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2022年11月23日 (水)

★習近平独裁強化の背景

★習近平独裁強化の背景
ーーーーーーーーーーーー

 

中国で、権力者の習近平が、自らの独裁権力をさらに強めている。
独裁政党である中国共産党は、1970年代に毛沢東の個人独裁体制
が崩れてトウ小平が権力に就いてから、2012年に胡錦涛(トウ小
平の最後の弟子)が権力を降りて習近平と交代するまで、覇権国
である米国から工業技術や資本を供給されて米製造業の下請
けとして経済発展させてもらう見返りとして、(共産党上層部内
だけの)民主主義や、リベラル主義(少しの言論の自由)、市場
主義(資本主義。改革開放路線)など、米国に気に入られようと
する政治経済体制を採用・演出していた。1970年代末から2012年
まで、共産党は党内民主主義を重視して党上層部が合議制の集団
指導体制を採用し、個人の独裁が禁じられていた。権力者の任期
も期10年に定められていた。だが、2012年に権力の座についた
習近平は、これらトウ小平路線を次々と壊し、個人独裁を強化し
ている。

 

https://www.zerohedge.com/geopolitical/china-after-party-congress-what-now
China After The Party Congress: What Now?

 

https://www.zerohedge.com/geopolitical/former-china-president-abruptly
escorted-party-congress
Former China President Abruptly Escorted From Party Congress

 

習近平は先日の党大会で、権力者(党書記、国家主席、党軍事委
主席という3職を兼務する者)として3期目に入ることを決議させ
た。後継者を示唆せず、終身独裁者として4期目もやりそうだ。
トウ小平路線を継承してきた元権力者の江沢民や朱鎔基は党大会
に呼ばれず欠席になり、胡錦涛は党大会に呼ばれて習近平の隣に
座らされたものの、党大会の閉会式で粛清的に強制退場させられ
る茶番劇の犠牲になった。習近平は、制度的にも象徴的にも、
トウ小平路線の破壊をこれみよがしにやっている。習近平は、
集団指導体制を壊して自分の子分ばかりで上層部を固め、米国と
の対立を辞さず米英批判を強め、言論の自由を減らし、経済も
国家主義を導入して市場主義を制限し、党による規制強化(習近
平路線)を批判したアリババのジャック・マーを見せしめとして
処分(永久軟禁?)した。習近平政権は、経済米国化の一環とし
て発生してきた株価や不動産などの金融バブルを積極的に潰す策
もやり続けた。習近平の独裁強化は、政治経済的に米国と仲良
くして中国を発展させてきたトウ小平路線に対する破壊活動の一環
として進められている。

 

https://tanakanews.com/170531china.php
中国の意図的なバブル崩壊

 

https://www.rt.com/news/565265-nelson-wong-multipolar-world/
West's ‘rules-based order’ not clearly defined - Chinese think tank expert

 

日米のマスコミ権威筋は、習近平の独裁強化策を「権力欲におぼ
れた愚挙」と単純化して決めつけ、「独裁は悪だ」という善悪観
のみで喧伝している。以前からの中国敵視のプロパガンダの上に
それが載せられ、多くの人が喧伝を軽信している。分析など要ら
ない。だって、独裁は悪いことでしょ。悪人の言い訳なんか聞
きたくない。という感じ。プーチン=悪。習近平=悪。中露は
必ずや失敗する。悪だから。そういう観点で、ことさらグロテス
クに、失敗方向が誇張されて喧伝されている。だが、麻薬中毒的
な善悪論をいったん離れ、習近平の独裁強化とトウ小平路線の放
棄・破壊をまっとうな戦略として見ると、これが今後の中国を強
化・発展させる策かもしれないと思えてくる。米覇権側(米欧日)
が、習近平をグロテスクな極悪として描くほど、むしろそれが習
近平の策の本質を見えなくさせる目くらましとして機能し、気が
ついたら米国覇権が崩壊して中国(中露など非米側)が生き残っ
て台頭する多極化になっている、という展開になりそうだ。
プーチンだけでなく習近平も「偽悪戦略」を採っている可能性がある。

 

https://tanakanews.com/220624russia.htm
プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類

