運営コストを下げるため、イランとイ
スラエルが敵対を弱めていくことを好んでいる。トランプの米国(の演技)と逆
方向だ。イスラエルは、9月の選挙後に青白連合が連立組閣に成功していたら、
トランプから距離をおき、ロシアに接近していたかもしれない。青白連合をテコ
入れするリーベルマン元国防相は、イスラエルで最もプーチンと親しい親露派だ。
しかし、青白の組閣はトランプの横槍で失敗した。米イスラエルが今にもイラン
と戦争しそうな感じが強いほど、ネタニヤフは暫定首相としてとりあえず延命
できる。

 

http://www.timesofisrael.com/russia-nixed-arms-sales-to-israels-enemies-at-its-request-pms-adviser-says/
Russia nixed arms sales to Israel’s enemies at its request, PM’s adviser says

 

http://news.antiwar.com/2019/11/22/russia-exposes-operational-details-on-several-israeli-strikes-in-syria/
Russia Exposes Operational Details on Several Israeli Strikes in Syria

 

今後しばらく、おそらく来秋の米大統領選挙後まで、米国が今にもイランと戦争
しそうな状態の演出が続く。だが実際には、イランはかなり強くなっており、米
国もイスラエルもイランと戦争できない。トランプが覇権を放棄するほど、イラ
ンは強くなるし、イスラエルは米国に頼れなくなる。いずれイスラエルは米国よ
りロシアに頼るようになり、それとともに米国はイランを敵視しなくなる。それ
はトランプの2期目が終わる2024年以降かもしれない。

 

http://tanakanews.com/191126iraq.php
イラクやレバノンの反政府運動がスンニとシーアの対立を解消する

 

http://www.debka.com/iran-shuts-south-syrian-command-center-opposite-golan-consolidates-abu-kamal-hub/
Iran shuts south Syrian command center opposite Golan, consolidates Abu Kamal hub

 

▼2国式の死滅はハマス=ムスリム同胞団の席巻につながる

 

イスラエルの官界や青白連合と、ネタニヤフ・トランプ・宗教右派との政争のテ
ーマの2つ目はパレスチナ問題・中東和平をどうするかだ。焦点は、ヨルダン川
西岸にパレスチナ国家を作る「2国式」の和平を進めるのか、それとも2国式を
潰して西岸をイスラエルの国土として併合するのかという対立だ。「2国式」を
続けようとする官僚機構と、それを潰そうとするトランプ・ネタニヤフらの戦い
になっている。

 

http://gilad.online/writings/2019/11/19/finally-the-usa-supports-the-one-state-solution
Finally the USA Supports the One State Solution

 

http://www.wsj.com/articles/trump-administration-to-say-israeli-settlements-arent-illegal-11574104691
Trump Administration Says Israeli Settlements Aren’t Illegal

 

ネタニヤフ側は、西岸を併合して2国式の和平交渉の体制を終わらせようとして
いる。これは明確だが、他方の官僚青白側が2国式の交渉を急いで進めて妥結さ
せたいかというと、そうではない。交渉が妥結したら、米国が出て行ってしまう。
官僚側は、2国式の交渉が妥結せず永久に交渉途中である状態にして、米国が
イスラエルに支援し続け、イスラエルが米国を牛耳って間接的な中東覇権を握り
続けるようにしたい。官僚側は、永遠に未解決な2国式を望んできた。これは米
国の軍産複合体も同じであり、その意味でこれまでイスラエルの官界は軍産の一
部だった。2国式を永遠に未解決にするために、2国式に強く反対して西岸併合
を叫ぶネタニヤフのリクード(宗教右派+世俗右派)の存在も必要だった。

 

http://nationalinterest.org/print/feature/pompeo-goes-full-neocon-97432
Pompeo Goes Full Neocon

 

だが01年の911事件後、イスラム敵視で右傾化(ネオコン化)したブッシュ
政権の米国が、2国式を潰したいリクードの考え方に本気で同調し「2国式の永
遠の未解決」でなく「2国式を潰す」新たな流れが米国から押し寄せてきた。
911後のテロ戦争は、イスラエルが米国を巻き込んで中東のイスラム勢力を永遠
に敵視できるイスラエルに好都合な長期体制(第2冷戦)として作られたが、親
イスラエルのはずの構図が、2国式を本気で潰す反イスラエル的な構図に変身した。