 

https://www.stationgossip.com/2022/10/the-world-reacts-to-chinese-dictator-xi.html
The World Reacts To Chinese Dictator Xi Jinping Purging Former Leader
On Camera: ‘Chilling And Orwellian’

 

習近平は、米覇権体制の傘下で中国を発展させてきたトウ小平路線
を捨てる策を進めてきた。なぜか。米国覇権が崩壊しつつある
(もしくは、すでに崩壊した)からだ。米覇権の崩壊は、マスコミ
威筋が無視する傾向なので、多くの人々に見えていない。米覇権が
今後もずっと隆々と強く、中国(や日本)がその傘下にいれば経済
発展し続けられるなら、トウ小平路線(や日本的な積極的対米従属)
をやめない方が良い。米覇権が永続するなら、習近平の独裁強化は
「権力欲におぼれた愚挙」である。だが逆に、米覇権が崩壊するなら、
早く自立して他の路線に移らないと米国と一緒に衰退してしまう。
以前から中国は理想主義でなく現実主義だ。党内民主化やリベラル
化や自由市場化は、「良いこと」だからでなく、中国を米国傘下で
発展させる策だから採用した。

 

https://www.straitstimes.com/asia/east-asia/the-sweeping-impact-of-
new-us-semiconductor-restrictions
The sweeping impact of new US semiconductor restrictions

 

米覇権や欧米中心体制の永続を前提にしてきたトウ小平路線と対照的
に、習近平の路線は、米覇権が縮小し、米覇権の外部にある非米諸国
が相対的に台頭して多極型の世界になることを前提にしている。習近
平は、ユーラシアの内陸や西アジア、アフリカ、ロシアなどの非米諸
国をつなぐ「一帯一路」の経済圏など、非米諸国との経済関係を強化
して中国を発展させていこうとしている。トウ小平から胡錦涛までの
時代、中国人の世界観は欧米中心だった。トウ小平路線の人々の多
くは今も、米覇権の不可逆的な衰退を見据えていない。習近平が、
米覇権の衰退を前提に、欧米と距離を置き、非米諸国との経済関係を
主軸にしたがっていることに、トウ小平路線の人々は猛反対してきた。
トウ小平路線は40年近く続いてきたので、中国のエリートの多くは
そこにどっぷりひたっており、その路線下で蓄財してきたので転向
したがらない。習近平が自分の路線を人々に学習させても本質的な
理解者は少数で、集団指導体制だと中共中央は守旧派(市場主義派)
が大半になり、トウ小平路線から離脱できない。それで習近平は独裁
強化に踏み切った。

 

https://tanakanews.com/171027china.php
中国の権力構造

 

トウ小平は自分の後継者として江沢民と胡錦涛に10年ずつやれと
遺言して死んだが、胡錦涛の任期満了後に誰が権力を継いで何を
するかは決めなかった。胡錦涛の後任を習近平に決めたのは江沢民
だったようだが、習近平はトウ小平路線を継承する義務があったわ
けではなく、その点で政策決定の自由があった。トウ小平は、米覇
権が強い間は米国に逆らうなと遺言していたが、これを裏から読む
と、米覇権が崩壊するなら他の戦略を採れという遺言になる。そう
考えると、習近平がトウ小平路線を放棄・破壊しているのはトウ小
平自身の遺言に沿っていることになる。

 

https://tanakanews.com/200823china.php
中国の悪さの本質

 

習近平の独裁強化のもう一つの側面は、習近平が毛沢東の皮をか
ぶり、毛沢東を真似て独裁を強化していることだ。毛沢東の時代、
(毛の政策失敗が一因で)人々は全員が平等に貧しかった。トウ
小平の時代になって人々は豊かになったが、一部の人だけ(汚職
や投機を駆使して)ものすごく豊かになり、ほとんどの人々は少
ししか豊かになれず、貧富格差と拝金主義がひどくなり、人々の
不満が募った。多くの人が感傷的に「毛沢東の時の方が平等で良
かった」と思った(文化大革命でひどい目にあった人も多いが)。
習近平は、トウ小平路線を壊すにあたり、自らを毛沢東の忠実な
後継者に見せる策をとり、習近平路線はトウ小平路線の欠点を
是正するものだと言って人々の支持を得た。