 

http://tanakanews.com/160308israel.htm
西岸を併合するイスラエル

 

2国式の死滅とともに、イスラエルが西岸を占領・併合する傾向が強まり、イス
ラエルは「アパルトヘイト国家」になっていく。イスラエルは孤立をいとわない
ので、親イスラエルのトランプ政権が続く限り、これでかまわない。問題はむし
ろ、2国式に依拠して政治正統性や経済援助を得てきたパレスチナ自治政府
(PA)とヨルダンが政権転覆される可能性の高まりだ。PA(ファタハのアッ
バース政権)とヨルダン(王政)の政権は従来、米イスラエルの傀儡として機能
してきたが、2国式が死滅すると、両国の政権は正当性を失い、米国からの経済
援助も失われ、両国ともいずれハマス(=ムスリム同胞団)の政権に取って代わ
られる。ハマスは、この地域で政治的人気が最も強い。ガザはすでにハマスの統治
下だ。ヨルダン西岸ガザでハマスが政権を取ると、その余波でエジプトでも軍事
政権を倒して同胞団の政権に替えようとする「カイロの春」が再燃する。米国の
覇権が低下するほど、ハマス=同胞団が強くなる。

 

http://www.middleeasteye.net/news/jordan-left-little-room-manoeuvre-us-settlement-position
US position on Israeli settlements backs Jordan into a corner

 

http://tanakanews.com/161101palestin.htm
イスラエルのパレスチナ解体計画

 

ハマスはイスラエルを敵視してきたので、これはイスラエルにとって最大の脅威
かと思いきや、そうでもない。ハマス=同胞団は、ヨルダン西岸ガザとエジプト
という広大な領土を得られ、イスラエルと国際社会がそれを認めるなら、西岸の
一部の入植地をイスラエルに割譲しても良いと考えそうだからだ。イスラエルと
和解した方が、ハマスも「平和の配当」として経済発展を得られる。

 

http://news.antiwar.com/2019/12/05/israeli-officials-warn-annexation-may-lead-jordan-to-take-drastic-steps/
Israeli Officials Warn Annexation May Lead Jordan to Take Drastic Steps

 

http://tanakanews.com/191107multipol.htm
中国が好む多極・多重型覇権

 

米国やイスラエルは、すでにこのハマス台頭の路線を容認しているふしがある。
9月以来、どこからかの圧力で、PAの独裁者であるファタハのアッバース大統
領が、PAの議会と大統領の選挙をやると宣言している。圧力をかけたのは米国
のはずだ(そうでなければアッバースは動かない)。選挙時期は来年2月が取り
沙汰されている。前回06年の選挙では、西岸もガザもハマスが勝ったのに、負
けを認めないファタハが内紛を起こし、西岸はファタハ、ガザはハマスの分割統
治にしてしまった。それから13年たち、ハマスはさらに優勢になっている。選
挙がきちんと行われれば、西岸もガザもハマスの政権になる。そうなるとヨルダ
ン王政が風前の灯になる。ヨルダンの最大政党は同胞団=ハマスだ。カイロでも
今秋来、同胞団による反政府運動が続いている。

 

http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2019/11/palestinian-elections-abbas-hamas-obstacles.html
Palestinian elections look increasingly feasible

 

http://tanakanews.com/191023russia.htm
プーチンが中東を平和にする

 

http://tanakanews.com/g0202hamas.htm
ハマスを勝たせたアメリカの「故意の失策」

 

最近、トランプと仲が良いキリスト教原理主義勢力が、イスラエルとハマスの許
可を受け、ガザとイスラエルの境界線に敷地を借り、病院を建設することになっ
た。これは実のところ単なる病院でなく、米軍と米外交官も駐留し、イスラエル
とハマスの和解を取り持つガザの米国代表部として機能するという説がある。こ
の施設の建設に猛反対しているファタハの筋がそう言っている。もともとハマス
は、イスラエルがパレスチナ側の内紛を扇動するために育てた組織と言われ、両
者は諜報的に、敵もしくは味方として以心伝心できる間柄だ。トランプの2期目
かそれ以降にハマス=同胞団が大化けするかもしれない。同胞団の後見人である
トルコやカタールが優勢になる。

 

http://www.arabnews.com/node/1596966
Suspicious timing of US field hospital in Gaza

 

http://www.debka.com/a-proposed-long-term-gaza-truce-brings-hamas-back-to-judea-samaria-the-idf-would-go-for-it/
A proposed long-term Gaza truce brings Hamas back to Judea & Samaria. The IDF would go for it

 

ネタニヤフと青白は、どちらが勝つのだろうか。アデルソンから政治献金を考え
ると、トランプは少なくとも今秋に再選されるまでネタニヤフを応援し続け、ネ
タニヤフの優勢が続く。その後は、トランプがネタニヤフと仲たがいしてネタニ
ヤフが官界と再和解するか、ネタニヤフが辞めさせられて青白の政権に代わるか
もしれない。

 

http://tanakanews.com/190831israel.php
イスラエルのはしごを外すトランプ

 

先読みは困難だが、トランプがイスラエルをできるだけ長く自分の側に巻き込み
続けようとするのではないかと考えることもできる。その理由は、イスラエルを
野放しにすると、きたるべき多極型の覇権体制下で大きな力を持つロシアや中国
にすり寄り、イスラエルがこれまでの米国覇権を牛耳ってきたように、多極型の
世界も牛耳ってしまう(もしくは恒久的な混乱や対立構造を多極型の世界に植え
こんでしまう)かもしれないからだ。安定した多極型世界を実現したいトランプ
と背後の資本家層としては、イスラエルをできるだけ長くトランプの側に巻き込
み、ロシアや中国とのつき合いを最小限にさせ、ロシアと密通するリーベルマン
を抑制しておく必要がある。

 

http://tanakanews.com/190821israel.php
イスラエル傀儡をやめる米政界

 

http://tanakanews.com/180825israel.htm
ロシアの中東覇権を好むイスラエル

 

ロシアで経済運営ができるのはユダヤ人だけだ(ロシア人は下手くそ)。イスラ
エルがその気になれば、ロシアを混乱させたりプーチンを無力化できる。しかし、
今のイスラエルはプーチンを大事にしたい。米国の側が、イスラエルとイランを
戦争させたがるなど意図的に常軌を逸し続けているので、正常で合理的な頼れる
プーチンを失うと、それこそイスラエルは米国によって自滅させられてしまう。

 

http://tanakanews.com/191023russia.htm
プーチンが中東を平和にする

 

http://tanakanews.com/180218israel.htm
米国に頼れずロシアと組むイスラエル

 

資本家層は、英国をEU離脱騒動で頓珍漢な自滅状態にさせているが、これも形
成されつつあるまだ脆弱な多極型世界を英国が破壊・支配せぬようにする防御策
なのだろう。

 

http://tanakanews.com/190713uk.php
米国が英国を無力化する必要性

 

イスラエルを書くときはいつも複雑で難解な長文になってしまう。読者に申しわ
けない。ユダヤ人は世界で最も政治絶倫かつ諜報的・国際的な人々(日本人と対
照的)なので、イスラエルの政争は敵味方が不透明で本質も隠蔽されていて分析
が難しい。

 

 

この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/191212israel.htm
以上は「田中宇氏ブログ」より
トランプ氏のやり方は読みずらい手法です。イスラエルの核の廃止を狙っている様に思えます。 以上

 

 

« IOC、東京五輪“新型肺炎”で重大決断!?  | トップページ | ドイツ放射線防護局のデータに見る「スマートフォンから放出される放射能量の機種別ランキング」 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« IOC、東京五輪“新型肺炎”で重大決断!?  | トップページ | ドイツ放射線防護局のデータに見る「スマートフォンから放出される放射能量の機種別ランキング」 »

2020年7月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

-天気予報コム-

ウェブページ

無料ブログはココログ