 

https://www.rt.com/news/564589-china-is-approaching-turning-point/
China is approaching a turning point in its history

 

プロパガンダ的な皮かぶりだけでなく、毛沢東と習近平の策は似
ているところがある。毛沢東は自力更生の経済政策を大胆にやっ
て失敗したが、自力更生とは、米英の先進国から冷戦で敵視され
て技術導入ができなくても、自力で技術を構築できるという策だ。
毛沢東の時代、中国には技術の蓄積がほとんどなかったので失敗
した。そして今、習近平は米覇権崩壊を前提に、米欧に技術を依
存せず自力更生で中国(と一帯一路の諸国)の経済を回していく
策を採っている。毛沢東の時代は中国に技術がなかったが、その
後のトウ小平路線の40年間に中国は米欧日から大量の技術を移植
され、今では世界最先端の技術保有国になっている。そして米欧
は金融バブル崩壊と対露制裁による資源不足で経済破綻していく。
資源の大半は中露側にある。今後の中国は、むしろ自力更生
(と非米諸国との連帯)の経済政策をやった方が成功する。毛沢東
が成功できなかった自力更生を、習近平が成功させる。中国共産
党にとって、これ以上の成功神話はない。

 

https://thecradle.co/Article/Columns/17132offering-global-south
'Peaceful Modernization' Is China's Offering To The Global South

 

習近平は、中国人にショックを与える目的でも毛沢東の皮をかぶっ
ている。毛沢東は、文化大革命、紅衛兵、人民裁判、粛清などの
恐怖政治の暗黒な側面も持っている。習近平は、毛沢東の恐怖政
治をあえて再演して見せることで、身勝手な血液B型の中国人た
ちに「逆らったら怖い目にあう」と動物的に思わせて服従させて
いる。トウ小平路線に固執して習近平に従わない先輩の胡錦涛を
議場から強制連行して排除する「粛清」を演じたのは、習近平の
「毛沢東ごっこ」の一つだ。胡錦涛は犯罪者扱いされず体調不良
での退席と発表されており、これは本物の粛清でなく、人々に文
革時代を思い出させるための「恐れさせごっこ」だ。ジャック・
マーを行方不明にさせたり、コロナ都市閉鎖策の違反者たちを
街頭で引き回して人民裁判的にさらし者にしたのも、習近平の
「毛沢東ごっこ」だ。習近平は、プーチン同様、米欧に極悪人の
レッテルを貼らせ、米欧が中露敵視策をやるほど米欧が自滅して
中露が台頭する偽悪戦略を採っている感じだ。ヒットラーと
日本帝国は惨敗したが、習近平とプーチンは勝ちそうだ。

 

https://www.aljazeera.com/news/2022/10/22/former-china-president-hu-
removed-from-communist-party-congress
‘Not feeling well’: China’s ex-leader led out of party congress

 

習近平はゼロコロナ策をとり続けている。ゼロコロナ策は、コロナ
対策としてほとんど効果がない都市閉鎖を断続的に延々と続けるこ
とであり、経済を破壊するだけの超愚策だ。コロナ対策として馬鹿
げているが、権力者が政敵たちの動きを監視・阻止する策としては
有効だ。習近平は、ゼロコロナ策で都市閉鎖を続けることで、トウ
小平路線派を監視したり動きを封じるのがやりやすくなっている。
習近平は、トウ小平路線派がかなり弱くなるまでゼロコロナ策を続
けるだろう。改革派の巣窟っぽい上海市は、今後2年間ゼロコロナ
策を続けさせられるそうだ。

 

https://www.eugyppius.com/p/the-peoples-republic-of-china-has
The People's Republic of China Has Become A Zero-Covid Hell

 

ゼロコロナ策を続けると、中国の経済成長は大幅に減速する。中国
共産党が政権を持つ正統性は高度経済成長の維持にあると言われて
きた。ゼロコロナによる成長鈍化で習近平は自滅する、と言う人が
いそうだ。しかし実のところ、(短期的な)経済成長が政権維持の
正統性だというのはトウ小平路線、というか米覇権(欧米)の考え
方だ。米国は中国に対し、共産党独裁でもいいからその代わり経済
成長して投資家を儲けさせてくれと言っていたのだ。習近平は、こ
れから崩壊する米国の言うことなど聞く必要がない。中国政府は最
近、経済成長率の予測値などの重要指標の発表をやめてしまった。
予測値を達成できたかどうか教えないよ、というわけだ。そもそも
リーマン後、米欧の経済指標もインチキだらけだし、株や債券など
の相場もQEで歪曲されており、米欧は中国を批判できる状況にない。
今後しばらく、経済成長でなく覇権転換の行方が人類にとって重要だ。

 

https://www.zerohedge.com/economics/china-indefinitely-delays-reporting
-key-economic-data-amid-national-congress
China Indefinitely Delays Reporting Key Economic Data Amid National Congress

 

https://www.zerohedge.com/markets/markets-are-finally-grasping-china-marxist-state
Markets Are Finally Grasping That China Is A Marxist State

 

長期的に経済成長できる体制は、独裁でなく民主主義の政治体制と、
国家統制でなく自由市場の経済体制だ、と考える人が欧米と、中国
の改革派(トウ小平路線派)に多い。これが本当なら、党内民主主
義と自由市場経済を捨てた習近平の中国は経済成長できなくなる。
しかし、これは本当なのか??。日本(など先進諸国の)経済は、
分割民営化など市場主義を導入した1990年代以降より、それ以前
の国家統制があった時代の方が高度成長していた。市場原理の導入
は、民営化して株式公開と債券発行させて金融相場を活況にする
(相場をつり上げ、投資家を儲けさす)ことが真の目的であり、
市場主義の方が成長できるという話は、その目的を達成するため
の詭弁だ。一党独裁と「中国式社会主義」の体制下で、すで
に中国は世界有数の研究開発力・発明力を持っている。習近平
の中国はもっとすごい発明王国になるとジェフリー・サックスが
言っている。

 

https://www.globaltimes.cn/page/202210/1277437.shtml
China’s wisdom to drive global modernization

 

https://www.jeffsachs.org/newspaper-articles/h29g9k7l7fymxp39
yhzwxc5f72ancr
The West’s False Narrative about Russia and China @Jeffrey D. Sachs

 

独裁より民主主義の方が良いという話も、民主主義の国の方が
米英諜報界が入り込んで不都合な政権を交代させやすいという、
米覇権維持のための話だ。そもそも中国は、人々が実利的・守銭
奴すぎるのと、国内が民族的に多様すぎて、民主主義を実践でき
ない体質っぽい。民主化を試みない方が良い。近年は、米国で民
主党が選挙不正をやってトランプを追い出したり、EUが加盟諸国
の民意の反対を無視して対露制裁とウクライナ支援を続ける超国
家の独裁機関になっている。中国より欧米の方がインチキだ。
欧米はもう中国を批判できない。今後の世界経済は、欧米が破綻し
、投資家が儲けられる先は先進国でなく中露印など非米諸国に
なる。民主主義や自由市場でないと成長できないという話は雲散
霧消するだろう。みんな騙されていたわけだ。

 

https://www.project-syndicate.org/commentary/xi-jinping-must-change
-course-drop-zero-covid-by-jim-o-neill-2022-10
China's Coming Clash With Economic Reality

 

中国が米欧に気兼ねしてきた時代、米国に気に入られるために
リベラルごっこ、民主主義ごっこを演じてきた時代は、トウ小
平路線とともに終わる。共産党の中国は、明清の中華帝国と似
た感じの政体になっていく。経済成長と政治安定を得られるな
らそれで良い、という話になる。新冊封体制との関係など、今
回の話はまだまだ書きたいことがあるが、とりあえずここまでで
配信し、改めて書く。

 

https://thesaker.is/china-xi-gets-ready-for-the-final-countdown/
China's Xi Gets Ready For The Final Countdown

 

 

この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/221027china.htm
以上は「田中宇氏」ブログより

 

中国の新体制についてよく
分析されています。現実にどのようになるのかは断定できませんが
大きな方向性は間違いないように思われます。以上

 

 

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